最高で最強なふたり

麻木香豆

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みえる少年編

第三話

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由貴と、虹雨は市役所に向かった。以前もその市役所にて除霊の依頼があったのである。

今回は違うことで行くことになったのだが……。由貴の様子がなんかおかしいことに虹雨は気づいていた。
「渚ちゃんのことか」
図星で、由貴は顔を真っ赤にする。

「あの子は……虹雨のことが好きだから」
「らしいな」
「わかっとって何もアクションしんのか」
「……見ただけでわかるだろ、お前と渚ちゃんは。それに俺がアクションかけないのは好きでも嫌いでもない、上司の娘だからってことだし」
すると由貴が虹雨の手を握る。

「じゃ、じゃあ……別に僕はこのまま渚さんにアタックしてもいいってことか?」
「い、いいんじゃない? 俺はラブではないからあとは渚ちゃんしだいやないのか……」
「ああ、そうかそうか」
由貴はどう告白するか、また悶々と考え始めた。彼自身は奥手だが成就すれば長く続く。

そんな由貴を虹雨は複雑な顔で見ていた。
「……」

事務所から市役所までは歩いてすぐである。市役所の本庁、受付に行くとそこに座っていた受付の女性が二人を見て手を振る。
虹雨がクールに挨拶を返すとキャーと叫ぶ。公務を忘れているようだが、その後来た訪問者が来るとすぐに表情を切り替えていた。

二人が向かうのはこども課なのだが、とある人に止められる。

「コウ先生、ご無沙汰しています!」
「あ、洲崎さん」
洲崎という50代の定年間近であるくろぶちめがねの男であった。

「この間はどうも」
「いえいえ。あれからどうですか」
「はい、なんともなくて……職員たちもホッとしておりますよ。この忙しい時期に助かりましたよ」
ちらほら役所内を見るといつもの業務に加えて無数の段ボール、老朽化しているこの構内を現在建てている新しい市役所に移転するための作業もしているとのことである。

「トイレの花子さんが市役所にいるっても面白かったですねぇ……」
「そうですよ、小学校だけじゃないんですね、花子さんは」
そう、この市役所内の奥のトイレに泣き声が聞こえると噂があり壊される前にと依頼があったのだが、虹雨たちが向かうとなんといたのである。

小学校の怪談で有名のトイレの花子さんが。
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