憧れの神絵師に迫られて、しかもイケメンだったら拒めるはずがないよね!?ね!?

花田トギ

文字の大きさ
上 下
52 / 67
鬼頭先生まで……?!

¥の後の空白

しおりを挟む
「そんなわけない!ランチに誘う時も二人きりにならないようにしていたし、話しかける時も紀藤さんとか、他の同僚を混ぜてだし……!」
 確かに穂高くんの言う通りだ。現に俺は彼から正体を明かされるまで、彼の気持ちに気付かなかった。ただの仕事の出来る同期としか見ていなかった。
 人生でたまたま会社が一緒になっただけの、モテモテ陽キャだって。俺の陰キャ人生には関係ないって。――そう思っていたのに、人生って不思議だなあ。
「わかるよー!だって、明らかに声色優しくなるし。女子社員の中でも気付いている子いるみたいだよ?」
「ええ!? 」
 真っ赤になった穂高くんの素っ頓狂な声に、疎らな人たちの目線が集まった。顔を真っ赤にして、両手で顔を隠した穂高くんは机に突っ伏した。
「無理、オレもう仕事いけない……」
「はっはっは。間宮くんそんなキャラだったんだね。これは良い知見を得たなぁ……で、話を戻すけど、そんな二人にBL欲が刺激されちゃったってわけ」
「――へ?」
 頭にはてなマークを浮かべた俺と穂高くんの横で、玲央さんがポンと手を叩いた。玲央さんは若いのに、時々こういう古典的な動きをしてくれる。
「なるほど。つまり、間宮さんと渚さんをモデルにして書かれたのがあの素晴らしい新作というわけですね」
「要約してくれてありがとう」
 文句ない派手髪イケメンと、イケオジイケメンが微笑みあう。ああ、この二人でなら俺もナマモノBL書けるかもしれない!……その場合どっちがどっちだ?
「でもそれってちょっと妬けます。渚さんは自分のなので」
「ほう?」
 紀藤さんが、興味深そうに先を促した。
「実際は自分と渚さんが良い仲なのに、あの小説では間宮さんと渚さんがくっついたって事ですよね?なんか、あの時感じた興奮の分も含めて……微妙な気持ちになります」
 話している内容は他愛も無いBL話なのに、イケメンだとそれだけでも成り立つのか。
 言い切った玲央さんと視線があって、俺は目を逸らしてしまった。
「じゃあ、Leoくんと楢本くんが付き合ってるの?」
「はい!」
「いいえ!」
「いいえ!」
 問いかけに三人が一斉に答えた。玲央さん以外の答えは一緒だ。
 驚いたように俺みた玲央さんが、一瞬寂しそうに見えた。駄目だ駄目だ、絆されちゃ。
「ふぅん……?」
 またもや紀藤さんは面白そうに微笑むと、手帳を取り出して何やら書きだした。
「紀藤さん……?」
「あ、失礼。今のやりとりで創作意欲が刺激されてしまってね。――ええと、とりあえず詫びたいのは本人たちに言わないまま、ひっそりと二人をモデルにBL小説を書いてしまったという事なんだけれど……」
 申し訳なさそうな言葉だが、俺にとっては思ってもみない展開だ。
――正直、心躍った。
「オレあんなにヘタレですか?!」
「いやまあ、仕事が出来る間宮くんが、プライベートでは抜けてたらいいギャップじゃない?」
 抗議の言葉への返答に、俺と玲央さんが首を縦にふる。
「俺だってあんなに可愛くないですよ」
「いや、楢本くんはとても魅力的だよ」
 俺への返答に、玲央さんと穂高くんが激しく同意した。なんてことだろう、全くそんな事ないというのに。
「で、ここからが本題なんだけど」
 スッと、手帳を差し出した。そこには円のマークの後に空白が開いている。
 紀藤さんはまるで大きなプロジェクトを立ち上げた時のようにスマートにこう言った。
「楢本くんと間宮くん、もしくはLeoくんとエッチしてるところ、私に見せてくれないかな?言い値を払うから」
しおりを挟む
感想 3

あなたにおすすめの小説

大学生はバックヤードで

リリーブルー
BL
大学生がクラブのバックヤードにつれこまれ初体験にあえぐ。

久々に幼なじみの家に遊びに行ったら、寝ている間に…

しゅうじつ
BL
俺の隣の家に住んでいる有沢は幼なじみだ。 高校に入ってからは、学校で話したり遊んだりするくらいの仲だったが、今日数人の友達と彼の家に遊びに行くことになった。 数年ぶりの幼なじみの家を懐かしんでいる中、いつの間にか友人たちは帰っており、幼なじみと2人きりに。 そこで俺は彼の部屋であるものを見つけてしまい、部屋に来た有沢に咄嗟に寝たフリをするが…

男子高校に入学したらハーレムでした!

はやしかわともえ
BL
閲覧ありがとうございます。 ゆっくり書いていきます。 毎日19時更新です。 よろしくお願い致します。 2022.04.28 お気に入り、栞ありがとうございます。 とても励みになります。 引き続き宜しくお願いします。 2022.05.01 近々番外編SSをあげます。 よければ覗いてみてください。 2022.05.10 お気に入りしてくれてる方、閲覧くださってる方、ありがとうございます。 精一杯書いていきます。 2022.05.15 閲覧、お気に入り、ありがとうございます。 読んでいただけてとても嬉しいです。 近々番外編をあげます。 良ければ覗いてみてください。 2022.05.28 今日で完結です。閲覧、お気に入り本当にありがとうございました。 次作も頑張って書きます。 よろしくおねがいします。

騙されて快楽地獄

てけてとん
BL
友人におすすめされたマッサージ店で快楽地獄に落とされる話です。長すぎたので2話に分けています。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

水泳部合宿

RIKUTO
BL
とある田舎の高校にかよう目立たない男子高校生は、快活な水泳部員に半ば強引に合宿に参加する。

壁乳

リリーブルー
BL
俺は後輩に「壁乳」に行こうと誘われた。 (作者の挿絵付きです。)

サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由

フルーツパフェ
大衆娯楽
 クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。  トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。  いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。  考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。  赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。  言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。  たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。

処理中です...