最高で最強なふたり

麻木香豆

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真新しいエレベーター

第二話

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 休憩もほどほどにし、由貴は噂のコンビニの動画をネット上にアップした。

「よし、これでオッケーや」
「おつかれさん、疲れたやろ」
「虹雨が労いの言葉なんて雨が降る、ひどい話……雪、猛吹雪、雹霰」
「んなことあるかい」

 と虹雨が鼻で笑った瞬間、外は急に暗くなり、けたたましい音が。

「ほれみ」

 由貴は指差して笑った。

「うわーっ、すげー言霊」
「言霊とかゆうな、うさんくさい」
「なんや、うさんくさいって……本当に言霊は存在するんや」
「へぇ、って……あ、下着干したままや」
「うわ、はよせぇ、飛んでいったらどうするんや」

 虹雨は慌ててベランダに行った。


「……下に落ちてしもた」
「言霊、すっご」
「やら、言霊はあるんや……下取りに行こや」
「おう、てか下って……」

 由貴と虹雨はベランダを見た。

「これ以上言うな」
「言霊、やろ」



 2人はエレベーターに乗る。

「このエレベーターもなんか新しいな」
「やっぱ気づいたか」
「あぁ、外観の割には真新しい……って」
「これ以上いうのはよそうか」
「うん、なんとなく今はやめとくわ」

 何かを知ってる虹雨。絶対何かあるかと察する由貴。エレベーターは1階に着いた。洗濯物が落ちた場所は一階住人のベランダと駐車場の間の植え込みであった。

「初めてきた。綺麗に剪定されているな」
「でもここにあの男が落ちたんやろ」
「そやな、でも誰も花束とかおかんのやな」
「そやろ、家族全員死んじゃったし……」

 なかなか手を伸ばすが虹雨は洗濯物に届かない。すると手の長い由貴がひょいと取り上げる。

「あんがと」
「おう、って下着汚れちゃったなぁ……また洗濯しなおしやな」
「買いに行くか、ついでにこの街案内してやる」
「そうだな。ここにはまだ住みたいし」
「そやな、ここは悪くないで。都会だけども落ち着いとる。管理人さんに連絡してお前も住めるか聞いてみなきゃなぁ」
「住めないこともあるの」
「そやな、一応申請しなかん……曰く付きの部屋だったらそれくらい多めに見てくれるやろうけどな」

 すると2人の元に頭のはげた中年の男がやってきた。
「あっどうも」
「管理人さん」
 その男はアパートの管理人だった。彼は掃除道具を持っている。この辺りの掃除だろう。
「ちょうどよかった。ここに落ちた男の部屋、除霊させていただきましたことをご報告します」
「あー、ほんとかね。それはよかった」
「上司には報告済みですから時期に連絡があります」
「……そうかいそうかい」

 依頼をしたのはこの管理人だが、少し浮かない顔をしている。

「あとしばらくこの男も同居する予定なんですが……」

 由貴は頭を下げた。しかしまだ浮かない顔をする管理人。

「すまない、実は……」
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