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星を見失った男
星野さんは他のお客が気になるようです。
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慧斗が礼人出会って半年が過ぎた頃、アヤの障がい者専用デリヘルの仕事は、慧斗を始め何人かのリピーターを得て順調になっていた。
最初は月に一回か二回、多ければもう少し多いの頻度で、絶やす事無く呼ばれたこの部屋は、来るたびに整頓され、来るたびにオシャレな物が増えていた。
。二人の間には、常連客だけではない関係が築けてきているように思う。
それはアヤから見ても同じで、会うたびに、表情が明るく、精悍な顔つきになって行く慧斗の存在はアヤにとっては嬉しいものだった。
オシャレなコーヒーメーカーを買ったので飲んでみてよと、ふわふわフォームミルクのカフェオレを振る舞われたアヤが、プレイ終わりにシャツに袖を通しながら口を開いた。
「お仕事の調子はいかがです?」
「もう、アヤさんすぐに服着ちゃうんだから。もう少しなんてーの?えっと、ピロ―トークしましょうよ」
二つだけボタンを止めたところで、慧斗に腕を引っ張られ、その厚い胸に抱きしめられた。初めて会った時よりも分厚くなっている胸筋は、部屋の隅に置いてある筋トレ器具のおかげだろうか、それとも最近始めたという車いすバスケのおかげだろうか。
慧斗の復活は車いすバスケ業界ではちょっとしたニュースになっていた。スターの復活だともてはやされ、早々にファンも付いているらしい。
「今日もローション使ったから、早く拭かないとぺりぺりになりますよ?」
「良いの良いの、そんなの。ぺりぺりなのをお湯でふやかして取ってる時に、もう一回アヤさんの事思い出して抜くのがまた良いんだから」
「何ですかそれ」
思わず吹き出したアヤの頭を、ぽんぽんとあやすように撫でる。その手が男らしくて、暖かくて、思わず肩の力を抜いてアヤから礼人に戻りそうになる。
「アヤさんのおかげで俺は今も生きてるし、仕事してるし。ホント、感謝してます」
「大袈裟ですよ。僕はお仕事をしたまでですから」
「……アヤさんは最近どんなお客さんとこ行ったんですか?」
「慧斗さんくらいですよ。他のお客様のお話し聞きたがる方って」
呆れたような響きを持たせつつ、アヤは直近の客を思い浮かべた。全てを知っているわけではないが、従業員は一人だけというアヤの店はどうやら繁盛しているらしい。慧斗が会いたい日に会えない事もままあった。嬉しい反面、アヤが誰かとエロい事をしているかと思うと、胸が苦しくなる。
ただ、アヤの事を知りたいという欲望がその全てに勝っていた。
「んーっと、そうですねぇ……元カノが『アヤ』だったから僕を呼んだけど、男だとは知らなかった方とか?」
「なんてこった……」
大袈裟に頭を抱えた慧斗を横目に、アヤは言葉を続ける。
「服を脱いだら胸が無いもので、驚かれました……」
「どうしたんです?」
「どうやら、元カノには前戯の手マンを褒められていたけど、自慢の利き腕に障害が残って彼女を満足させられなくなったから別れてしまったと仰っていたんですよね」
「いやいや、そんな理由だけなわけないでしょう」
「ふふ、僕もそう思います。でも、彼はそう考えたわけですよ。だから、手じゃなくても彼女を満足させる方法を教えますって言って……」
「言って……?」
「まあ色んなやり方を教えて差し上げたら、帰り際には元カノさんに電話してました。そこから呼ばれないので……多分、上手くいったのではないかと」
アヤに惚れている慧斗からすると、何を教えたのかが気になりすぎるが、その客はどうやら元カノと元サヤらしいのでまあなんとか持ちこたえることが出来る。問題はここからだ。
一つ、息を吸う。密かに覚悟を決めてから慧斗は口を開いた。
「……あの、前に話していた手話の方はまた呼ばれましたか?」
「あ、はい。呼んでいただきましたよ」
嬉しそうに腕の中で笑うアヤは『手話の人』とのプレイを思い出しているのだろうか。
口話が出来ない手話の男の話は何度も聞いていた。音がない世界で生きる男なのに、部屋に入るといつも音楽がかかっているんだそうだ。それも、照れてしまいそうなド直球なラブソングばかり。プレイも丁寧で紳士的……らしいが、プレイ内容はさすがに教えてはくれない。
