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乱入者

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「ちょっと待ってください!」

「「は?」」


突然声を上げた私に一気に視線が集まる。それを気にせず中央に向かって行く。周囲の貴族達は戸惑いつつも道を開けてくれる。
それを遠慮なく進み、未だに動揺している公爵令嬢にむかって言った。


「美しい人、どうか私と結婚してください!」

「「「は??!!」」」


突然の公開プロポーズに周囲が騒然となり、立ち直り掛けていた公爵令嬢も情報を処理しきれていないのかフリーズしてしまった。

しかし、珍しくも先に内容を理解した王太子が口を開いた。


「ちょっと待って!!お前たちは女同士だろう?!」

「それが何か?問題でも?」

「問題しかないし、今何していたのか理解してるのか?!」

「婚約破棄でしょう?知ってますわ」

「それは結論だ!!そこに至るまでの過程を飛ばすな!!!断罪だよ!だ・ん・ざ・い!お前の妹をいじめていたそこの罪人に対するな!!」

「それは申し訳ありません。あいにく私の目にはアレクサンドラ様しか写っていませんでした」

「なら仕方ないとはならないからな?自分の妹のことだぞ??もう少し気にしろ!」

「殿下こそもう少し周囲を気にされた方がよろしいのでは?ここは劇場ではありませんし、そもそもアフリーはどこです?何故いじめられたと言うあの子がいないのでしょうか」

「なっ、…どこにいった?!」


実は側近達が証拠を出し始めた辺りからアフリーは徐々に離れていたのだが、断罪に夢中になっていたアホな王太子はそれに気づいていなかった。
当事者がいなくなっていたということで再び騒がしくなると同時に全く気づいていなかった王太子に非難の目を向けだし、王太子や側近達も消えたアフリーを探し始めた。

それを良い事に再び公爵令嬢に声をかけようとしたその時、



「これは一体何の騒ぎなんだ?」






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