最高で最強なふたり

麻木香豆

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みえる少年編

第二話

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虹雨と由貴は眠い目を擦って朝イチの真津喫茶店に訪れる。

「おはようございます、もう用意してありますよ」
と喫茶店の一人娘、渚が出迎えてくれた。そう、この女性のことを由貴は好きなのである。
だが渚の目線は虹雨の方にある。

渚は虹雨にぞっこんである。彼女は2人とはそう歳は変わらないが恋愛経験があらず、ここに現れた虹雨に一目惚れしてから周りのサポートもあり少しずつ前進しつつもある。
虹雨と由貴がこの喫茶店で手伝わせているのも渚の恋愛を実らせるためのものでもあったのだが由貴も渚に一目惚れ、していて肝心の虹雨は全くである。それでも渚は近くでいられるからとうれしく思っているのである。

2人が喫茶店の一つの席で朝ごはんを食べていると美帆子がやってきた。そして一緒に渚もおかわりのコーヒーも注ぎにきた。由貴はニコッと虹雨の分のコップを渡すと渚はそうじゃないっていう顔をする。
虹雨は軽く会釈。それが彼女にとって幸せなのである。

「報告書、できました」
「ありがとう、お疲れ様……本当なぜか依頼が立て続けに増えてしまって大変かもしれないけどこの調子でコンスタンスに仕事が入っていけば独立させようかと思っているわ」
「えっ、独立?」

由貴はビックりしている。虹雨の方を見ると彼はハイ、と何故か冷静な顔をしている。
「虹雨知ってたのか」
「知ってたのも何も……いつまでもここにお世話になるのもな。まぁ喫茶店は来ますけど余裕ができたら渚ちゃんを秘書として雇おうかと思っている」
「渚さんを!!!」

由貴はびっくりして立ち上がって渚を見る。

「ハイ、大学は経済学部を出ていまして……喫茶店でお手伝いしてますけど大学出てから数年間は会計事務もやってました。二年前に職場が休業を強いられたのをきっかけにここで働いていたけど……こんな私でも雇ってもらえると嬉しいですわ」

すると由貴が渚の手をぎゅっと握った。

「嬉しいです、渚さんはレジの締めの時もすごく早いし普段の喫茶店でも業務も的確丁寧、もしパソコンとか得意だったら編集作業も手伝って欲しいし……ねぇ、虹雨!」

だがすぐ渚は手を振り解き、虹雨は苦笑いしている。

「楽しようとすんな。動画もいずれかは誰かもう1人違うクリエイターをと思っているけど俺らと相性のあるやついるか? しばらくは俺ら2人でやって渚ちゃんは事務作業をしてもらうだけだ。それにまだ仕事が順調、そして余裕が出てからと言ってるだろ。冷静になれ、らしくないぞ」
「ごめん、渚さん……手を握っちゃって」
「べ、別に。それに私は2人よりも年下ですし、さんとか丁寧語とかはやめてください……」

渚は顔を真っ赤にした。由貴も顔を真っ赤にしながら席に座った。

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