45 / 99
ようこそ、さっそくですが
第四話
しおりを挟む
2人はご飯を食べ終えてある程度部屋を片付けるかと始める。そこまで2人は荷物は多い方でもないが由貴が撮影や動画編集のための機材や机や椅子が欲しいと言い出し虹雨が立て替えて購入しそれも届いていた。
部屋は平屋建てで2LDK。一応曰く付きではない、事故物件ではない。
「ネット内見では大丈夫だとか言ってたけど、もしかしたらルームロンダリングで記載がない場合もあるかもな……」
「物騒なこと言うなよ、由貴」
「ネット越しでは見えないこともあるしな」
由貴の目はまっすぐ何かを見ていた。虹雨は嫌な予感しかなかった。
「美佳子も簡単にここにきちまったし、由貴は引きつけやすいし……まさか」
虹雨がゆっくり後ろを見る。
「なんで」
当たりであった。見知らぬ男女2人が壁にもたれかかっていた。
「おかしい、さっきまでいなかったし……ネットサイトの事故物件にはここは炎上しとらんかったのに。やっぱ由貴、お前連れてきたんか」
「そう言うことになるんでしょう、死んだのがここじゃないところで……日中は多分死んだ所で2人して立ってるんやろな」
「まぁ良くあるパターンだが……そうだったら前の住人が死亡のためとかなるはずだが」
虹雨は男女2人の前に立った。2人は虹雨を見るなり会釈をする。2人の間に少し距離がある。
「なんでここに来た。何か言いたいことでもあるのか、伝えたいことでもあるのか」
「はじまった、虹雨先生の除霊タイム」
由貴はカメラを取り出して撮影を始めた。こういうことになるとテンションが上がる由貴。
「今はスエットやけどな」
「だったら着替えるか」
「まぁええわ。めんどくさい。サクッと除霊して今日はもう寝たいんや」
「僕はこの後編集作業残ってるんですけども」
「……はいはい、じゃあお二人さん。まずは自己紹介してや」
2人の男女は黙っている。なぜ黙っているのだろうか、由貴はごくりと唾を飲み込む。
「そか、話したくないんか……それに2人は恋人って感じやないな」
そう言うと2人はぎくっと反応した。虹雨はニヤッとする。
「ただのカップルやないな。曰く付きの……うーん、体の関係はない」
「なんでわかるんだ」
男の方が声を出した。女よりも若い。まだ20代前半、女性は30代後半。
「……互いの距離、彼女の方は少し怯えている。かといって誘拐犯とかではない」
「彼は、ミツオ君は誘拐犯ではないです」
女も声を出した。彼女の薬指には指輪がある。
「……俺が話すよ。ナナさん」
男、ミツオが語り出した。
部屋は平屋建てで2LDK。一応曰く付きではない、事故物件ではない。
「ネット内見では大丈夫だとか言ってたけど、もしかしたらルームロンダリングで記載がない場合もあるかもな……」
「物騒なこと言うなよ、由貴」
「ネット越しでは見えないこともあるしな」
由貴の目はまっすぐ何かを見ていた。虹雨は嫌な予感しかなかった。
「美佳子も簡単にここにきちまったし、由貴は引きつけやすいし……まさか」
虹雨がゆっくり後ろを見る。
「なんで」
当たりであった。見知らぬ男女2人が壁にもたれかかっていた。
「おかしい、さっきまでいなかったし……ネットサイトの事故物件にはここは炎上しとらんかったのに。やっぱ由貴、お前連れてきたんか」
「そう言うことになるんでしょう、死んだのがここじゃないところで……日中は多分死んだ所で2人して立ってるんやろな」
「まぁ良くあるパターンだが……そうだったら前の住人が死亡のためとかなるはずだが」
虹雨は男女2人の前に立った。2人は虹雨を見るなり会釈をする。2人の間に少し距離がある。
「なんでここに来た。何か言いたいことでもあるのか、伝えたいことでもあるのか」
「はじまった、虹雨先生の除霊タイム」
由貴はカメラを取り出して撮影を始めた。こういうことになるとテンションが上がる由貴。
「今はスエットやけどな」
「だったら着替えるか」
「まぁええわ。めんどくさい。サクッと除霊して今日はもう寝たいんや」
「僕はこの後編集作業残ってるんですけども」
「……はいはい、じゃあお二人さん。まずは自己紹介してや」
