最高で最強なふたり

麻木香豆

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美佳子と虹雨

美佳子と虹雨 2

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 美佳子はコウの目の前に座って反応を伺う。
「食べて食べて」
 と反応を気にしてるかのような眼差し。コウは手を合わせて
「いただきます!」
 と言って用意されたカレー用スプーンで食べる。

 一口、アツアツっと言いながら口に頬張ると、ん? とコウは普通の親子丼とは違う食感に端を止め、中身をつっついた。

 出てきたのはかまぼこ、椎茸が短冊切りされて入っていた。
「かまぼこと椎茸……かさ増しってのはこのことか」
「うん。少ない鶏肉でも満足な食感、あっくんは大食いさんだからたっぷり食べさせたいからね」
「そもそもそのあっくんて誰や」
「私の彼氏ー」
 にやにやっと美佳子は笑った。

「てかさ、いつも弁当か作り置きの親子丼食べてたとか?」
 美佳子は会話よりも反応が気になるようだ。
「んまー最近はそうやけど実家の母さんはしっかり火を通す人でな。それが普通と思ってた」
「家庭それぞれだね。いろんなの食べたい」
 コウはフゥン、と言って特に違和感はないようでホクホクしながら食す。
「これ母ちゃんにも教えたろ。居酒屋をやってんねん。実家」
「いいよ。メニューに入ったら『みかちゃん考案かさ増し親子丼』て書いといてね」
「母さんやお客さんににどこのみかちゃんって聞かれるなぁ……」
「コウ君、顔真っ赤。まさかまだお付き合いしたことないとか?」
「るっさい……」
 コウは顔を真っ赤にした。

「そいやさ、卵料理得意なの?」
「あーそれはね……うちの実家は養鶏場やってるんだ。だから何かと卵と鶏は身近にあるし、食べてる。鶏さばけるわよ、こう見えても」
 と美佳子はキラキラとした爪を見せつける。それでさばくのか? とコウは思う。
「だからか。親子丼も飽きるほど食べたやろ。他のものを入れたり工夫したりしとんのやな」
「そうそう。まぁ……この親子丼、「みかちゃん考案」じゃなくてうちのばあちゃんの「ハツエちゃん考案」と言ってもおかしくない……」
 コウは想像で美佳子の祖母であるハツエを勝手に思い浮かべる。

「もうしんだけどね、優しいおばあちゃんでさ、忙しいお母さんたちの代わりに料理作ってくれたし、教えてもくれた。お母さんはもともと中華料理屋さんの娘のだったから中華料理寄りのレパートリーだけどね」

ははーんとコウは閃いた。
「ほぉ、何となくわかった……お母さんの中華料理屋にお父さんが卵を卸してたとか!?」
 美佳子はびっくりした顔をする。
「……うわ、当てられた。なんで?」
「卵と中華料理……もしかしてとか思って」
「そうそう、業者とその料理屋の娘が恋に落ちて大恋愛! ロマンチックー」
 美佳子はとびっきりの笑顔でテンションが上がっている。

「美佳子さんもあっくんとの出会いもロマンチックやったん?」
 美佳子はその質問に反応した。
「よくぞ聞いてくれた!!! そう、わたしたちの出会いもロマンチックぅー、もっと聞くぅ?」
 しまった、とコウは話が長くなるのが嫌いだ。

「あ、なら……お手製プリンもお出ししますので、いかがです?」
 そう聞いてしぶしぶコウは美佳子の話を聞いてやるかとこくりと苦笑いしながら頷いた。

 
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