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相合傘
しおりを挟む彼氏と二人、狭い歩道で、傘をさして歩く。話しやすいように、お互いの傘を外側に向けてさしていた。雨は収まる気配がなく、依然私たちの足元を濡らしている。
横を通った自転車につられ、前方を見やる。買い物帰りの女性が一人、傘をさしてこちらに歩いてきていた。狭い歩道を、私たちは占拠しながら歩いている。これでは邪魔になると、半歩下がって、彼の後ろに回ろうとした。
「傘、閉じて」
「え?」
「良いから」
優しい声音に戸惑いながら、傘を閉じる。
ぐっと、肩を抱いて引き寄せられた。
「少し濡れるけど」
近くなった彼の声に、顔が熱くなる。
女性との距離が縮む。少しして、肩から彼の手が離れた。女性とすれ違うまでの間、私は足元を見ることしかできなかった。
「このままで良いよ」
また傘をさそうとした私に、彼は言う。私は言葉に詰まって、ただ頷いた。
傘の下で、肩が触れ合う。
「ごめん」
「良いよ。それより、そっち大丈夫?」
思わず謝った私に、彼は気にしなくて良いと言ってくれた。それでも何度も触れ合う肩に、私は少なくとも三度は謝ってしまった。その度に彼は、雨に濡れすぎてないかと気にかけてくれた。四度目あたりからは、言葉の代わりに笑い合った。
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