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短編集

景色

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「先生さようならー」
「さようならー」
 下校する生徒を見送る。少し雨が降っていてどんよりした感じだ。
 今日は部活動の指導は無し。テスト期間中だから。
 僕の仕事はやまほどあるけどね。職員室に戻ると、後輩の高橋を始め同じ学年の先生たちが今日終わったテストの丸つけを始めていた。

「主任、なんか今回平均点がかなり低くなってしまいました……。ちゃんとこういうふうに出るよ、と言ったのですけどね。応用もでるよとか言ったのに……なかなか伝わってない」
 と、高橋はため息をつく。テスト用紙を見るが少し応用にしては難しいぞ、これは。

 他の教科の部下たちからも相談を受けたり、教頭や生徒指導から相談や報告を受け、ようやく自分の仕事ができる、とヘトヘトになる。

 ふと携帯を見ると、李仁からメールが。
「お疲れ様。私は営業終了、直帰です。スーパーで買い物して、美味しいご飯作って待ってます」
 そうか、今日はバーの仕事ないんだね。まだ終わりそうもないけどなぁ。

「あ、さっきね。虹を見たの」
 と一緒に添えられた虹の写真。本当に綺麗だ。今慌てて外に出てみたが夕焼けだった。

 雨は上がってた。一瞬の出来事だったろうか。惜しいことをした。でも李仁が教えてくれた。

 彼はふとしたことでもメールをくれる。写真付きで。それは深い仲になる前からもそうだった。

 満月だよーって、月の写真送ってくれたり、空が綺麗だったからと空の写真を送ってくれたり。ご飯美味しくできたのって、料理の写真を、送ってきたり。

 付き合ってからこういうことって減るかと思ったら結婚してからもちょくちょく送ってくるからかわいいな、とか思ってしまう。

 感性が鋭いのかな。僕は虹を見ても、虹だ、しか思えないし。それを見て! とかわざわざメール送らないし。

 ん? そう思うと、他の人にもそうやってメールを送ってたりするのだろうか。
だと思うとなんか……なぁ……。




=======  
 家に帰ると李仁が出迎えてきてくれた。薔薇柄のエプロン。普段バーテンダーの時はビシッとスーツで料理してかっこいいけど、家にいるときはガラッと変わって若奥様風になるのだ。
「おかえり、ミナ君️」
「李仁、ただいま」
 キスをして暫く抱擁。たまに耐えきれなくて玄関でいちゃつくが、今日は少し疲れてしまった。そのまま台所へ。

「いまね、サラダ作ってたの。マカロニサラダ」
「じゃあ僕は食器洗いするね」 
「うん、ドレッシングどうしようかなー」
 李仁は手際よく料理と片付けをしているけど、気づいた人が家事をやるスタイル。僕も料理好きだから疲れていてもやるのだ。

「シンプルにマヨネーズがいいな」
「オッケー❤️」
 隣同士で何かをしてるのが良い、お互い仕事が忙しいからこういう時間こそそばにいたいのだ。

「李仁、虹見れなかったよ」
「良かったーメールして。ちょっとの間だったよー。ミナ君も見てるかなぁって」
「忙しくて外を見る時間なくてさ」
「かと思った。ミナ君はね、こんつめるとそこにずーっと頭いっちゃうもん」
 確かにそうである。図星だ。

「私もそうなりそうだけどさ、ダメだーっと思ってふと外を見るの。そういう時に素敵な景色見えちゃうんだよねー。で、その景色見て、ミナ君も見てるかな?とか思うと仕事頑張れちゃう️」
 で、写真撮ってメールしてくれるのか。

「はい、サラダできたー️」
「あ、ミニトマト残ってるから切って入れる」
「うんうん、入れてっ️」
「入れてっの、言い方!」
「ふふふ️」





=====
「入れてっ……李仁ぉ……」
「まぁだ、もっと遊ばせて❤️」
「いやだよぉ、李仁が欲しい……」
 お風呂に入り、ベッドではイチャイチャタイム。もう十分遊ばれているのだが、李仁の意地悪。

 四つん這いになり、後ろから羽交い締めにされてローションたっぷりと僕のアレにつけて何度もしごかれて……入れられる前にイッちゃいそう。

「あー、ミナ君。外見てぇ」
 もうかなり絶頂しそうな僕。ふと顔を上げると、目の前には大きな満月。

「ああっ、綺麗だね……って……もう、ダメだって……あっ、あっ……!!」

「そろそろ私、狼になっちゃおうかな️」
 ローションをさらにたっぷりつけられて……一気に李仁が入ってくる。彼の手は僕のを握って動いたまま……あっ、さらなる絶頂が……!


「ミナ君っ……」
「ダメだ、もう……!!!!」
 すごい勢い……っ。

 たくさんシーツに僕のところから放たれた白い液が飛び散る。
 李仁のモノが温かく、僕の中で放たれている。ゴム越しだけど。
「ミナ君️っ」
 まだ軽く腰を振る李仁。まだ余韻を楽しんでいるようだ。
 僕はぼんやりと窓を見る。あの満月が雲に覆いかぶさった。ほんの一瞬見えただけだったんだ……。

「李仁のおかげで……綺麗な満月見れたよ。ありがとう……」
 李仁は微笑んだ。

「今度は虹を一緒に見ようね️」
「うん」

 素敵な景色を見せてくれる李仁、そんな彼のことが本当に好きだ。
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