66 / 93
短編集
景色
しおりを挟む
「先生さようならー」
「さようならー」
下校する生徒を見送る。少し雨が降っていてどんよりした感じだ。
今日は部活動の指導は無し。テスト期間中だから。
僕の仕事はやまほどあるけどね。職員室に戻ると、後輩の高橋を始め同じ学年の先生たちが今日終わったテストの丸つけを始めていた。
「主任、なんか今回平均点がかなり低くなってしまいました……。ちゃんとこういうふうに出るよ、と言ったのですけどね。応用もでるよとか言ったのに……なかなか伝わってない」
と、高橋はため息をつく。テスト用紙を見るが少し応用にしては難しいぞ、これは。
他の教科の部下たちからも相談を受けたり、教頭や生徒指導から相談や報告を受け、ようやく自分の仕事ができる、とヘトヘトになる。
ふと携帯を見ると、李仁からメールが。
「お疲れ様。私は営業終了、直帰です。スーパーで買い物して、美味しいご飯作って待ってます」
そうか、今日はバーの仕事ないんだね。まだ終わりそうもないけどなぁ。
「あ、さっきね。虹を見たの」
と一緒に添えられた虹の写真。本当に綺麗だ。今慌てて外に出てみたが夕焼けだった。
雨は上がってた。一瞬の出来事だったろうか。惜しいことをした。でも李仁が教えてくれた。
彼はふとしたことでもメールをくれる。写真付きで。それは深い仲になる前からもそうだった。
満月だよーって、月の写真送ってくれたり、空が綺麗だったからと空の写真を送ってくれたり。ご飯美味しくできたのって、料理の写真を、送ってきたり。
付き合ってからこういうことって減るかと思ったら結婚してからもちょくちょく送ってくるからかわいいな、とか思ってしまう。
感性が鋭いのかな。僕は虹を見ても、虹だ、しか思えないし。それを見て! とかわざわざメール送らないし。
ん? そう思うと、他の人にもそうやってメールを送ってたりするのだろうか。
だと思うとなんか……なぁ……。
=======
家に帰ると李仁が出迎えてきてくれた。薔薇柄のエプロン。普段バーテンダーの時はビシッとスーツで料理してかっこいいけど、家にいるときはガラッと変わって若奥様風になるのだ。
「おかえり、ミナ君️」
「李仁、ただいま」
キスをして暫く抱擁。たまに耐えきれなくて玄関でいちゃつくが、今日は少し疲れてしまった。そのまま台所へ。
「いまね、サラダ作ってたの。マカロニサラダ」
「じゃあ僕は食器洗いするね」
「うん、ドレッシングどうしようかなー」
李仁は手際よく料理と片付けをしているけど、気づいた人が家事をやるスタイル。僕も料理好きだから疲れていてもやるのだ。
「シンプルにマヨネーズがいいな」
「オッケー❤️」
隣同士で何かをしてるのが良い、お互い仕事が忙しいからこういう時間こそそばにいたいのだ。
「李仁、虹見れなかったよ」
「良かったーメールして。ちょっとの間だったよー。ミナ君も見てるかなぁって」
「忙しくて外を見る時間なくてさ」
「かと思った。ミナ君はね、こんつめるとそこにずーっと頭いっちゃうもん」
確かにそうである。図星だ。
「私もそうなりそうだけどさ、ダメだーっと思ってふと外を見るの。そういう時に素敵な景色見えちゃうんだよねー。で、その景色見て、ミナ君も見てるかな?とか思うと仕事頑張れちゃう️」
で、写真撮ってメールしてくれるのか。
「はい、サラダできたー️」
「あ、ミニトマト残ってるから切って入れる」
「うんうん、入れてっ️」
「入れてっの、言い方!」
「ふふふ️」
=====
「入れてっ……李仁ぉ……」
「まぁだ、もっと遊ばせて❤️」
「いやだよぉ、李仁が欲しい……」
お風呂に入り、ベッドではイチャイチャタイム。もう十分遊ばれているのだが、李仁の意地悪。
四つん這いになり、後ろから羽交い締めにされてローションたっぷりと僕のアレにつけて何度もしごかれて……入れられる前にイッちゃいそう。
「あー、ミナ君。外見てぇ」
もうかなり絶頂しそうな僕。ふと顔を上げると、目の前には大きな満月。
「ああっ、綺麗だね……って……もう、ダメだって……あっ、あっ……!!」
「そろそろ私、狼になっちゃおうかな️」
ローションをさらにたっぷりつけられて……一気に李仁が入ってくる。彼の手は僕のを握って動いたまま……あっ、さらなる絶頂が……!
