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なんか取り憑いたとよ

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「さぁってと、どうするか。現状何をするかも曖昧だし、未知の現象にあっている…つまりわかんねぇ…」


現在の俺は地面から10センチ浮いている状態で考え込んでいる。


「ひとまず俺が本当に幽霊なのか確かめるか…【魂魄魔術/自己解析/スキャン】」


スキャンと唱えると頭の中に自分自身の情報、それも魂に関する情報が送られてくる。


───────

現状:霊魂

器:無し

状態異常:無し


解析結果:幽霊

───────


「おうおう、幽霊か…いやこの世界は本当に異世界なのかも判断し兼ねるな…夢の可能性も否定出来ないし…なんかあったか?」


そう言いながらこれまでゲーム内で所得してきた魔法等を思い出し始める。そしてひとつの魔術を見つける。


「あ~あったなぁ、これ…使うか。【夢魔術/自己解析/スキャン】」


───────

現状:覚醒

異変:無し


解析結果:覚醒中

───────


「おろぉ…夢の可能性もなしとな…いや、魔法がある時点で信用ならねぇが…死んだしな俺…なら現実か」


とまぁ自分自身で言うのもなんだが、結構サッパリしている。死んでしまったのにだ…まぁ原因は精神魔法の影響だろう。


「ATOは無駄に高クオリティだったからな…剥ぎ取りする時とかのために【精神魔法/操作/マインドコントロール】を使ったしな。多分それが切れてないんだろう…」


それはさておき、次はどうするかある程度決めなければならない。


「ひとまず肉体が欲しい。じゃなければ何も出来ん…魂だから祓われない限り死なんしな」


そう言って辺りを見回す。生い茂った森があるだけで特にやばいものがあるとかではない…が、遠くから悲鳴などが聞こえる。


「んー?なんでだ?ここって結構危ない場所だったが…ひとまず確認しに行くか」


そして悲鳴が聞こえた方に飛んでいくことにした。


「空魔法使わなくても飛べるって便利だな…おっと、案外近かったかって…うわぁ、酷い有様だ」


下を見ると制服を着た10代の若者達が魔物を相手に戦っていた。いや、これは既に戦いではない、蹂躙だ。


腕がないものや上半身が吹き飛んでいる者、挙句の果てには現在進行形で食われている者がいる。


「あれは…ブラッティウルフ?しかも進化個体のブラッキーウルフまでいやがる。そしてそれに蹂躙されるということは…レベル一未満か?」


ブラッティウルフはただ単に見た目が赤い狼なのだが、ブラッキーウルフは身体中が黒い、そして何より目立つのが…


「あの大きな牙、あれは犬系じゃねぇよな。なんというか…象牙?」


そう、口から象牙みたいなものが生えている。

だが見た目に反してこいつらは弱いのだが、狼だからなのか連携能力が高く初心者にはきつい相手である。


「しかもブラッキーウルフがいるせいか、通常の群れよりでかい…こりゃあいつら全滅するか?それであいつらだけなのか?…多分殿だな後ろ見たら思っきし逃げてるヤツらいるし」


恐らくだが騙されて囮になったのだ。少数を犠牲にして多数を逃がすのは合理的だろう。


「まぁ、可哀想だとは思うがね…さてとどいつからか体を拝借しようかな?いや…拝借できそうな体ねぇな…ボロボロ過ぎんよ」


そう言った通り、大抵の体が食われたりなどでボロボロなのである。


「おろ?撤退した?何故だ…あ~…トロールの番か…そりゃ逃げるわな…」


ウルフ達はだいたいレベル一の弱ぐらいだとすると、トロールはレベル一の中では1番強い魔物であるため、たかだか十数匹じゃトロールの番を狩れないのだ。そのため逃げたと言ったところだろうか。


