最高で最強なふたり

麻木香豆

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ただいま

第四話

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 天狗様は涙を拭い、高座に座ってその前に虹雨はリラックスして胡座、と由貴が正座をしている。
 倉田と坊主2人は天狗様のすぐ横に正座して座る。とても異様な光景である。
そもそも天狗様の容姿は人間ではあるが体が大きく鼻もでかい。

 感情が昂ぶると全身赤くなる。天狗だからと言っても絵本や本に載っているような真っ赤な天狗とは違う。
そしてそんな天狗さまにお付きの背の高い男と坊主2人、黒尽くめの虹雨とカジュアルな由貴。

「まぁあれから色々あって、地元に残ってた虹雨も奮闘してくれて保たれたものの」
「奮闘やなくて働かされてたん、ほぼ無休で」

虹雨のげっそり具合から過酷さがわかる。

「なにゆうとる。お歳暮とかお中元とかお供えの残りとかお清めの塩とかやったろ」
「ああ、俺の給料はほぼ実家の居酒屋で働いた分やわ。そっちからはもらっとらんぞ……っ」

 と言う虹雨に、倉田の視線が痛い。黙った。天狗様は大きな咳払いをした。

「でもこうして由貴と戻ってきてくれたってことはまた手伝ってくれるってことやな! 嬉しいぞー」

 由貴は苦笑いする。そりゃ安月給で虹雨が辛い思いして子供の頃のように悪霊退治をしていたら割に合わない。子供の頃は好奇心旺盛で楽しくやっていたようなものだが、社会人になり賃金をもらって働くようになってからは前と同じではダメである。

「本当自分本位ですね、死ぬところを天狗様が助けてやったんですよ。しかも乞いた由貴の方がやる気もないなんて。それにまた死のうとしたなんて……都合良すぎです」

 倉田は立ち上がろうとしたが天狗様が宥めた。
「はい、都合良すぎですね。僕もわかってます」
「また彷徨って野垂れ死ぬ気ですか。大人しく天狗様の元で働いていればいいのです、あなたたちは」

 天狗様は倉田のその言葉にウンウンとうなずく。どっちが偉い人間なのだろうか、と思うのだが。

「まあまあ。……でも東京の方である程度子供の頃の感覚は思い出したろ、ぜひ古巣に戻ってまた頑張って欲しい」
「はい、頑張ります……」

 由貴はなんだかんだで優しい天狗様に鼓舞され、頑張らなくてはと思った。
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