「ミナ君っ……」
「ダメだ、もう……!!!!」
すごい勢い……っ。
たくさんシーツに僕のところから放たれた白い液が飛び散る。
李仁のモノが温かく、僕の中で放たれている。ゴム越しだけど。
「ミナ君️っ」
まだ軽く腰を振る李仁。まだ余韻を楽しんでいるようだ。
僕はぼんやりと窓を見る。あの満月が雲に覆いかぶさった。ほんの一瞬見えただけだったんだ……。
「李仁のおかげで……綺麗な満月見れたよ。ありがとう……」
李仁は微笑んだ。
「今度は虹を一緒に見ようね️」
「うん」
素敵な景色を見せてくれる李仁、そんな彼のことが本当に好きだ。
「さようならー」
下校する生徒を見送る。少し雨が降っていてどんよりした感じだ。
今日は部活動の指導は無し。テスト期間中だから。
僕の仕事はやまほどあるけどね。職員室に戻ると、後輩の高橋を始め同じ学年の先生たちが今日終わったテストの丸つけを始めていた。
「主任、なんか今回平均点がかなり低くなってしまいました……。ちゃんとこういうふうに出るよ、と言ったのですけどね。応用もでるよとか言ったのに……なかなか伝わってない」
と、高橋はため息をつく。テスト用紙を見るが少し応用にしては難しいぞ、これは。
他の教科の部下たちからも相談を受けたり、教頭や生徒指導から相談や報告を受け、ようやく自分の仕事ができる、とヘトヘトになる。
ふと携帯を見ると、李仁からメールが。
「お疲れ様。私は営業終了、直帰です。スーパーで買い物して、美味しいご飯作って待ってます」
そうか、今日はバーの仕事ないんだね。まだ終わりそうもないけどなぁ。
「あ、さっきね。虹を見たの」
と一緒に添えられた虹の写真。本当に綺麗だ。今慌てて外に出てみたが夕焼けだった。
雨は上がってた。一瞬の出来事だったろうか。惜しいことをした。でも李仁が教えてくれた。
彼はふとしたことでもメールをくれる。写真付きで。それは深い仲になる前からもそうだった。
満月だよーって、月の写真送ってくれたり、空が綺麗だったからと空の写真を送ってくれたり。ご飯美味しくできたのって、料理の写真を、送ってきたり。
付き合ってからこういうことって減るかと思ったら結婚してからもちょくちょく送ってくるからかわいいな、とか思ってしまう。
感性が鋭いのかな。僕は虹を見ても、虹だ、しか思えないし。それを見て! とかわざわざメール送らないし。
ん? そう思うと、他の人にもそうやってメールを送ってたりするのだろうか。
だと思うとなんか……なぁ……。
=======
家に帰ると李仁が出迎えてきてくれた。薔薇柄のエプロン。普段バーテンダーの時はビシッとスーツで料理してかっこいいけど、家にいるときはガラッと変わって若奥様風になるのだ。
「おかえり、ミナ君️」
「李仁、ただいま」
キスをして暫く抱擁。たまに耐えきれなくて玄関でいちゃつくが、今日は少し疲れてしまった。そのまま台所へ。
「いまね、サラダ作ってたの。マカロニサラダ」
「じゃあ僕は食器洗いするね」
「うん、ドレッシングどうしようかなー」
李仁は手際よく料理と片付けをしているけど、気づいた人が家事をやるスタイル。僕も料理好きだから疲れていてもやるのだ。
「シンプルにマヨネーズがいいな」
「オッケー❤️」
隣同士で何かをしてるのが良い、お互い仕事が忙しいからこういう時間こそそばにいたいのだ。
「李仁、虹見れなかったよ」
「良かったーメールして。ちょっとの間だったよー。ミナ君も見てるかなぁって」
「忙しくて外を見る時間なくてさ」
「かと思った。ミナ君はね、こんつめるとそこにずーっと頭いっちゃうもん」
確かにそうである。図星だ。
「私もそうなりそうだけどさ、ダメだーっと思ってふと外を見るの。そういう時に素敵な景色見えちゃうんだよねー。で、その景色見て、ミナ君も見てるかな?とか思うと仕事頑張れちゃう️」
で、写真撮ってメールしてくれるのか。
「はい、サラダできたー️」
「あ、ミニトマト残ってるから切って入れる」
「うんうん、入れてっ️」
「入れてっの、言い方!」
「ふふふ️」
=====
「入れてっ……李仁ぉ……」
「まぁだ、もっと遊ばせて❤️」
「いやだよぉ、李仁が欲しい……」
お風呂に入り、ベッドではイチャイチャタイム。もう十分遊ばれているのだが、李仁の意地悪。
四つん這いになり、後ろから羽交い締めにされてローションたっぷりと僕のアレにつけて何度もしごかれて……入れられる前にイッちゃいそう。
「あー、ミナ君。外見てぇ」
もうかなり絶頂しそうな僕。ふと顔を上げると、目の前には大きな満月。
「ああっ、綺麗だね……って……もう、ダメだって……あっ、あっ……!!」
「そろそろ私、狼になっちゃおうかな️」
ローションをさらにたっぷりつけられて……一気に李仁が入ってくる。彼の手は僕のを握って動いたまま……あっ、さらなる絶頂が……!
「ミナ君っ……」
「ダメだ、もう……!!!!」
すごい勢い……っ。
たくさんシーツに僕のところから放たれた白い液が飛び散る。
李仁のモノが温かく、僕の中で放たれている。ゴム越しだけど。
「ミナ君️っ」
まだ軽く腰を振る李仁。まだ余韻を楽しんでいるようだ。
僕はぼんやりと窓を見る。あの満月が雲に覆いかぶさった。ほんの一瞬見えただけだったんだ……。
「李仁のおかげで……綺麗な満月見れたよ。ありがとう……」
李仁は微笑んだ。
「今度は虹を一緒に見ようね️」
「うん」
素敵な景色を見せてくれる李仁、そんな彼のことが本当に好きだ。
0
お気に入りに追加
20
あなたにおすすめの小説
小さなことから〜露出〜えみ〜
サイコロ
恋愛
私の露出…
毎日更新していこうと思います
よろしくおねがいします
感想等お待ちしております
取り入れて欲しい内容なども
書いてくださいね
よりみなさんにお近く
考えやすく
クラスメイトの美少女と無人島に流された件
桜井正宗
青春
修学旅行で離島へ向かう最中――悪天候に見舞われ、台風が直撃。船が沈没した。
高校二年の早坂 啓(はやさか てつ)は、気づくと砂浜で寝ていた。周囲を見渡すとクラスメイトで美少女の天音 愛(あまね まな)が隣に倒れていた。
どうやら、漂流して流されていたようだった。
帰ろうにも島は『無人島』。
しばらくは島で生きていくしかなくなった。天音と共に無人島サバイバルをしていくのだが……クラスの女子が次々に見つかり、やがてハーレムに。
男一人と女子十五人で……取り合いに発展!?
ママと中学生の僕
キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
【連載再開】絶対支配×快楽耐性ゼロすぎる受けの短編集
あかさたな!
BL
※全話おとな向けな内容です。
こちらの短編集は
絶対支配な攻めが、
快楽耐性ゼロな受けと楽しい一晩を過ごす
1話完結のハッピーエンドなお話の詰め合わせです。
不定期更新ですが、
1話ごと読切なので、サクッと楽しめるように作っていくつもりです。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーー
書きかけの長編が止まってますが、
短編集から久々に、肩慣らししていく予定です。
よろしくお願いします!
ちょっと大人な体験談はこちらです
神崎未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない
ちょっと大人な体験談です。
日常に突然訪れる刺激的な体験。
少し非日常を覗いてみませんか?
あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ?
※本作品ではPixai.artで作成した生成AI画像ならびに
Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。
※不定期更新です。
※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる