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ただ好きだと言ってくれ!
しおりを挟む俺は隣の教室に乗り込んだ。クラス中の視線があつまる。
俺は可笑しくない、俺は可笑しくない、俺は可笑しくない。
言い聞かせながら彼女の元へ向かった。
彼女は自分の席で、野鳥図鑑を読んでいる。教室の違和感にも気づかずに。
俺は彼女の席の前に着くと、その机を叩いた。
目を見開いた彼女が、俺を見ている。
「おうむ返ししてください!」
声が教室中に響いた。
俺は可笑しくない、俺は可笑しくない、俺は可笑しくない。
彼女は目を白黒させている。
「はい」
が、控えめに返事をしてくれた。
「あなたが好きです!」
叫ぶと、彼女は目をしばたたかせ、教室が賑わった。
俺は可笑しくない、俺は可笑しくない、俺は可笑しくない。
ただ、彼女が好きなだけだ。
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