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第三幕
図書館に籠る。
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私は街に戻って体力が戻るやいなや、図書館に向かった。鼻先を沢山の色とりどりな本の香りが擽る。懐かしいこの香りでやっと平和を実感した。
僕は流れるような足つきで司書しか入れない禁忌図書を収めた地下書庫に向かう。私が廊下を歩く度にいつもは消えている電気がその道を照らすように一個一個ついていく。地下に着けば、そこには誰も見たことがないであろう程の広さ空間が広がっていた。規則的に並んだ本棚を見れば相当な本好き出なければ億劫になりため息をつくかもしれない。しかし、私は幸いなことに本好きなので天国以外の何物でもない。
司書になれば大体の知識は年々受け継がれていく。つまりは、私のこの頭の中には受け継がれた知識が大量に入っているという事だ。しかしあまり役に立つものは無いので、私が知りたいことはしらべるしかなかった。本の位置が分かるだけいいと思った方がいいかもしれない。
記憶を頼りに真っ直ぐ目的の本がある場所に進む。それはかなり奥でそれだけであまり人が読まなかったことが感じ取れる。歩き始めて五分たったかたってないかぐらいの時間で私は目的の本を見つけた。埃をかぶったその本の背を指でなぞる。指先に灰色の埃が溜まり、本のタイトルが露わになる。
「『世界最初の災厄、グリンウェリアの悲劇』…。驚いた…、まさかグリンウェリアに災厄が訪れるのが二度目だったなんて…。」
本の著者は…アルフレッド・フルストレイン。他ならぬ私の師匠であり、グリンウェリア街立第一学校の校長の彼であった。
本が書かれたのは今から百年前。その本をかいたのは…。
「アルフレッド・フルストレイン…。まじかよ、ほんとに師匠百歳超えてたのか…。」
それが事実だと知れば、まぁ本人や周囲の人の口からは聞いていたが事実と知った今、僅かながらの驚愕を隠せない。しかしまぁほんとの問題はそこではない。前回した対策などが一切載っていないことだ。一体どうすればいいのだろうかと頭を抱え踞ろうとした時だった。後ろにいつの間にか居たサティスフィアが肩から顔を覗かせてきた。
「主、何を調べていますの?」
「百年前のグリンウェリアの災厄と、その対策について。サティスフィア何か知ってる?…ったってんなわけないよなー…。」
「どうでしょう…百年前、百年前…。」
しばらく考え込むように腕を組むサティスフィア。可愛い。そして唐突に声を上げた。
「あぁ、あのときですわね…。あれは酷かったです。」
「えっ知ってるの!?」
その声に驚いたのかすぐ側の棚で寝ていたエールが飛び起きた。
「私でよければお見せしますよ?主。」
私はその言葉にすぐさま答えた。
「お願い!!」
そう言えばサティスフィアは微笑んでスカートを軽くつまみ上品に頭を下げた。
「主命とあらば。」
僕は流れるような足つきで司書しか入れない禁忌図書を収めた地下書庫に向かう。私が廊下を歩く度にいつもは消えている電気がその道を照らすように一個一個ついていく。地下に着けば、そこには誰も見たことがないであろう程の広さ空間が広がっていた。規則的に並んだ本棚を見れば相当な本好き出なければ億劫になりため息をつくかもしれない。しかし、私は幸いなことに本好きなので天国以外の何物でもない。
司書になれば大体の知識は年々受け継がれていく。つまりは、私のこの頭の中には受け継がれた知識が大量に入っているという事だ。しかしあまり役に立つものは無いので、私が知りたいことはしらべるしかなかった。本の位置が分かるだけいいと思った方がいいかもしれない。
記憶を頼りに真っ直ぐ目的の本がある場所に進む。それはかなり奥でそれだけであまり人が読まなかったことが感じ取れる。歩き始めて五分たったかたってないかぐらいの時間で私は目的の本を見つけた。埃をかぶったその本の背を指でなぞる。指先に灰色の埃が溜まり、本のタイトルが露わになる。
「『世界最初の災厄、グリンウェリアの悲劇』…。驚いた…、まさかグリンウェリアに災厄が訪れるのが二度目だったなんて…。」
本の著者は…アルフレッド・フルストレイン。他ならぬ私の師匠であり、グリンウェリア街立第一学校の校長の彼であった。
本が書かれたのは今から百年前。その本をかいたのは…。
「アルフレッド・フルストレイン…。まじかよ、ほんとに師匠百歳超えてたのか…。」
それが事実だと知れば、まぁ本人や周囲の人の口からは聞いていたが事実と知った今、僅かながらの驚愕を隠せない。しかしまぁほんとの問題はそこではない。前回した対策などが一切載っていないことだ。一体どうすればいいのだろうかと頭を抱え踞ろうとした時だった。後ろにいつの間にか居たサティスフィアが肩から顔を覗かせてきた。
「主、何を調べていますの?」
「百年前のグリンウェリアの災厄と、その対策について。サティスフィア何か知ってる?…ったってんなわけないよなー…。」
「どうでしょう…百年前、百年前…。」
しばらく考え込むように腕を組むサティスフィア。可愛い。そして唐突に声を上げた。
「あぁ、あのときですわね…。あれは酷かったです。」
「えっ知ってるの!?」
その声に驚いたのかすぐ側の棚で寝ていたエールが飛び起きた。
「私でよければお見せしますよ?主。」
私はその言葉にすぐさま答えた。
「お願い!!」
そう言えばサティスフィアは微笑んでスカートを軽くつまみ上品に頭を下げた。
「主命とあらば。」
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