19 / 25
通勤電車
しおりを挟む職場恋愛はめんどくさい。できれば避けたい恋愛の形だ。でも、好きな人ができてしまったら仕方がない。だから私は、社内恋愛だからこそ楽しめることを楽しむことにした。
たとえば、電車通勤。お互いスーツ姿で、休日でもないのに隣合わせに並ぶ。
彼がなにやらキョロキョロして、下方を見やる。
どうやら、それを捉えてしまったらしい。
「ここ、女性専用車両じゃん」
女性ばかりでできた列に、ピンクの囲いに白い文字。
「あ、ほんとだね~」
私はわざとらしく返した。
ちょうど電車が着いて、扉が開く。私は流れに沿って進んだ。
「おい」
!やや怒りのこもった声とともに、腕を捕まれる。見上げれば、若干眉間にシワが寄っていた。
本当は怒っていない。そんな短気な人じゃない。こちらの冗談に乗ってくれたのだ。
「ごめん、ごめん」
笑って返す。隣の車両に向かうべく、2人一緒に列を離れた。
「お前ら、見せつけてんのか?」
後ろから降ってきた声に、振り向く。
大きなケースを引きずって、彼より深く眉間にシワを寄せた上司が立っていた。
「お疲れ様でーす」
「課長、あっち女性専用車両ですよ」
恥じらいはない。誰になんと言われようと、今を楽しむと2人で決めた。
だからこそ、些細なことが嬉しいと、顔が綻ぶ。
課長が呆れてため息をこぼした。
「まるで高校生だな」
私たちは、そんな言葉さえ笑い合う。
0
お気に入りに追加
9
あなたにおすすめの小説
小さなことから〜露出〜えみ〜
サイコロ
恋愛
私の露出…
毎日更新していこうと思います
よろしくおねがいします
感想等お待ちしております
取り入れて欲しい内容なども
書いてくださいね
よりみなさんにお近く
考えやすく
愛のゆくえ【完結】
春の小径
恋愛
私、あなたが好きでした
ですが、告白した私にあなたは言いました
「妹にしか思えない」
私は幼馴染みと婚約しました
それなのに、あなたはなぜ今になって私にプロポーズするのですか?
☆12時30分より1時間更新
(6月1日0時30分 完結)
こう言う話はサクッと完結してから読みたいですよね?
……違う?
とりあえず13日後ではなく13時間で完結させてみました。
他社でも公開
今日の授業は保健体育
にのみや朱乃
恋愛
(性的描写あり)
僕は家庭教師として、高校三年生のユキの家に行った。
その日はちょうどユキ以外には誰もいなかった。
ユキは勉強したくない、科目を変えようと言う。ユキが提案した科目とは。
ママと中学生の僕
キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる