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第一幕
定期検診。
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私は手に構えていた木の棒をゴブリンの遥か向こうへ放り投げた。そしてゴブリンはその棒を視線で追いかけ...私はその間に家に向かってダッシュ。すると丁度パパが家から出てきた時だった。
「パーーーーパーーーーーーー!!!」
と叫べばその声に優しく微笑みながら振り向くも、直ぐに目を見開き腰の剣を抜いた。私の声に驚いたママが家から出てくる。
「ミレイ!!!エリを!!」
私がもう少しで家に着くと言ったところで、やはり子供の足は遅い。ゴブリンの手が背に届きそう...。こんなにも早く私の第二の人生は幕を閉じるのか...振り返って蹴飛ばすか??と思っていたその時。
『我が愛しき水の神々よ、愛しき命を守り給え!!!!』
その声に気を取られ足がもつれた私が、地面に転けて倒れるのと同時にママのバリアの魔法が完成して、私の体を覆った。それを確認するや否や、パパがゴブリンを叩き切った。ゴブリンは全身の端から灰になって風に吹かれて行った。魔物に襲われたのも、魔物と出くわしたのも、魔物を見たのも、魔物が散ったのも...初めての経験だった。私が体を起こしたらパパとママは駆け寄ってきて抱き抱えてくれる。その温もりに安堵したのか...。
「うっ...うあああああああああ」
大声で泣き出した。パパもママも優しく何度ももう大丈夫と言ってくれながらいつまでも、背中をさすってくれていた。それからしばらくして、私が落ち着いたら家を出た。
ここ、クリアウォールでは全ての子供たちは地元にやってきたアンドゥラウの医師たちのもと、自分達の属性を知る定期検診を受けさせられるらしい。面倒な制度だ...しかしこれは同時に社会の中にある不穏分子を見つけることをも意味するとか...?
うちに近いグリンウェリア街立第一学校に着けば、看護師さんからカーテンで完全に全ての窓、ドアが締め切られた教室のうち一つに案内された。
「先生、フラーズナー家の子です。」
部屋の中から嗄れた声で私で最後かと問いかける呆れたような声が聞こえた。看護師さんがため息をついて問答無用といった様子で私を中に入れた。教室の中は机やイスなんてものはなく、一輪の白に近い淡い七色の花が水の入った花瓶に入っておいてあった。
「さぁ、大変だったと思うが...すぐに始めさせてもらうよ?この花を持つだけでいい。さぁ。」
そう言われて差し出された花瓶から花を抜くと、あっという間にその花は一瞬赤く輝くと真っ赤な...しかし淡く輝く花となってしまった。首をかしげてると、医師はなんという事だと一言呟き、部屋から飛び出ていった。
「お母さん!!大変だ、花が消えた!!」
と叫ぶ声が部屋の外から聞こえる。私の手元には赤く輝く花が今でもあるのに...。
「えぇ!?消えたってどういうことです!?」
そんな声が聞こえて、教室の扉が開いた。
「パパ?ママ?どうしたのー??」
そう首をかしげたら先生が私でもわかりやすいように説明してくれた。
この花はカルファナといって、触れた生物の魔力の系統に応じて花びらの色を変えるらしい。ちなみに赤は召喚術系統。消えたのではなく、この世界とぴったり重なるように位置する精霊の類いの世界に入ってしまい素質がある人にしか見えなくなってしまったらしい。相当な力がないと通常不可能...とか...。
まじかよ。
「パーーーーパーーーーーーー!!!」
と叫べばその声に優しく微笑みながら振り向くも、直ぐに目を見開き腰の剣を抜いた。私の声に驚いたママが家から出てくる。
「ミレイ!!!エリを!!」
私がもう少しで家に着くと言ったところで、やはり子供の足は遅い。ゴブリンの手が背に届きそう...。こんなにも早く私の第二の人生は幕を閉じるのか...振り返って蹴飛ばすか??と思っていたその時。
『我が愛しき水の神々よ、愛しき命を守り給え!!!!』
その声に気を取られ足がもつれた私が、地面に転けて倒れるのと同時にママのバリアの魔法が完成して、私の体を覆った。それを確認するや否や、パパがゴブリンを叩き切った。ゴブリンは全身の端から灰になって風に吹かれて行った。魔物に襲われたのも、魔物と出くわしたのも、魔物を見たのも、魔物が散ったのも...初めての経験だった。私が体を起こしたらパパとママは駆け寄ってきて抱き抱えてくれる。その温もりに安堵したのか...。
「うっ...うあああああああああ」
大声で泣き出した。パパもママも優しく何度ももう大丈夫と言ってくれながらいつまでも、背中をさすってくれていた。それからしばらくして、私が落ち着いたら家を出た。
ここ、クリアウォールでは全ての子供たちは地元にやってきたアンドゥラウの医師たちのもと、自分達の属性を知る定期検診を受けさせられるらしい。面倒な制度だ...しかしこれは同時に社会の中にある不穏分子を見つけることをも意味するとか...?
うちに近いグリンウェリア街立第一学校に着けば、看護師さんからカーテンで完全に全ての窓、ドアが締め切られた教室のうち一つに案内された。
「先生、フラーズナー家の子です。」
部屋の中から嗄れた声で私で最後かと問いかける呆れたような声が聞こえた。看護師さんがため息をついて問答無用といった様子で私を中に入れた。教室の中は机やイスなんてものはなく、一輪の白に近い淡い七色の花が水の入った花瓶に入っておいてあった。
「さぁ、大変だったと思うが...すぐに始めさせてもらうよ?この花を持つだけでいい。さぁ。」
そう言われて差し出された花瓶から花を抜くと、あっという間にその花は一瞬赤く輝くと真っ赤な...しかし淡く輝く花となってしまった。首をかしげてると、医師はなんという事だと一言呟き、部屋から飛び出ていった。
「お母さん!!大変だ、花が消えた!!」
と叫ぶ声が部屋の外から聞こえる。私の手元には赤く輝く花が今でもあるのに...。
「えぇ!?消えたってどういうことです!?」
そんな声が聞こえて、教室の扉が開いた。
「パパ?ママ?どうしたのー??」
そう首をかしげたら先生が私でもわかりやすいように説明してくれた。
この花はカルファナといって、触れた生物の魔力の系統に応じて花びらの色を変えるらしい。ちなみに赤は召喚術系統。消えたのではなく、この世界とぴったり重なるように位置する精霊の類いの世界に入ってしまい素質がある人にしか見えなくなってしまったらしい。相当な力がないと通常不可能...とか...。
まじかよ。
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