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再会
第二話
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「いててっ、このっ。何しやがるんや!……ん?」
「……由貴?!」
「虹雨《こう》?!」
何故この誰も知らないような場所に数年ぶりの幼なじみの再会があるとは。互いに驚いていた。昔との格好は違えど、暗い中だけどすぐわかった。
「由貴、こんな屋上から飛び降りようとして……」
「それはその……あっ!」
由貴は振り返った。もう一人柵の向こうにいた女の子のことを思い出したのだ。
だが柵の向こうには誰もいない。
「……もしかして女の子、飛び降りたんじゃ」
由貴は慌てて階段を降りる。
「待て! 由貴。落ち着けや!!」
虹雨も追いかける。
下まで行くが誰もいないし何も落ちていない。
「なんやったん? あの子は……」
「……由貴もみえたんか、あの子」
「虹雨もみえたん?」
「まさか」
虹雨はうなずいた。
この二人は幼稚園の頃から幼馴染で、虹雨が投げた紙飛行機が由貴の頭にコツンと当たったことがきっかけだ。子供の頃というものはそういう些細なことでよく喧嘩があり、二人はしょっちゅう喧嘩した。
神経質で頑固ですぐ泣いて気を引かせようとする虹雨に、鈍臭くて不器用な由貴がどんぐりをたくさん拾って渡して和解していた。
そんな2人が再会したのだ。由貴は虹雨に抱きつく。
「な、なんや……由貴!」
「とにかく助けてくれてありがとう!」
「死のうとしてたんやな、満月の引き潮の時間……弱ってるお前を誰かが連れて逝こうとしたんや、あっちの世界に、っぐうううっ!」
ぎゅうううっと由貴はさらに抱きつく。由貴の方が背が高いため虹雨は苦しむ。
「苦しい! 昔よりお前大きくなっとるし、なんやこのくっさいにおい!」
「死ぬ前にと、なけなしの金で入った銭湯のボディソープの匂い……」
「どきつい」
「確か期間限定、金木犀の匂い」
「やめてくれ、匂いがうつる!」
「……たのむ! 虹雨。しばらく家に入れてくれんか!」
由貴は頭を下げる。
「お前と全く連絡取れんくなって同級生からも聞かれたん。お前の由貴はどうしたんやって」
「お前の由貴、て言い方」
「……僕ら仲良かったからな」
「お前の由貴。ねぇ」
「くりかえさんでもええ。おばさんに聞いても連絡取れなくなったからってもしかしたら最近流行りの神隠しかもしれんって大騒ぎしてんぞ」
「神隠しに最近ってあるのか、どちらかといえば昔やろ。それに家族とはもう縁を切ってる!」
「……まぁ、そうだろな」
虹雨はある程度事情は知っている。
「……由貴?!」
「虹雨《こう》?!」
何故この誰も知らないような場所に数年ぶりの幼なじみの再会があるとは。互いに驚いていた。昔との格好は違えど、暗い中だけどすぐわかった。
「由貴、こんな屋上から飛び降りようとして……」
「それはその……あっ!」
由貴は振り返った。もう一人柵の向こうにいた女の子のことを思い出したのだ。
だが柵の向こうには誰もいない。
「……もしかして女の子、飛び降りたんじゃ」
由貴は慌てて階段を降りる。
「待て! 由貴。落ち着けや!!」
虹雨も追いかける。
下まで行くが誰もいないし何も落ちていない。
「なんやったん? あの子は……」
「……由貴もみえたんか、あの子」
「虹雨もみえたん?」
「まさか」
虹雨はうなずいた。
この二人は幼稚園の頃から幼馴染で、虹雨が投げた紙飛行機が由貴の頭にコツンと当たったことがきっかけだ。子供の頃というものはそういう些細なことでよく喧嘩があり、二人はしょっちゅう喧嘩した。
神経質で頑固ですぐ泣いて気を引かせようとする虹雨に、鈍臭くて不器用な由貴がどんぐりをたくさん拾って渡して和解していた。
そんな2人が再会したのだ。由貴は虹雨に抱きつく。
「な、なんや……由貴!」
「とにかく助けてくれてありがとう!」
「死のうとしてたんやな、満月の引き潮の時間……弱ってるお前を誰かが連れて逝こうとしたんや、あっちの世界に、っぐうううっ!」
ぎゅうううっと由貴はさらに抱きつく。由貴の方が背が高いため虹雨は苦しむ。
「苦しい! 昔よりお前大きくなっとるし、なんやこのくっさいにおい!」
「死ぬ前にと、なけなしの金で入った銭湯のボディソープの匂い……」
「どきつい」
「確か期間限定、金木犀の匂い」
「やめてくれ、匂いがうつる!」
「……たのむ! 虹雨。しばらく家に入れてくれんか!」
由貴は頭を下げる。
「お前と全く連絡取れんくなって同級生からも聞かれたん。お前の由貴はどうしたんやって」
「お前の由貴、て言い方」
「……僕ら仲良かったからな」
「お前の由貴。ねぇ」
「くりかえさんでもええ。おばさんに聞いても連絡取れなくなったからってもしかしたら最近流行りの神隠しかもしれんって大騒ぎしてんぞ」
「神隠しに最近ってあるのか、どちらかといえば昔やろ。それに家族とはもう縁を切ってる!」
「……まぁ、そうだろな」
虹雨はある程度事情は知っている。
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