「一応無事な体無いか見てみるか」


そして下に降りて、それぞれの体を見て行った。その中に1人だけ生き残りがいた。左腕がなく満身創痍でありながら…まだ目は生きるのを諦めていなかった。


「おうおう、大した根性だな…とりあえずこいつが死んだら拝借するかな?…それじゃあ後味悪いか…助けられる命があるのによ」


そして俺はその生き残った男の子に声をかけた。


「おい」

「…?」

「聞こえるか?」

「…なん…だ」

「おう聞こえてるな…お前生きたいか?」

「当た…り…まえ…ろ…ガハッ」

「そうか…ならその体一時的に貸せや」

「何故…」

「それで助かるんだからいいじゃねぇか、話はその後だ…トロールが狙ってるぞ」

「ちくしょう…何者か…知ら…ねぇが…頼んだ…」


そういい男の子は気絶した。そして俺はそいつに対して憑依した。


「【魂魄魔法/憑依/プザーション】…よしきた」


そして成功した。


「ひとまず治癒だな…【治癒魔導/復元/ラストレーション】…うおっ!?」


左腕があった場所から左腕が生えてきて、体の傷がその余波で治っていく。そして急に目眩が来た、この現象は知っている…


「魔力切れ!?まさか憑依体にレベルとかが依存されんのか!?」


魔力切れ…ココ最近なかったせいかいきなりできつい…そして魔力がない…つまりピンチ。


「うおぉ…この体の持ち主に悪いことしたな…仕方ねぇ…か?いやまだ力出せる気がする…気張れ!俺!フン!」


そう気合を入れると体の奥底、魂から魔力が吹き出してきた。


「んー?これは…なるほど、使い切ったのはこの体の魔力か、俺自身の魔力を使えば問題ないのね」


そんな事をしている間に迫るトロール。


「とりあえず…肉体が弱いから【強化魔法/筋肉強化/フィジカルアップ】」


そしてそのままトロールを両方ぶん殴る。するとどうだろうか、トロールがなんと吹き飛んでいくではないか。


「おっとやりすぎたか…とりあえず森を出よう。じゃなきゃ危なすぎる」


そして、街道沿いを街がある方面に歩いていくことになった。







後書き

基本的には魔術は分類分けされているので、自己解析系はスキャンで統一されております。


魔導になると自分で決めれますが…


魂魄魔術、魔法、魔導

主に魂に干渉する系統である。


魔術

魂の状態を確認したりするなど。


魔法

魂をある程度操作することが可能になる。レイス系のモンスターに有効


魔導

魂に手を加えることができるようになる。


魂魄系等はあまりにも所得者が少なく、失われた魔法とも呼ばれているが、厳密には違法なのであまり表に出ないだけである。


夢魔術、魔法、魔導

夢に干渉することが出来る


魔術

夢をある程度操作したりできる


魔法

好きな夢を見れるようになる。意志が弱いと起きてても強制的に寝かせれるようになる


魔導

起きているものに対して、格下相手ならほぼ確定的に眠らせることが出来る。


別名睡眠魔法。特に使うことは無いが、たまに好きな夢を見たい時に使うといいだろう。人気がない魔法である。


精神魔術、魔法、魔導

精神に干渉できる魔法


魔術

意識を逸らしたり、不安感を煽ったりなど感情に干渉できる。


魔法

自分の精神を操れるようになる。意志が弱いとある程度催眠などができるようになる


魔導

洗脳などが可能になる。相手を操れるようになる


これは魔法以降が危険なため、使うものは免許が必要になる。尋問する時などに使われやすい。


治癒魔術、魔法、魔導

主に傷を治す効果がある。


魔術

擦り傷等しか直せない。


魔法

上手くやれば骨を治せるようになる。


魔導

魔力があれば体の欠損さえ治せる。


腕1本治すのには、通常の魔法使いの魔力全部必要になる。


強化魔術、魔法、魔導

主に様々なことを強化できるようになる。


魔術

なんか少し強くなった程度の強化


魔法

かなり強化できることが増える


魔導

体のあらゆるものを個別に強化できるようになる。


付与魔導などとは、違い一時的な強化のためのもの。すばやさとか硬さも行ける。




主人公は、主に世界神の神殿で活動していたため周りにどんな街があるか知っている。

一応ATOは、偶然この異世界に似ているため、主人公が困らなーい。

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