最高で最強なふたり

麻木香豆

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真新しいエレベーター

第四話

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 虹雨が部屋の片付けをしている中、由貴は動画の視聴者のコメントを見ていた。エゴサも仕事の一つと虹雨が由貴に教えていた。だが由貴は少しかったるそうに見ていた。

「やっぱり視聴者にみえない除霊動画よりもラーメン動画の方がコメントも視聴回数もポジティブなんだよなぁ」
「あと由貴のリアクションが大きいやつも結構回ってんだよ」
「やったね」
「俺にあって由貴にあるもの……はぁ、こっちはずっとやってんのに新参者に負けるとはな」
「でも虹雨の人気も一部信者的な人もいるわけだし落ち込むことないよ」
「まぁな」
「少しは謙遜して手を素早く動かしたら、荷物も多そうだし」
「これでも少ない方だ、ルームロンダリングの依頼がいつきてもいいようにスーツケース二個で住むようにしているんや」
「僕は一個で十分かも」

 ふと部屋の片隅に置かれた由貴の荷物。機材がほぼ占めている。

「お前本当にこれだけでよく生きられるな」
「機材があればあとは何もいらない」
「でもただの宝の持ち腐れだったろ。自分で動画やろうとか思わなかったのか」
「撮ってたよ。でもただこうやってネガティブな意見とかが嫌で自己満だった」
「……って撮っていたやつ見たけど景色とか動物とか……」
「勝手にみるなよ」
「見れる所に置くからやろ」
「で、感想は」
「感想は……」

 虹雨は片付けに戻った。

「言わないんかい」
「……お前のやりたかったことと社会がマッチングしなかっただけやな。もったいない」
「でも今、虹雨と再会して実現しかけているのに、また暗雲立ち込めた感じ」
「あの夜救われなかったことを考えるとよかったやんか」
「ほらこうやって自分のやったことを称えようとするのが昔から変わらん、ムカつく」
「ムカつくってそうやって指摘するのがムカつくわ。もっと感謝せい、母ちゃんもお前と俺が住める家を探してくれてるし」
「はいはい」

 そうである、虹雨の母がそのあと冗談だったと電話をかけ直してきて(冗談を言うのは日常茶飯事な虹雨の母らしい性格である)実家の近くで2人の部屋を探してくれるとのことである。

「家を探してくれるけど、家賃とか引っ越し費用は俺ら持ちだからもっと稼がないとなぁ。所長に報告したら引っ越し代金と家賃を立て替えてくれるって、即答」
「すご、所長とできとんのか」
「たわけ、所長は人妻でアラフィフ」
「熟女と不倫……」
「たわけかっ!!!」
「はいはいー片付けしようねー」
 いつものように宥める由貴。
「でも即答だなんてなんか裏あるやないの」
「あ……」
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