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鬼頭先生まで……?!
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「あ、あの、紀藤さん……?」
暫く続いた集中モードに業を煮やして、俺が声を掛ける。するといつもの穏やかな表情にパッと戻った。
「ああ、ごめんごめんなんだったっけ?」
「い、いや、なんでも無いです」
「そう?あ、そうだ、誰か何か質問あるかな?」
暫くの無言の後、玲央さんが小さく手を上げた。
「はい、玲央くんどうぞ」
まるで教師のように玲央さんを指名する紀藤さんは、実に楽しそうだ。
「自分、鬼頭先生のサイン会とかたまに行かせてもらってたんですけど、こういうイベント出るの珍しく無いですか?いつも本人不在だったのに、どうして今日は来たんですか?」
「良い質問だ。丁度私が話したかった内容とも合致する。少し長いけれど、聞いてくれるかな?」
もちろん皆こくりと首を縦に振ると、紀藤さんは喜々として話だした。
「まず、私はイベントが大好きで商業デビューする前は良く参加していた。けど、デビュー後はエネルギーが枯れてしまってね。同時に子供を育てる事にもなったのもあると思う」
紀藤さんが育休を取った事を思い出した。反対の声を実力でねじ伏せた、紀藤さんの武勇伝だ。
「商業もね、一定のファンの人はいたけど、兼業作家で会社員としての生活もある。子供との生活が安定してくると、今までのような過激な作品って中々書けなくなってね」
確かにそうだ。初期の激しいプレイから、最近は甘々や、子供を育てるカップルの話等社会的な側面を持つ作品も書いていた。
だからこそ、この前出した新作のBL作品――丸眼鏡の陽キャ×前髪のうざい根暗が、久々に激しい内容で興奮した。
更に本日頒布された本は、その本の後日談だなんて言うのだから購入必須だったのである。今夜読むのが楽しみすぎる!
「そんな時にね、楢本くんがいたんだよね」
「――え?」
急に名前を呼ばれ、間抜けな声しか出ない。玲央さんと穂高くんの視線も俺に集中しているのがわかり、顔の良い人達に見つめられて、俺の視線が泳いだ。
「なんて可愛い子だろうってね」
ウインクが飛んできた。イケオジ上司のウインクに、思わず下を向いた。膝の上の握りこぶしだけが見える。
「そ、それはどういう……?」
「間宮くんだってそう思ったんだよね?楢本くんってイイなって」
「――?!」
下を向いたままチラりと目線だけで穂高くんを見る。彼の顔が真っ赤になって、口をぱくぱくしている。
「まあ私の方が先に楢本くんに目を着けていたと思うけど……間宮くんからの熱視線を見てね、ほら一応曲がりなりにもBL作家だし、そういうのには敏感っていうかね」
「間宮さんそんなに分かりやすい事してたんですか?」
思わず疑問を口にした玲央さんを、穂高くんが勢いよく睨みつけた。
暫く続いた集中モードに業を煮やして、俺が声を掛ける。するといつもの穏やかな表情にパッと戻った。
「ああ、ごめんごめんなんだったっけ?」
「い、いや、なんでも無いです」
「そう?あ、そうだ、誰か何か質問あるかな?」
暫くの無言の後、玲央さんが小さく手を上げた。
「はい、玲央くんどうぞ」
まるで教師のように玲央さんを指名する紀藤さんは、実に楽しそうだ。
「自分、鬼頭先生のサイン会とかたまに行かせてもらってたんですけど、こういうイベント出るの珍しく無いですか?いつも本人不在だったのに、どうして今日は来たんですか?」
「良い質問だ。丁度私が話したかった内容とも合致する。少し長いけれど、聞いてくれるかな?」
もちろん皆こくりと首を縦に振ると、紀藤さんは喜々として話だした。
「まず、私はイベントが大好きで商業デビューする前は良く参加していた。けど、デビュー後はエネルギーが枯れてしまってね。同時に子供を育てる事にもなったのもあると思う」
紀藤さんが育休を取った事を思い出した。反対の声を実力でねじ伏せた、紀藤さんの武勇伝だ。
「商業もね、一定のファンの人はいたけど、兼業作家で会社員としての生活もある。子供との生活が安定してくると、今までのような過激な作品って中々書けなくなってね」
確かにそうだ。初期の激しいプレイから、最近は甘々や、子供を育てるカップルの話等社会的な側面を持つ作品も書いていた。
だからこそ、この前出した新作のBL作品――丸眼鏡の陽キャ×前髪のうざい根暗が、久々に激しい内容で興奮した。
更に本日頒布された本は、その本の後日談だなんて言うのだから購入必須だったのである。今夜読むのが楽しみすぎる!
「そんな時にね、楢本くんがいたんだよね」
「――え?」
急に名前を呼ばれ、間抜けな声しか出ない。玲央さんと穂高くんの視線も俺に集中しているのがわかり、顔の良い人達に見つめられて、俺の視線が泳いだ。
「なんて可愛い子だろうってね」
ウインクが飛んできた。イケオジ上司のウインクに、思わず下を向いた。膝の上の握りこぶしだけが見える。
「そ、それはどういう……?」
「間宮くんだってそう思ったんだよね?楢本くんってイイなって」
「――?!」
下を向いたままチラりと目線だけで穂高くんを見る。彼の顔が真っ赤になって、口をぱくぱくしている。
「まあ私の方が先に楢本くんに目を着けていたと思うけど……間宮くんからの熱視線を見てね、ほら一応曲がりなりにもBL作家だし、そういうのには敏感っていうかね」
「間宮さんそんなに分かりやすい事してたんですか?」
思わず疑問を口にした玲央さんを、穂高くんが勢いよく睨みつけた。
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