72 / 93
短編集
怪しいキャンディ
しおりを挟む
夜。李仁が酔った状態で帰ってきた。知り合いの誕生日パーティーから帰ってきたようだ。
「たらいまぁ️」
「李仁、大丈夫? どうやって帰ってきたの?」
「わかんなぁい……、ミナ君️」
「うわ、酒臭っ」
「テキーラ飲んだのぉー」
お酒に強い李仁だが、流石にテキーラには負けたようだ。目がトロンとして、足もおぼつかない。
「おみやげーぇ。なんかねぇ、二次会でこんなキャンディをもらったのー」
とハートの形で怪しい色のキャンディ入った袋を手にしていた。もう片手には引き出物の入った紙袋。ところどころ汚れ、破れかかっている。
「キャンディよりも、まずお水のもう、ね!」
と湊音は李仁をソファーに座らせて台所まで行き、ウォーターサーバーの水をカップに入れる。
急いで戻ると、李仁はさっきより目がトロンとしている。
「……まさか!!!」
李仁の足元にはあの怪しいキャンディの袋。
「ミナ君ー」
強い力で引っ張られてコップのグラスを湊音は落として割ってしまった。
「やばい、破片が……」
「そんなの、後でいいの」
と湊音は利き手を李仁に力強く持たれて動けない。ソファーに押し倒されて、上着を勢いよく流され、李仁もランニングだけになり湊音の首を強く押さえてキスをした。
「あっ……!!!」
湊音は口の中に何か熱いものが入っていくのを感じた。
「しまったぁ」
あのキャンディ……熱くて、苦味の中に甘さもあって不思議な感覚。
李仁はすごく鼻息が荒く、舌もすごく絡んでくる。手の力は強く、下半身がいつも以上にでかく、熱くなっている。
「李仁ぉおおお……っ」
湊音もすぐ効き目が身体中に回り、一番下半身のところに集中するのがわかる。
滅多にお酒に溺れず、媚薬も嫌がる李仁がここまで激しくなってしまうのは……と湊音は少し残っていたまともな脳みその一部で思い出す……。
李仁にとって嫌なことが起きた時だ。彼は怒りを怒りとして表さない。笑いながら相手に自分の思いのままコントロールして自分の気の済むまでぶつけるのだ。
「ミナ君、ビデオ回していい???」
『やばい、完全にイッてる……』
と思いながらも湊音はコントロールが効かない。
今日、李仁は元彼の結婚式に呼ばれバーテンダーとしてパフォーマンスをしたそうだ。
幸せを見せつけられたのだろうか。その中でも笑顔でずっといたのかと思うと……湊音は李仁が不憫に思えてきた。
もう身体を預けるしかなかった。
『彼の気がすむのならば』
湊音の口からよだれが垂れる。
ニヤニヤと笑う李仁が、ビデオカメラ片手に。
気の済むまま、と……。
湊音は目を覚ますと深い眠りに落ちた李仁が横に寝ていた。
「僕だって嫌だよ、好きだった人の結婚式呼ばれるの」
とこっそりビデオを見る。昨晩の夜の二人の記録……あまり記憶にない湊音だが、いつも以上に荒れて荒んでいる李仁と、自分のみっともないケダモノのような表情と動き。
湊音は見るのやめた。
湊音は朝ごはんを食べてそのあとはダイニングで仕事をしていた。そして昼過ぎにようやく目が覚めてノソノソと李仁がやってきた。
「おはよ、ミナ君」
「おはよ。体調どう?」
「んー、わかんない……シーツさっき洗濯機に入れて今、回してる」
「うん。わかった」
「……」
李仁はウォーターサーバーの水を飲んだ。
「ごめん、昨日はひどく酔っちゃったみたい」
酔った自覚はあるようだ。
「昨日なんか嫌なことでもあった?」
と湊音がいうと、李仁がぎくっとした。
「わたし、ミナ君にひどいことしちゃった? 酔った勢いで……」
「ご想像にお任せします……」
「シーツが……ね、うん……ごめん……」
キャンディも差し出すと李仁はそれをもらった記憶はある、とのこと。
「昨日行った結婚式はゲイダンサー仲間で元彼の結婚式だったけどら相手めっちゃくちゃマッチョの子でぇー。かっこよかったのぉ。その人もゲイダンサーでね、胸板厚くって。かっこよかったぁー」