2人の男女は黙っている。なぜ黙っているのだろうか、由貴はごくりと唾を飲み込む。
「そか、話したくないんか……それに2人は恋人って感じやないな」
そう言うと2人はぎくっと反応した。虹雨はニヤッとする。
「ただのカップルやないな。曰く付きの……うーん、体の関係はない」
「なんでわかるんだ」
男の方が声を出した。女よりも若い。まだ20代前半、女性は30代後半。
「……互いの距離、彼女の方は少し怯えている。かといって誘拐犯とかではない」
「彼は、ミツオ君は誘拐犯ではないです」
女も声を出した。彼女の薬指には指輪がある。
「……俺が話すよ。ナナさん」
男、ミツオが語り出した。
0
お気に入りに追加
9
あなたにおすすめの小説
最終死発電車
真霜ナオ
ホラー
バイト帰りの大学生・清瀬蒼真は、いつものように終電へと乗り込む。
直後、車体に大きな衝撃が走り、車内の様子は一変していた。
外に出ようとした乗客の一人は身体が溶け出し、おぞましい化け物まで現れる。
生き残るためには、先頭車両を目指すしかないと知る。
「第6回ホラー・ミステリー小説大賞」奨励賞をいただきました!
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
THE TOUCH/ザ・タッチ -呪触-
ジャストコーズ/小林正典
ホラー
※アルファポリス「第6回ホラー・ミステリー小説大賞」サバイバルホラー賞受賞。群馬県の山中で起こった惨殺事件。それから六十年の時が経ち、夏休みを楽しもうと、山にあるログハウスへと泊まりに来た六人の大学生たち。一方、爽やかな自然に場違いなヤクザの三人組も、死体を埋める仕事のため、同所へ訪れていた。大学生が謎の老人と遭遇したことで事態は一変し、不可解な死の連鎖が起こっていく。生死を賭けた呪いの鬼ごっこが、今始まった……。
その影にご注意!
秋元智也
ホラー
浅田恵、一見女のように見える外見とその名前からよく間違えられる事が
いいのだが、れっきとした男である。
いつだったか覚えていないが陰住むモノが見えるようになったのは運が悪い
としか言いようがない。
見たくて見ている訳ではない。
だが、向こうは見えている者には悪戯をしてくる事が多く、極力気にしない
ようにしているのだが、気づくと目が合ってしまう。
そういう時は関わらないように逃げるのが一番だった。
その日も見てはいけないモノを見てしまった。
それは陰に生きるモノではなく…。
呪配
真霜ナオ
ホラー
ある晩。いつものように夕食のデリバリーを利用した比嘉慧斗は、初めての誤配を経験する。
デリバリー専用アプリは、続けてある通知を送り付けてきた。
『比嘉慧斗様、死をお届けに向かっています』
その日から不可解な出来事に見舞われ始める慧斗は、高野來という美しい青年と衝撃的な出会い方をする。
不思議な力を持った來と共に死の呪いを解く方法を探す慧斗だが、周囲では連続怪死事件も起こっていて……?
「第7回ホラー・ミステリー小説大賞」オカルト賞を受賞しました!
ツギハギ・リポート
主道 学
ホラー
拝啓。海道くんへ。そっちは何かとバタバタしているんだろうなあ。だから、たまには田舎で遊ぼうよ。なんて……でも、今年は絶対にきっと、楽しいよ。
死んだはずの中学時代の友達から、急に田舎へ来ないかと手紙が来た。手紙には俺の大学時代に別れた恋人もその村にいると書いてあった……。
ただ、疑問に思うんだ。
あそこは、今じゃ廃村になっているはずだった。
かつて村のあった廃病院は誰のものですか?
暗夜の灯火
波と海を見たな
ホラー
大学を卒業後、所謂「一流企業」へ入社した俺。
毎日毎日残業続きで、いつしかそれが当たり前に変わった頃のこと。
あまりの忙しさから死んだように家と職場を往復していた俺は、過労から居眠り運転をしてしまう。
どうにか一命を取り留めたが、長い入院生活の中で自分と仕事に疑問を持った俺は、会社を辞めて地方の村へと移住を決める。
村の名前は「夜染」。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる