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鬼頭先生まで……?!
解ける
しおりを挟む迷って、迷って、彼の頬に口づけた。
「ご、ごめん、恥ずかしいから……これで許して……?」
情けない俺の発言を聞いた穂高くんが、座っている俺の上に乗って来た。太ももの上にのった穂高くんの目が、欲情している。
「ほ、穂高くん……?」
「渚くんが可愛いから悪いんだ」
そう言って、真上から唇を押しつぶしてきた。ぶつかるような激しいキスに、荒めに残されていたゆで卵の白身が潰されて、不思議な間隔だ。食べ物を粗末にしてはいけないと育てられた俺は、悪い事をしている間隔に陥った。
長い長いキスの後、顔を離した穂高くんの顔は紅潮している。
「穂高、くん……?」
「熱い……」
そう言って服を脱ぎ始めたが、部屋の温度は適温だ。
「熱でもあるのかな、玲央さんはどう思いま――」
振り向いた俺の目に入って来たのは、こちらも顔を赤くした玲央さんだ。
ふー、ふー、と息も荒い。
「玲央さん?!大丈夫ですか?」
「自分も熱くて……なんだかちょっと体もだるい……」
「大変……!風邪とかですかね?!」
慌てる俺の横に紀藤さんが来た。
「二人共ちょっと休んでいると良い。苦しそうだから寝かせてあげようね、楢本くん」
「は、はい……でもこれって流行り病とかですかね?俺たちも罹患しちゃうかも!?」
大きめのソファに楢本くん、背の高い玲央さんは床にバスタオルと枕を置いて寝かせる事が出来た。
本当はベッドに運びたかったんだけど、俺と紀藤さんでは持ち上げるのは無理だった。
「大丈夫。すぐに良くなるよ」
こんな事態になっても焦り一つ見せない姿の紀藤さんを、少し不思議に思っていると、寝かせたばかりの玲央さんが言葉を発した。
「何か入れましたね」
「――えっ?」
「渚さんに何かしたら、許さないです……鬼頭さんであっても……」
「御名答。大丈夫、体に悪いものでもないから。二人共後で私に感謝する事になるはずだから、安心して」
「紀藤さん……?」
「さあ、楢本くんはこっちにおいで」
その場で立ち尽くす俺の手を、紀藤さんが握り、引っ張る。一歩踏み出したところで、足首を掴まれた。
「玲央さん……」
「渚さん……」
熱っぽく色っぽい瞳に見上げられる。こんな弱ってる玲央さんを見るなんて、新鮮だ。
今すぐ抱きしめたい気持ちになったと同時に、頭の中にうずら先生の顔が浮かんだ。
そうか、今まで他の人と色んな事をしてきたとは言っても、当事者に会った事が無かったんだ。だから、実際に一夜を過ごしたと言ったうずら先生に会って、全てがいきなりリアルに感じられたのだろう。この戸惑いというか、微妙な拒絶感の正体がやっと分かった。
「さあ、行くよ」
「――あっ……」
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