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鬼頭先生まで……?!
紀藤さんが鬼頭さん
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「で、三人はどういう関係?」
丁度椅子が空いていて、俺たちは円卓を囲った。座り順は俺の横を二人が取り合ったせいで、俺、穂高くん、紀藤さん、玲央さんという並びだ。
紀藤さんからの質問に答える人はいない。なんというか気まずすぎて。
「というか、聞きたいのは僕たちの方なんですが……?」
と、なんとか口火を切ってくれたのは、穂高くんだ。言い難い事も口に出して言ってくれる、本当に仕事が出来る頼れる同僚だ。
「あ、そっか。ちゃんと説明してなかったね、ごめんごめん。自分の中で解決してる事をわざわざ人に話すのって忘れがちなんだよね。良く怒られるんだ」
爽やかに笑い、髪を掻き揚げる。仕事中はぴっちりとしている髪型だけれど、下ろすと少し長めで、なんというか首筋にかかる髪がセクシーだ。
「ちょっと改まるのは恥ずかしいなぁ。でもここは年長者の私からいかないと始まらないよね。――えっと、小説家の鬼頭なめたろうです。そして渚くん達の上司でもあります。――こんな感じでどう?」
どう、と言われても……と、思いつつ、視線で促された俺は口を開いた。
「ウェブで小説書いてるなぎさ凪、こと楢本渚です……今日は初めてのイベントにきました。……は、恥ずかしいこれ!」
「いいねぇ、いいねぇ、初々しい感じが出てる!じゃあ次は間宮君の番ね」
「ええ?!えっと、間宮穂高です。渚くんと紀藤さんと同じ会社で働いていて……きょ、今日は渚くんについてイベントに来ました。僕も初参加です!」
「ぶっぶー」
「え?!」
指でバッテンを作った紀藤さんが、笑顔のまま口を開いた。
「駄目だよ嘘ついちゃ。大事な時に信頼を得られなくなる。本当は分かっているんだろう?魔法少女マホくん?」
「し、知って……?!」
「はーい、じゃあ最後は美男子くんどうぞ」
「Leoって名前で絵を書いてます。本名も玲央です。えっと、今日は渚さん達と一緒にイベントに来ました」
こんな玲央さんは珍しい。憧れの人を前にして緊張しているのだろう。いつだってパーフェクトな彼が、年下だった事を久しぶりに感じた。
「ああ、君が!良い絵を描くよね。いくつか画集買ったよ」
「ま、マジですか?!」
「うん。特に陰気な子を描くとセクシーで良いよね。……あー、なるほど」
俺たちを見回した紀藤さんは、何やら口の中だけでぼそぼそと呟き始めた。
丁度椅子が空いていて、俺たちは円卓を囲った。座り順は俺の横を二人が取り合ったせいで、俺、穂高くん、紀藤さん、玲央さんという並びだ。
紀藤さんからの質問に答える人はいない。なんというか気まずすぎて。
「というか、聞きたいのは僕たちの方なんですが……?」
と、なんとか口火を切ってくれたのは、穂高くんだ。言い難い事も口に出して言ってくれる、本当に仕事が出来る頼れる同僚だ。
「あ、そっか。ちゃんと説明してなかったね、ごめんごめん。自分の中で解決してる事をわざわざ人に話すのって忘れがちなんだよね。良く怒られるんだ」
爽やかに笑い、髪を掻き揚げる。仕事中はぴっちりとしている髪型だけれど、下ろすと少し長めで、なんというか首筋にかかる髪がセクシーだ。
「ちょっと改まるのは恥ずかしいなぁ。でもここは年長者の私からいかないと始まらないよね。――えっと、小説家の鬼頭なめたろうです。そして渚くん達の上司でもあります。――こんな感じでどう?」
どう、と言われても……と、思いつつ、視線で促された俺は口を開いた。
「ウェブで小説書いてるなぎさ凪、こと楢本渚です……今日は初めてのイベントにきました。……は、恥ずかしいこれ!」
「いいねぇ、いいねぇ、初々しい感じが出てる!じゃあ次は間宮君の番ね」
「ええ?!えっと、間宮穂高です。渚くんと紀藤さんと同じ会社で働いていて……きょ、今日は渚くんについてイベントに来ました。僕も初参加です!」
「ぶっぶー」
「え?!」
指でバッテンを作った紀藤さんが、笑顔のまま口を開いた。
「駄目だよ嘘ついちゃ。大事な時に信頼を得られなくなる。本当は分かっているんだろう?魔法少女マホくん?」
「し、知って……?!」
「はーい、じゃあ最後は美男子くんどうぞ」
「Leoって名前で絵を書いてます。本名も玲央です。えっと、今日は渚さん達と一緒にイベントに来ました」
こんな玲央さんは珍しい。憧れの人を前にして緊張しているのだろう。いつだってパーフェクトな彼が、年下だった事を久しぶりに感じた。
「ああ、君が!良い絵を描くよね。いくつか画集買ったよ」
「ま、マジですか?!」
「うん。特に陰気な子を描くとセクシーで良いよね。……あー、なるほど」
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