最高で最強なふたり

麻木香豆

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ようこそ、さっそくですが

第五話

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「僕たちはネットの中で知り合った中です。ずっとナナさんはネットのつぶやきで家族の不満を書いていて、どの人が見ても明らかにその家族のやってることは理不尽でナナさんは家政婦扱い、僕ら見てる側は逃げろ、離婚しろ、それしかできなかった」

 隣にいたナナはうつむいている。虹雨はハッとした。何かを思い出したのだ。

「最近、死んだやろ。あの山の崖から車で落ちた……」

 ミツオは頷いた。一年も経ってない、当時人妻とネットで知り合った男が心中をしたのではないかと大騒動になった事件。

 ブレーキ痕はなかったが、のちに車が調べられブレーキの不具合があり、ナナのこれからは一からやり直し自由に生きていきたいという書き込みと、新天地である県外の施設の住所があったことで心中でなくミツオがナナの新しい生活をする場所までの後押しとして車を出した矢先の事故と警察はそう見解を示した。だがしばらくはあらゆる噂が錯綜した。

「……ナナをはやく遠くに逃がしたかった。〇〇県の山奥に同じ思いで苦しんで逃げてきた女性をかくまう施設があることをネットの仲間から聞いて……」

 虹雨はううむ、と口元を触る。ミツオは手が震えている。

「ミツオ君はナナさんを逃した後どうするつもりだった」
「……普通の生活に戻るつもりです」
「でも戻れんかったな、死んだから」
「……」
「それにナナさんをその場所に連れて行ってもナナさんは大変な思いをしただけでしたよ」
「なんで? そこは絶対ナナさんを救ってくれるって」
「誰から聞いた」

 虹雨はミツオに詰め寄った。ミツオはおろおろする。

「ネットで……」

ナナも頷く。

「ネットでか、ネットでって。鵜呑みにしたんか……」
「鵜呑みというか……」
「藁にもすがる気持ちやったのはわかるが、事故で死んだ方がまだマシやったわ」
「なんで!!!」

 虹雨はカバンの中からいつものサングラスと革手袋をつけた。服はスエットのままだがこの方が気合が入るようだ。

「なぁ虹雨、なんで死んだ方がまだマシやったってどういうことや」
「たわけか。〇〇県の山奥、施設でピンとこないか」
「……ええと……」

 由貴は考える。カメラが下を向いたのを虹雨が直して自分の顔を映した。

「俺らの天敵である一つ、女王蜂たちの巣どこだ……」
「あっ……」

 由貴は思い出した。ナナとミツオは2人の顔を覗き込む。

「何ですか、女王蜂って」
「……そなんお前らが今知っても意味がない、成仏せぇ」

 虹雨はミツオの額に指を当てた。

「え」

 ミツオとナナは消えた。

「……ふぅ」

 虹雨はサングラスを外した。
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