彼との時間はとても穏やかで、アヤがお気に入りの客の一人だと口を滑らせた事がある。すぐにアヤはしまったと口を噤んだが、慧斗はあの瞬間が忘れられない。その時から慧斗は、一方的に彼の事をライバルだと認定していた。
帰り際にはいつも手紙をくれるらしい。中身は猛烈なラブレターなんだそうだ。彼は毎回同じ手話をしてくるのを、アヤは気付かないふりをしてにっこり笑いドアを閉めるらしい。
「手話でも覚えたいんですか?慧斗さん」
ここのところ、毎回彼の事を聞かれてアヤは少々辟易していた。慧斗が何を気にしているのかと言う事も、もちろんアヤにはお見通しではあったが、深くつついては余計なトラブルになりかねないとあえて言及せずにいた。しかし、未だにハッキリとは何も言わない慧斗に今日は少し苛立ってしまいわざとそう聞いてみた。
「その男の手話の意味、調べたんですよね?」
「まあ……というか元々簡単な手話は知ってるんです」
「え?」
「会話できるレベルじゃないんですけどね」
「じゃあ彼は毎回何て言ってるんですか?」
「ん-……」
「アヤさん!教えてくださいよ」
「えー?……さすがに、二人でいるのに他の男の話を長々となんて……」
枝毛が一本も無い髪の毛をくるりと指に巻き付ける。初めて会った時よりもアヤの髪は伸びていきた。もっと伸ばしても可愛いのかもしれない。もちろん短くても可愛いのだけど。
「アヤさん!」
肩を抱いていた腕に力を込めると、急な力強さに目を丸くしたアヤと目が会った。
「お客様のプライベートすぎる部分をお話しするのはちょっと……」
「もうー!いつも肝心な所は話してくれないんですから!」
「ふふ、すみません。慧斗さんのお話も他ではしませんから安心してくださいね。秘密厳守です」
「むしろして下さいよ!」
「ええー?」
驚いたふりをしつつ、アヤはコロコロ笑った。笑うと細くなる目が、愛おしい。慧斗はすっかりアヤに惚れこんでいた。何度も好きだと告白するが、毎回上手くかわされているのが現状である。
「アヤさんさえ良ければ俺が養いますからね」
「えっと?どういう意味ですか?」
「仕事、いつでもやめてください。俺がアヤさんの事好きだって何回言えば分かってくれるんですか?」
真っすぐな瞳、真っすぐな言葉は真正面から受け取るには重すぎる。アヤは思わず目を逸らした。
「あー……さすがに、そこまで言って頂くのは……ちょっと想定外でしたね」
「え?」
「いえ……ありがとうございます。嬉しいです」
口にしなれた台詞に、慧斗の勢いは少し落ちた。それでも食らいつこうと言葉を続ける。
「俺、そろそろクズから星屑くらいにはなったと思うんですよね」
「星屑?」
「初めて会った時に言ったじゃないですか。クズじゃなくなったらって」
「い、言ったような……」
「もう!忘れたんですか!」
「嘘ですよ。忘れるわけないじゃないですか。……なるほど、星野さんだから星屑って事ですね?」
「そうです。英語にするとスターダスト。うちの社名です」
スターダストカンパニーは星野が立ち上げた障がい者向けヘルパー派遣の会社だ。慧斗自身が広告塔をしているが、慧斗が障がい者で若いイケメンである事が功を奏したのか、はたまた介護保険内の派遣と同時に、保険適応外の高級ヘルパー派遣を取扱ったのが受けたのかは分からないが、異例な程のスピードで波にのった会社だった。
「あ、ほんとだ。さすがです社長!」
「絶対気付いていたでしょう?!」
「えへへ。バレました?」
プレイ中とは全く違う笑顔でアヤがぺろりと舌を出したところで、5分前のタイマーが鳴り響き、二人の空気を一気に冷ました。
「あー……っと……やっぱり、今日は僕も結構汚れたのでシャワーお借りしますね?少しだけ時間オーバーしちゃいそうですけど、良いですか?あ、慧斗さんもお体流しますか?」
「俺は後で一人で入ります。すみません、長く話してたから」
「ふふ、大丈夫ですよ。今日は慧斗さんしか予約入ってないですし」
そう言って、アヤはいつもの通り穏やかに笑った。どうやら会話もここで終了、今日も告白はスルーされてしまったようだ。
いつもの通りテキパキと帰り支度を済ませ、玄関に立つアヤを眩しそうに見た。
「また、呼んでくださいね。慧斗さんだったら優先的に予約いれますから」
小さくガッツポーズをして、アヤは二コリと笑うと、軽く頭を下げた。
――行かないで下さい。他の男に抱かれないでください。俺の事、少しは好きになってませんか?
