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追いかけてはいけない
第一話
しおりを挟むとある街にある喫茶店。昼下がり。ウエイターのコウとユキはランチで混み合った店内がサーっと波のように引き、ようやく昼休み。
カランカラン
入り口から誰か入ってきた。
「喫茶は3時から……って渚ちゃん?!」
出かけていた喫茶マスターの娘、渚が両膝から血を流してそして顔は半泣きで立っていた。
「痛かったヨォー!!!」
と泣き崩れた。
「転んで怪我した?!」
渚の膝を由貴が手当てをする。由貴は前から渚のことが好きなのである。
「白いものが動いてコロコローって気になってどんどん転がって……」
「誰にも助けてもらえなかったのか、それにスマホは?」
「電話したわよ! 店の忙しい昼時だったし」
コウはふと時計を見た。
「あーめっちゃ混んでたわ」
「たまたま通ったタクシーに乗れたから良かったけど」
「ん、てか話戻していいか?」
コウは何か気になったようだ。
「どこまで?」
「ハンコ落としたところ」
「……コロコロズコー! って」
「いや、そこじゃなくて……落として」
「あー、白いモノが動いて」
「それ!」
コウが手を叩いた。そしてノートパソコンを取り出した。
「なんだ、コウ……」
「数件ほど依頼であったやつだ」
とメールを確認して開いて2人に見せた。コウと由貴は普段は喫茶店のウエイターをしているのだが実際は除霊師としてコンビを組んでいる2人。
子供の頃に山で遭難して死にかけたところを天狗様に助けられたのだが、命を助けたしついでにと勝手に天狗様から街の幽霊達の統率をするよう霊能力をつけられてしまった2人。
それを生かして除霊の依頼を承っているのである。
「『白いモノを追いかけたら事故に遭いかけた、という噂があるけど本当? 調べてください!』『〇〇町の坂に出てくる白いモノを追いかけると死に繋がるから追いかけるな、という噂があります。ここ数日ここら辺で怪我をする子が増えていて……』」
すると渚は叫んだ。
「あ、〇〇町! 私そこに行ってたの」
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