最高で最強なふたり

麻木香豆

文字の大きさ
上 下
68 / 99
生き霊編

第十話

しおりを挟む
 由貴は自身で見た悍ましい姿の生き霊の様子を思い出した。

「今回の件でわたしはできるだけ追い込まれているお嫁さんを救う方法を探そうと思っているの。カウンセリングや離婚アドバイザーやモラハラに詳しい弁護士や機関との提携もしてみるわ……」

「どんどん事業拡大しますなぁー」
「そうそう、嫁は召使いじゃない。女性も活躍する時代よ。世の流れに合わせて探偵業も変えていかなきゃねぇー」
「ねぇー」

 ゴマスリが得意なコウがニコって笑うと美帆子も笑うが目は笑ってない。

「ねぇー、じゃないわよー。今回の除霊代は払えない分、また喫茶店で一週間働いてもらいますわ」
「エェー」
「……」
「……働かせてもらいます……」

 コウがか弱く同意したら由貴もうなづいた。給料が払われないと生活はできない。

「そうそう、あなた達2人が店員さんやってくれるとマダム達も喜ぶのよ」
「知ってますよ、期間限定イケメン喫茶」

 実のところ今までに何回もやっており、付き合いの長くて実家の居酒屋の手伝いをしていたコウに関しては時たま岐阜に帰る際には何度も喫茶でウエイターをやっていた。

「どれだけ金稼ぎすんねん……でも僕らイケメンなんやね」

 コウと由貴は見つめあって笑う。

「喫茶店は薄暗いし、マダムだからはっきり見えないからほどほどイケメンに見えるのよ」
「なんですってぇ!」

 拍子抜ける2人。美帆子は2人の前に立ち

「さぁ、さっさと元を取りなさい!」
「へぇえええええい!」

しおりを挟む

処理中です...