口にしたいが出来ない言葉をぐっと飲み込む。
「ありがとうございます」
そう、絞り出した慧斗にアヤは再び笑顔を見せて、静かにドアを閉じた。閉じる瞬間、最後の刹那、アヤの顔が寂しそうに見えたのは、慧斗の願望だったのかもしれない。
最初は月に一回か二回、多ければもう少し多いの頻度で、絶やす事無く呼ばれたこの部屋は、来るたびに整頓され、来るたびにオシャレな物が増えていた。
。二人の間には、常連客だけではない関係が築けてきているように思う。
それはアヤから見ても同じで、会うたびに、表情が明るく、精悍な顔つきになって行く慧斗の存在はアヤにとっては嬉しいものだった。
オシャレなコーヒーメーカーを買ったので飲んでみてよと、ふわふわフォームミルクのカフェオレを振る舞われたアヤが、プレイ終わりにシャツに袖を通しながら口を開いた。
「お仕事の調子はいかがです?」
「もう、アヤさんすぐに服着ちゃうんだから。もう少しなんてーの?えっと、ピロ―トークしましょうよ」
二つだけボタンを止めたところで、慧斗に腕を引っ張られ、その厚い胸に抱きしめられた。初めて会った時よりも分厚くなっている胸筋は、部屋の隅に置いてある筋トレ器具のおかげだろうか、それとも最近始めたという車いすバスケのおかげだろうか。
慧斗の復活は車いすバスケ業界ではちょっとしたニュースになっていた。スターの復活だともてはやされ、早々にファンも付いているらしい。
「今日もローション使ったから、早く拭かないとぺりぺりになりますよ?」
「良いの良いの、そんなの。ぺりぺりなのをお湯でふやかして取ってる時に、もう一回アヤさんの事思い出して抜くのがまた良いんだから」
「何ですかそれ」
思わず吹き出したアヤの頭を、ぽんぽんとあやすように撫でる。その手が男らしくて、暖かくて、思わず肩の力を抜いてアヤから礼人に戻りそうになる。
「アヤさんのおかげで俺は今も生きてるし、仕事してるし。ホント、感謝してます」
「大袈裟ですよ。僕はお仕事をしたまでですから」
「……アヤさんは最近どんなお客さんとこ行ったんですか?」
「慧斗さんくらいですよ。他のお客様のお話し聞きたがる方って」
呆れたような響きを持たせつつ、アヤは直近の客を思い浮かべた。全てを知っているわけではないが、従業員は一人だけというアヤの店はどうやら繁盛しているらしい。慧斗が会いたい日に会えない事もままあった。嬉しい反面、アヤが誰かとエロい事をしているかと思うと、胸が苦しくなる。
ただ、アヤの事を知りたいという欲望がその全てに勝っていた。
「んーっと、そうですねぇ……元カノが『アヤ』だったから僕を呼んだけど、男だとは知らなかった方とか?」
「なんてこった……」
大袈裟に頭を抱えた慧斗を横目に、アヤは言葉を続ける。
「服を脱いだら胸が無いもので、驚かれました……」
「どうしたんです?」
「どうやら、元カノには前戯の手マンを褒められていたけど、自慢の利き腕に障害が残って彼女を満足させられなくなったから別れてしまったと仰っていたんですよね」
「いやいや、そんな理由だけなわけないでしょう」
「ふふ、僕もそう思います。でも、彼はそう考えたわけですよ。だから、手じゃなくても彼女を満足させる方法を教えますって言って……」
「言って……?」
「まあ色んなやり方を教えて差し上げたら、帰り際には元カノさんに電話してました。そこから呼ばれないので……多分、上手くいったのではないかと」
アヤに惚れている慧斗からすると、何を教えたのかが気になりすぎるが、その客はどうやら元カノと元サヤらしいのでまあなんとか持ちこたえることが出来る。問題はここからだ。
一つ、息を吸う。密かに覚悟を決めてから慧斗は口を開いた。
「……あの、前に話していた手話の方はまた呼ばれましたか?」
「あ、はい。呼んでいただきましたよ」
嬉しそうに腕の中で笑うアヤは『手話の人』とのプレイを思い出しているのだろうか。
口話が出来ない手話の男の話は何度も聞いていた。音がない世界で生きる男なのに、部屋に入るといつも音楽がかかっているんだそうだ。それも、照れてしまいそうなド直球なラブソングばかり。プレイも丁寧で紳士的……らしいが、プレイ内容はさすがに教えてはくれない。
彼との時間はとても穏やかで、アヤがお気に入りの客の一人だと口を滑らせた事がある。すぐにアヤはしまったと口を噤んだが、慧斗はあの瞬間が忘れられない。その時から慧斗は、一方的に彼の事をライバルだと認定していた。
