最高で最強なふたり

麻木香豆

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真新しいエレベーター

第五話

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 夜。

「ああ、由貴が裏があるとか言い出すから気になって寝れんわ」
「羊数えよか」
「いい、羊が……やめとく」
「やめとこか」

 虹雨のクイーンベッドはエアーベッドでもある。そこに由貴と一緒に寝るが体格が大きく体重があるかは横で寝ているといつもとは違う寝心地でもある。

「率直に僕が横にいるから寝られんとか」
「……それもある」
「はっきりいえばいいのに」
「言うほどではない」
「てか寝るのは子供の頃以来やな」
「そやな……でも布団一枚だといまめっちゃ嫌」
「すまんなぁ」
「ええわ、あっちに返ったら布団買えばええわ」
「僕もこれ買うわ」
「ええぞ、これ。もともとキャンプ用品メーカーが作ってな。メインはテントとかグリルとかそっちがメインだが寝具としては異例の大ヒット。昨今のソロキャンプブームでキャンパーがこのベッドの採用、コンパクトに収納できて電動手動で好みの硬さに膨らませてお手入れも簡単、だったら家でも使えるって口コミで広がってな、特に一人暮らしの若者、単身赴任の多い中高年……って、寝てる!」

 虹雨が力説している間に由貴は寝てしまったようだ。
 布団もかけずに寝てしまったようで虹雨はやれやれという顔で布団をかけてやる。

「別にこれキングサイズやで買わんでもええけどな、おやすみ……由貴」
 由貴の寝顔を見ると昔の頃の寝顔を思い出す。子供の頃よく遊んで昼寝して。幼馴染との過去に浸って虹雨は眠りにつく……。






 翌朝。

 ベッドから虹雨は落ち、由貴が真ん中にドーンといびきをかいて寝ていた。

「やっぱり撤回……絶対ベッドは別々や」
 そう寝起きに虹雨がつぶやくと
「ん……なんや、もう朝か」

 と由貴。

「そや、もう朝や。よかったな! 熟睡できて」
「おう、めっちゃええベッドー。ふぁああっ」
「やるわ、それ。引っ越したら」
「いや、ええって。2人で寝りゃええやん」

 という由貴にハッとしてしまう虹雨。自分も2人で寝ればいいとは思っていたがやはり今日のような寝相だと無理だとは思ったのであった。

 そして虹雨が朝食を作る。

「僕が来てから幽霊の彼女さんたちは来なくなったけどすまんな」
「すまんな、じゃないし彼女でもないし」
「ちゃんと作れるんなら作りやええのに」
「とにかく1人の時は時間なかったんや……それにあっちからやるやるーってからしゃーないで頼んだまでやて」
「ふぅん」

 スクランブルエッグとトーストとベーコンの朝食。

「いただきます」
「いただきます」
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