最高で最強なふたり

麻木香豆

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エピローグ

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美帆子は美守を連れて市役所に行った。槻山に御礼に行っていたのだ。
虹雨とも今後いくら可哀想と思っても幽霊たちを外に逃すのはしてはいけないと約束した。もともとは悪い霊がポピュラーな妖怪や霊に化けているだけだと。
あれから毎晩しっかりと塩風呂に浸かったおかげか体調も良くなったようだ。

美帆子の手前か、槻山は照れ臭そうにしていたが元気になった自分の息子を見て微笑んでいた。

「お父さん、忙しそうだったね……」
「そうね、この市役所も業務しながら移転作業もしてるし、最近人も減ってしまって……」
「お父さんのこと心配?」
美帆子は元夫のことを息子に心配かと言われて複雑だが息子の手前あまりネガティヴなことは言えなさそうである。

「まぁそうね……無理しないでほしいかな。美守も無理しないでね。何かあったら私やマスターに、幽霊のことは虹雨くんや由貴に聞きなさいね」
「はい」
二人は市役所から出る、その時に美守はとある黒ずくめの女性とすれ違った。

「……」
美守はその女性をずっと見ている。
「どうしたの、美守」
「……ううん、なんでもない」

と言いつつもその黒ずくめの女性が気になって仕方がなかった。

「あの人、何か強い何かを感じた……」
と呟くが美帆子に言ってもわからないし、と胸の奥にしまっておいた。


しかしその女が向かったのは女性相談窓口前。今日も悩める女性たちが悩みが解決しないまま途方に暮れて絶望の現実に戻り帰路に向かう。

そんな一人の赤ん坊を連れた女性に黒ずくめの女は声をかけた。


「おはなし、聞いてあげますわ」
黒ずくめの女の左耳には蜂のイヤリングが揺れていた。
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