帰り際にはいつも手紙をくれるらしい。中身は猛烈なラブレターなんだそうだ。彼は毎回同じ手話をしてくるのを、アヤは気付かないふりをしてにっこり笑いドアを閉めるらしい。
「手話でも覚えたいんですか?慧斗さん」
ここのところ、毎回彼の事を聞かれてアヤは少々辟易していた。慧斗が何を気にしているのかと言う事も、もちろんアヤにはお見通しではあったが、深くつついては余計なトラブルになりかねないとあえて言及せずにいた。しかし、未だにハッキリとは何も言わない慧斗に今日は少し苛立ってしまいわざとそう聞いてみた。
「その男の手話の意味、調べたんですよね?」
「まあ……というか元々簡単な手話は知ってるんです」
「え?」
「会話できるレベルじゃないんですけどね」
「じゃあ彼は毎回何て言ってるんですか?」
「ん-……」
「アヤさん!教えてくださいよ」
「えー?……さすがに、二人でいるのに他の男の話を長々となんて……」
枝毛が一本も無い髪の毛をくるりと指に巻き付ける。初めて会った時よりもアヤの髪は伸びていきた。もっと伸ばしても可愛いのかもしれない。もちろん短くても可愛いのだけど。
「アヤさん!」
肩を抱いていた腕に力を込めると、急な力強さに目を丸くしたアヤと目が会った。
「お客様のプライベートすぎる部分をお話しするのはちょっと……」
「もうー!いつも肝心な所は話してくれないんですから!」
「ふふ、すみません。慧斗さんのお話も他ではしませんから安心してくださいね。秘密厳守です」
「むしろして下さいよ!」
「ええー?」
驚いたふりをしつつ、アヤはコロコロ笑った。笑うと細くなる目が、愛おしい。慧斗はすっかりアヤに惚れこんでいた。何度も好きだと告白するが、毎回上手くかわされているのが現状である。
「アヤさんさえ良ければ俺が養いますからね」
「えっと?どういう意味ですか?」
「仕事、いつでもやめてください。俺がアヤさんの事好きだって何回言えば分かってくれるんですか?」
真っすぐな瞳、真っすぐな言葉は真正面から受け取るには重すぎる。アヤは思わず目を逸らした。
「あー……さすがに、そこまで言って頂くのは……ちょっと想定外でしたね」
「え?」
「いえ……ありがとうございます。嬉しいです」
口にしなれた台詞に、慧斗の勢いは少し落ちた。それでも食らいつこうと言葉を続ける。
「俺、そろそろクズから星屑くらいにはなったと思うんですよね」
「星屑?」
「初めて会った時に言ったじゃないですか。クズじゃなくなったらって」
「い、言ったような……」
「もう!忘れたんですか!」
「嘘ですよ。忘れるわけないじゃないですか。……なるほど、星野さんだから星屑って事ですね?」
「そうです。英語にするとスターダスト。うちの社名です」
スターダストカンパニーは星野が立ち上げた障がい者向けヘルパー派遣の会社だ。慧斗自身が広告塔をしているが、慧斗が障がい者で若いイケメンである事が功を奏したのか、はたまた介護保険内の派遣と同時に、保険適応外の高級ヘルパー派遣を取扱ったのが受けたのかは分からないが、異例な程のスピードで波にのった会社だった。
「あ、ほんとだ。さすがです社長!」
「絶対気付いていたでしょう?!」
「えへへ。バレました?」
プレイ中とは全く違う笑顔でアヤがぺろりと舌を出したところで、5分前のタイマーが鳴り響き、二人の空気を一気に冷ました。
「あー……っと……やっぱり、今日は僕も結構汚れたのでシャワーお借りしますね?少しだけ時間オーバーしちゃいそうですけど、良いですか?あ、慧斗さんもお体流しますか?」
「俺は後で一人で入ります。すみません、長く話してたから」
「ふふ、大丈夫ですよ。今日は慧斗さんしか予約入ってないですし」
そう言って、アヤはいつもの通り穏やかに笑った。どうやら会話もここで終了、今日も告白はスルーされてしまったようだ。
いつもの通りテキパキと帰り支度を済ませ、玄関に立つアヤを眩しそうに見た。
「また、呼んでくださいね。慧斗さんだったら優先的に予約いれますから」
小さくガッツポーズをして、アヤは二コリと笑うと、軽く頭を下げた。
――行かないで下さい。他の男に抱かれないでください。俺の事、少しは好きになってませんか?
口にしたいが出来ない言葉をぐっと飲み込む。
「ありがとうございます」
そう、絞り出した慧斗にアヤは再び笑顔を見せて、静かにドアを閉じた。閉じる瞬間、最後の刹那、アヤの顔が寂しそうに見えたのは、慧斗の願望だったのかもしれない。
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