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こんなに苦しいなんて思わなかったの

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その後もう一回婚約者さんの部屋でドレスを眺めてたら、すぐにクリスさんとお針子さんがやって来てお直しが始まったの。

私が小柄なのに対して婚約者さんは背が高いのか、どれもこれも裾や袖が長すぎたりしたけど、特に問題なく私の身体に合わせたサイズに変えてもらえた。

結局残したドレスは2着だけ。

もっと残してほしい気持ちもあったけど、どうせこれから普段着もお出かけ着もドレスも、どんどん増えていくことを考えたらこれで良いか···って思えるし我慢した。

1つは桃色で、スカートがふんわり広がったお姫様みたいなドレス。
リボンやレースがたくさん付いてて本当に可愛いの。

これ、最初から私のために作られたんじゃないかな、って思えるくらい私に似合ってて、鏡の前でくるくる回っちゃった。

もう1つは薄い緑色で、胸のすぐ下からスカートに切り替わってるドレス。
キラキラ光る小粒の石みたいなのが散りばめられてて、本当に綺麗なの。

これも宝石なのかなぁ······って、ついつい見惚れてうっとりしちゃったわ。

でもね、残念なのはクリスさんとお針子さん。

こういう時って「お似合いですね」とか「とってもお可愛らしいです」とか、何かしら褒めてくれるものじゃないの?

なーんにも言ってくれないし、ニコリともしてくれない。

ドレスは素敵だし、仕事は丁寧できっちりしてるから本当なら私のテンションももっと上がるはずなのに、なんかがっかりしちゃう。

せめてマックスがこの場にいてくれたら良かったのに、騎士としての鍛練に行っちゃって夜まで帰ってこないって言うし。

まあいいわ。
今日はこのドレス姿のままマックスが帰ってくるの待とうっと。

やっぱりここはピンクのお姫様ドレスかな。

って、もう一回ピンクの方に着替えておとなしくマックスの帰りを待つことにしたんだけど、慣れないコルセットがキツくてキツくて我慢できなくなってきた。

あー、もう、無理ぃー!!

こんなに苦しいものなの?

もしかしてクリスさんに嫌がらせされた??

脱ぎたくなって誰かを呼ぼうにも、動きづらいし大きな声も出せない。

一人で脱げないなんて聞いてない!

ぜぇぜぇ言いながらなんとか部屋から出て、たまたまみかけた女の人に「脱がせて!」って言ったら「出来ない」なんて言うの。

ほんっとうに意味がわかんない。

その人にクリスさんを呼んでもらってなんとかドレスを脱いだ後は、疲れきってベッドに横になれば次に目が覚めた時は夜で。

マックスに褒めてもらいたかったから、帰ってくる前には起きてもう1回ドレスを着ようと思ってたのに、何でこうなっちゃったのよー。

でも、その後2人で食べた晩御飯がとっても美味しかったからまあいいわ。

美味しいご飯に大好きなマックス。

苦しいけれど素敵なドレスは今後も増えていくんだし、あくせく働いてた私にしてみれば本当に幸せな生活。

ドレス姿はもう少しコルセットに慣れてから見せた方が良い気もするし、今日はこれでよかったのよね。

これから続く贅沢な暮らしに、この時の私は胸を踊らせてたの。
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