と、うっとりしている様子。そしてスマートフォンで撮影した写真を見るとお姫様抱っこしてもらってる李仁が……。
湊音はムッとする。
『一体僕はなんのためにストレス発散させられてたんだ、あ?!』
「でねでね、仲間の一人ガァー、ミナ君の写真見せてっていうから見せたら『そんなチビのどこがいいの?』て。笑われて。すっごく腹立ったの。」
「え、それでイラついた……」
「うん。二次会でテキーラ飲んでグダ巻いてやったわ。元彼も笑ってたからあんたとその相手よりイチモツでっかいよって。……まぁ今はタチだってことは言ってないけどさ……」
「李仁……」
と言って李仁はスマートフォンから写真を削除した。
「過去のことは忘れましょー、ふふん」
「昨日の晩のことは忘れたと言わせないぞ」
「なんの話?」
とぼけてるのか本当に忘れてるのか……事実を知ったのはそのあとビデオカメラの映像を見たあとだった。
終
「たらいまぁ️」
「李仁、大丈夫? どうやって帰ってきたの?」
「わかんなぁい……、ミナ君️」
「うわ、酒臭っ」
「テキーラ飲んだのぉー」
お酒に強い李仁だが、流石にテキーラには負けたようだ。目がトロンとして、足もおぼつかない。
「おみやげーぇ。なんかねぇ、二次会でこんなキャンディをもらったのー」
とハートの形で怪しい色のキャンディ入った袋を手にしていた。もう片手には引き出物の入った紙袋。ところどころ汚れ、破れかかっている。
「キャンディよりも、まずお水のもう、ね!」
と湊音は李仁をソファーに座らせて台所まで行き、ウォーターサーバーの水をカップに入れる。
急いで戻ると、李仁はさっきより目がトロンとしている。
「……まさか!!!」
李仁の足元にはあの怪しいキャンディの袋。
「ミナ君ー」
強い力で引っ張られてコップのグラスを湊音は落として割ってしまった。
「やばい、破片が……」
「そんなの、後でいいの」
と湊音は利き手を李仁に力強く持たれて動けない。ソファーに押し倒されて、上着を勢いよく流され、李仁もランニングだけになり湊音の首を強く押さえてキスをした。
「あっ……!!!」
湊音は口の中に何か熱いものが入っていくのを感じた。
「しまったぁ」
あのキャンディ……熱くて、苦味の中に甘さもあって不思議な感覚。
李仁はすごく鼻息が荒く、舌もすごく絡んでくる。手の力は強く、下半身がいつも以上にでかく、熱くなっている。
「李仁ぉおおお……っ」
湊音もすぐ効き目が身体中に回り、一番下半身のところに集中するのがわかる。
滅多にお酒に溺れず、媚薬も嫌がる李仁がここまで激しくなってしまうのは……と湊音は少し残っていたまともな脳みその一部で思い出す……。
李仁にとって嫌なことが起きた時だ。彼は怒りを怒りとして表さない。笑いながら相手に自分の思いのままコントロールして自分の気の済むまでぶつけるのだ。
「ミナ君、ビデオ回していい???」
『やばい、完全にイッてる……』
と思いながらも湊音はコントロールが効かない。
今日、李仁は元彼の結婚式に呼ばれバーテンダーとしてパフォーマンスをしたそうだ。
幸せを見せつけられたのだろうか。その中でも笑顔でずっといたのかと思うと……湊音は李仁が不憫に思えてきた。
もう身体を預けるしかなかった。
『彼の気がすむのならば』
湊音の口からよだれが垂れる。
ニヤニヤと笑う李仁が、ビデオカメラ片手に。
気の済むまま、と……。
湊音は目を覚ますと深い眠りに落ちた李仁が横に寝ていた。
「僕だって嫌だよ、好きだった人の結婚式呼ばれるの」
とこっそりビデオを見る。昨晩の夜の二人の記録……あまり記憶にない湊音だが、いつも以上に荒れて荒んでいる李仁と、自分のみっともないケダモノのような表情と動き。
湊音は見るのやめた。
