最高で最強なふたり

麻木香豆

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追いかけてはいけない

第二話

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早速2人は現場検証をする。坂は車は通れない歩道。
「車通りは激しいな。坂もそんなに急ではないが勢いよく走って躓いたら怪我はするがタイミングが悪いとーコリャ車道に転がって事故って死ぬな」
とくに幽霊の気配もなさそうだ。

「白いのって……一応渚さんにも書いてもらったんですけど」
由貴はメモ帳の絵をコウに見せた。コウはいつも身につけているサングラスを上げてその絵をまじまじと見る。
「白い綿? どう見ても綿……」
「僕……渚さんが怪我する原因になったこの綿……白いコイツの原因を解明したい!」

すると坂の上から

「ああああーっ!」
と叫び声がしたのだ。

コウと由貴はみえた。


「綿!」


坂から転げ落ちてきたのは女子高校生。コウと由貴はその白い綿が確かにみえた。

「大丈夫?!」
由貴はその女子高校生をガシッと抱き抱えた。
「ありがとうございます……」
「念のため病院に行きましょう」
「大丈夫です。それよりもさっきの白いふわふわ……」
この女子高生にもみえた謎の白い綿。

「どの辺りから追っかけたんだい?」
「うーん、なんかあのあたりかな。可愛く動く綿があって……追いかけたらそこの根っこのところに足を引っ掛けて転げ落ちちゃった……」


「君は白い綿の噂は聞いたことあったか?」
「……はい、追いかけてはいけないって。でもいけないとか言われると追いかけたくなるじゃないですか」
「まぁそうだけど……」



「つい追いかけてしまった、危ないって噂に聞いていたのに……でも渚さんは知らなかったけどつい追いかけてしまった……」

「なんか不思議の国のアリスみたいだなぁ、ウサギを追いかけたらメルヘンワールド行き……」
「でも転んだら怪我したり、危うく事故になりかねん。にしても俺らがいても綿は出てこない」
「怪我した人とか絡んだ人たちの共通点を調べるしかないな」
先ほどの女子高生と渚の共通点を頭に思い浮かべると女性であること、小柄であることくらいである。

「でも渚さんってアラサーだけど童顔だから高校生に見える」

2人は坂を上る。途中先ほど転んだ女子高生と同じ制服を着た生徒達が下る。

「髪型も自由になったもんだなぁ」

すると2人は足を止めた。目の前には生徒達が通う女子校があった。


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