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挨拶のやり方なんてわからないの
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それからまた少しの間婚約者さんのドレスを眺めながら、自分のためだけのドレスを想像してたらおばさんが戻ってきた。
使用人が集まったって言ってるけど、何するのかな。
まあ私には関係ないか···って、もう一度ドレスに視線を向けると、マックスに呼ばれちゃった。
「紹介するから一緒においで」
「え?私はいいよ。ここでドレス見てる方が楽しいし。デザイナーさんが来たら呼んでくれれば」
「そういうわけにはいかないだろ?今日からここで暮らすんだ。名前まで覚える必要はないが、顔は知っておいた方が良い」
「そんなものなの?······でもマックスがそう言うならそうする」
仕方なく私もマックスに連れられておばさんの後について行ったら、広いホールにずらっと使用人が並んでた。
ひとりひとり紹介してくれるマックスには悪いけど、私あまり物覚え良くないから顔も覚えられないかもなぁ······
なんて考えてたら、マックスが私のことを「大切な人」だなんて言ってて、愛する人って紹介されるより大事にされてる気がして嬉しくなっちゃった。
「とにかく、大事にしてやってくれ。名前はミリイだ」
最後にマックスがそう言うと、何故か使用人の皆の目が見開いて動揺してる雰囲気が伝わってくる。
なんなの?
隣に立つマックスを見上げると、マックスは優しい笑顔で私に視線を合わせてくれる。
「ほら、ミリイ。何か一言でも皆に声をかけてやってくれ」
「あー、うん。えー、と······」
促されたからには何か言わなきゃなんだろうけど、こんな時に何を言えば良いかなんて想像もできない。
しばらく悩んで、そういえば······実家の食堂に食材を届けてくれる業者のおじさんに、パパはいつも『明日もよろしく!』って言ってたなぁ······と思い出す。
きっと使用人と使用者の関係って、客と業者の関係と同じよね。
「えっと、今日からよろしく!」
パパを真似て片手を挙げながら元気よくそう言えば、なんだかますます動揺してるみたい。
失礼しちゃうわ。
「マックスぅ、私、何か変なこと言った?」
ムッとしつつもマックスをもう一度見上げると、何だか複雑な表情になってて本当に意味がわかんない。
「ねえ、マックスったら。私、何かおかしい?」
「あー、いや。そういうわけじゃない。······が、手は上げない方が良いな」
「ふうん。そっか。お貴族様の行儀とか知らないから、ごめんね」
「いや、良いんだ。おまえが社交場に出ることはないから、気にしなくて良い」
気にしなくて良いって言われてもな······
そりゃあ確かに私にそんなの出ろって言われても無理なのはわかってる。
でもそんな風に言われたら、ちょっぴり興味出ちゃうよね。
噂に聞く華やかな舞踏会。
煌めく宝石にドレス。
豪華な食事にワイン。
きっとお菓子だって山のようにあるんだろうなぁ······
やっぱり女の子なら憧れるのは仕方ないよね。
ふふ。
ドレス作ってもらったら、1回くらいはそんなところに行ってみたい···ってお願いしてみようっと。
私はマックスの言葉に頷きつつ、お城で踊る自分を想像してニヤニヤしちゃった。
うふふふ。
私、ダンスは得意なのよね。
マックスも、もっと私に夢中になっちゃうかも。
あー、もう、楽しみ。
使用人が集まったって言ってるけど、何するのかな。
まあ私には関係ないか···って、もう一度ドレスに視線を向けると、マックスに呼ばれちゃった。
「紹介するから一緒においで」
「え?私はいいよ。ここでドレス見てる方が楽しいし。デザイナーさんが来たら呼んでくれれば」
「そういうわけにはいかないだろ?今日からここで暮らすんだ。名前まで覚える必要はないが、顔は知っておいた方が良い」
「そんなものなの?······でもマックスがそう言うならそうする」
仕方なく私もマックスに連れられておばさんの後について行ったら、広いホールにずらっと使用人が並んでた。
ひとりひとり紹介してくれるマックスには悪いけど、私あまり物覚え良くないから顔も覚えられないかもなぁ······
なんて考えてたら、マックスが私のことを「大切な人」だなんて言ってて、愛する人って紹介されるより大事にされてる気がして嬉しくなっちゃった。
「とにかく、大事にしてやってくれ。名前はミリイだ」
最後にマックスがそう言うと、何故か使用人の皆の目が見開いて動揺してる雰囲気が伝わってくる。
なんなの?
隣に立つマックスを見上げると、マックスは優しい笑顔で私に視線を合わせてくれる。
「ほら、ミリイ。何か一言でも皆に声をかけてやってくれ」
「あー、うん。えー、と······」
促されたからには何か言わなきゃなんだろうけど、こんな時に何を言えば良いかなんて想像もできない。
しばらく悩んで、そういえば······実家の食堂に食材を届けてくれる業者のおじさんに、パパはいつも『明日もよろしく!』って言ってたなぁ······と思い出す。
きっと使用人と使用者の関係って、客と業者の関係と同じよね。
「えっと、今日からよろしく!」
パパを真似て片手を挙げながら元気よくそう言えば、なんだかますます動揺してるみたい。
失礼しちゃうわ。
「マックスぅ、私、何か変なこと言った?」
ムッとしつつもマックスをもう一度見上げると、何だか複雑な表情になってて本当に意味がわかんない。
「ねえ、マックスったら。私、何かおかしい?」
「あー、いや。そういうわけじゃない。······が、手は上げない方が良いな」
「ふうん。そっか。お貴族様の行儀とか知らないから、ごめんね」
「いや、良いんだ。おまえが社交場に出ることはないから、気にしなくて良い」
気にしなくて良いって言われてもな······
そりゃあ確かに私にそんなの出ろって言われても無理なのはわかってる。
でもそんな風に言われたら、ちょっぴり興味出ちゃうよね。
噂に聞く華やかな舞踏会。
煌めく宝石にドレス。
豪華な食事にワイン。
きっとお菓子だって山のようにあるんだろうなぁ······
やっぱり女の子なら憧れるのは仕方ないよね。
ふふ。
ドレス作ってもらったら、1回くらいはそんなところに行ってみたい···ってお願いしてみようっと。
私はマックスの言葉に頷きつつ、お城で踊る自分を想像してニヤニヤしちゃった。
うふふふ。
私、ダンスは得意なのよね。
マックスも、もっと私に夢中になっちゃうかも。
あー、もう、楽しみ。
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