湊音は朝ごはんを食べてそのあとはダイニングで仕事をしていた。そして昼過ぎにようやく目が覚めてノソノソと李仁がやってきた。
「おはよ、ミナ君」
「おはよ。体調どう?」
「んー、わかんない……シーツさっき洗濯機に入れて今、回してる」
「うん。わかった」
「……」
李仁はウォーターサーバーの水を飲んだ。
「ごめん、昨日はひどく酔っちゃったみたい」
酔った自覚はあるようだ。
「昨日なんか嫌なことでもあった?」
と湊音がいうと、李仁がぎくっとした。
「わたし、ミナ君にひどいことしちゃった? 酔った勢いで……」
「ご想像にお任せします……」
「シーツが……ね、うん……ごめん……」
キャンディも差し出すと李仁はそれをもらった記憶はある、とのこと。
「昨日行った結婚式はゲイダンサー仲間で元彼の結婚式だったけどら相手めっちゃくちゃマッチョの子でぇー。かっこよかったのぉ。その人もゲイダンサーでね、胸板厚くって。かっこよかったぁー」
と、うっとりしている様子。そしてスマートフォンで撮影した写真を見るとお姫様抱っこしてもらってる李仁が……。
湊音はムッとする。
『一体僕はなんのためにストレス発散させられてたんだ、あ?!』
「でねでね、仲間の一人ガァー、ミナ君の写真見せてっていうから見せたら『そんなチビのどこがいいの?』て。笑われて。すっごく腹立ったの。」
「え、それでイラついた……」
「うん。二次会でテキーラ飲んでグダ巻いてやったわ。元彼も笑ってたからあんたとその相手よりイチモツでっかいよって。……まぁ今はタチだってことは言ってないけどさ……」
「李仁……」
と言って李仁はスマートフォンから写真を削除した。
「過去のことは忘れましょー、ふふん」
「昨日の晩のことは忘れたと言わせないぞ」
「なんの話?」
とぼけてるのか本当に忘れてるのか……事実を知ったのはそのあとビデオカメラの映像を見たあとだった。
終
0
お気に入りに追加
20
あなたにおすすめの小説
小さなことから〜露出〜えみ〜
サイコロ
恋愛
私の露出…
毎日更新していこうと思います
よろしくおねがいします
感想等お待ちしております
取り入れて欲しい内容なども
書いてくださいね
よりみなさんにお近く
考えやすく
ママと中学生の僕
キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。
クラスメイトの美少女と無人島に流された件
桜井正宗
青春
修学旅行で離島へ向かう最中――悪天候に見舞われ、台風が直撃。船が沈没した。
高校二年の早坂 啓(はやさか てつ)は、気づくと砂浜で寝ていた。周囲を見渡すとクラスメイトで美少女の天音 愛(あまね まな)が隣に倒れていた。
どうやら、漂流して流されていたようだった。
帰ろうにも島は『無人島』。
しばらくは島で生きていくしかなくなった。天音と共に無人島サバイバルをしていくのだが……クラスの女子が次々に見つかり、やがてハーレムに。
男一人と女子十五人で……取り合いに発展!?
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
【連載再開】絶対支配×快楽耐性ゼロすぎる受けの短編集
あかさたな!
BL
※全話おとな向けな内容です。
こちらの短編集は
絶対支配な攻めが、
快楽耐性ゼロな受けと楽しい一晩を過ごす
1話完結のハッピーエンドなお話の詰め合わせです。
不定期更新ですが、
1話ごと読切なので、サクッと楽しめるように作っていくつもりです。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーー
書きかけの長編が止まってますが、
短編集から久々に、肩慣らししていく予定です。
よろしくお願いします!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる