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第一幕

この近くに精神科は。

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 校長先生の口から聞こえた唐突な言葉。思わずはぁ?って言っちゃったけど私は悪くないよね…?
「先生…どういうことなんですか?」
そう尋ねると、先生は悩んだようにじっと窓を向いたまま止まっていたが、意を決したように正面を向く。しかし顔を見えないままだ。そしてその口を開いた。
「災厄のことを調べてると言ったね、それは何故か聞いていいかい?」
そう言った先生は相変わらず窓の外をじっと見たままだ。
「…前回のゴブリンのとき、先生は災厄も想定しろというようなことを言ってました。以前、父様の書斎で災厄に関する書物を読んだことがあるのを思い出し、万一を思ったが故です。」
そう言うと先生はため息をついて、こちらに歩いてきて私の正面の椅子に腰掛けた。先生の様子に夢中になってるうちに、この部屋は私と先生の二人になっていた。
「王都に人柱がいるというのは知ってるね?」
「本で読みました。」
 人柱。それはいざと言う時、神に供物として捧げられる一族の女性のことだ。例えば…災厄とか。そして、預言の力を持っているという。
「その人柱から預言が届いた。」
 内容は私の想像を遥かに超えたものだった。
「グリンウェリアの街に災厄の危機が迫っている。」
気まずい空気が部屋に流れる。そんな中口を開いたのは先生だ。
「その期間は具体的には予測できないが、そう遠くないらしい。いざと言う時、私が既に死んでいたら君に頼みたい。」
おやおや、先生は既に経験したことがあるようじゃないかぁ!?まぁ、冷静に考えて答えは簡単。私ほどの魔力はこの街にはほかにいない、さらに言うなれば先生はいつ死ぬかわからない。街のためだ、選択肢は限られてるも何も一つしかない。そんな私を見て先生は苦しそうに顔をゆがめる。
「…分かりました。引き受けましょう。」
これ以上、大切なものを失って溜まるものか…。やるならやるで足掻いてみせる。
そんな私の決意を読み取ったかのように先生はすまないと机に額をつけた。
 訓練は翌日から始まる。学校には時間が無いから行かないで欲しい、必要なことは自分が教える。それが条件として出された。ターナやイースは泣いてたが、アルゼ先輩やネズ先輩にカルト先輩も両親も元気で言ってこいと笑ってくれた。ケアドルなんてなかなか丁度いい小さな小屋をくれた。どんな餞別だよ、と思わず笑ったら困ることは無いからありがたい。そして明日はついに初めての訓練。
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