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鬼頭先生まで……?!
慣れってあるよね
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「え?」
「――なんですかその疑問符は」
綺麗な顔に不満げな縦筋が入った。
「い、いやぁ……あの、でもほら……玲央さんはモテるじゃないですか」
頭に過ったのはうずら先生の事だ。一夜を過ごしたと言っていた。それに、彼女以外にも玲央さんはたくさんの人とそういう事をしてきた人だ。そんな選びたい放題の人が、俺なんかを本気で選ぶわけがない。
「それが、なんなんです?」
「うずら先生ともお泊りとかしたんですよね?」
「え?」
「他のたくさんの人達とも、え、エッチな事したんでしょう?」
「あー……まあ、そうですけど……。今は渚さんだけですよ」
小首を傾げられると、思わず全てに頷いてしまいそうになる。でも、心の奥底でうずら先生から一夜を過ごしたと言われた時のチクチク感が増してきている。
「今はそうかもしれないけど、根暗で本が好きそうな人がいたら、また玲央さんそっちに行っちゃう可能性高いじゃないですか……!」
「そんな事ありませんって!」
「でも――!」
もやもやチクチクするのはどうしてだろう。こんなカッコイイ人に好きだと言われて、嬉しいはずなのに、不信感が拭えない。
「あれこんな所で何してるの?今そっちのスペースに行こうと思ってたんだけど」
小競り合いを初めた二人に、間延びした落ち着いた声がかけられた。
「紀藤さん……?」
「鬼頭さん!」
「知ってるんですか?!」
そういえば玲央さんは鬼頭さんのサイン本を持っていた。と言う事は、サイン会に言った事があるのかもしれない。
「なんかBLの匂いを感じて来てみたんだけど、正解だったみたいだね」
ふんわりと笑う紀藤さんは、紛れも無い上司の紀藤響介さんだ。やっぱり、勘違いじゃなかった。
「えっと、紀藤さんって鬼頭さんなんですか?」
「ふふ、そうだよ」
音だけでは意味のわからない質問を、紀藤さんはしっかり意味を理解して答えてくれたようだ。
「ごめんね、実は楢本くんと間宮くんに謝らなきゃならない事があって。その為に今日は久しぶりに会場に来たんだけど……やっぱりびっくりした?」
「すごくしました……!って穂高くんにも教えなきゃ」
「うん、間宮くんの所に連れて行ってくれる?実は会場の地図よく読めなくて」
照れくさそうに笑った紀藤さんを見て、玲央さんが耳打ちしてきた。
「鬼頭さんとお知り合いなんですか?」
「俺も信じられないんだけど、会社の上司なんだ」
「え?!」
玲央さんが驚く顔を見るのは初めてじゃないだろうか。憧れの作家を引き連れて、俺たちは間宮くんの待つ自スペースへと向かった。
「――なんですかその疑問符は」
綺麗な顔に不満げな縦筋が入った。
「い、いやぁ……あの、でもほら……玲央さんはモテるじゃないですか」
頭に過ったのはうずら先生の事だ。一夜を過ごしたと言っていた。それに、彼女以外にも玲央さんはたくさんの人とそういう事をしてきた人だ。そんな選びたい放題の人が、俺なんかを本気で選ぶわけがない。
「それが、なんなんです?」
「うずら先生ともお泊りとかしたんですよね?」
「え?」
「他のたくさんの人達とも、え、エッチな事したんでしょう?」
「あー……まあ、そうですけど……。今は渚さんだけですよ」
小首を傾げられると、思わず全てに頷いてしまいそうになる。でも、心の奥底でうずら先生から一夜を過ごしたと言われた時のチクチク感が増してきている。
「今はそうかもしれないけど、根暗で本が好きそうな人がいたら、また玲央さんそっちに行っちゃう可能性高いじゃないですか……!」
「そんな事ありませんって!」
「でも――!」
もやもやチクチクするのはどうしてだろう。こんなカッコイイ人に好きだと言われて、嬉しいはずなのに、不信感が拭えない。
「あれこんな所で何してるの?今そっちのスペースに行こうと思ってたんだけど」
小競り合いを初めた二人に、間延びした落ち着いた声がかけられた。
「紀藤さん……?」
「鬼頭さん!」
「知ってるんですか?!」
そういえば玲央さんは鬼頭さんのサイン本を持っていた。と言う事は、サイン会に言った事があるのかもしれない。
「なんかBLの匂いを感じて来てみたんだけど、正解だったみたいだね」
ふんわりと笑う紀藤さんは、紛れも無い上司の紀藤響介さんだ。やっぱり、勘違いじゃなかった。
「えっと、紀藤さんって鬼頭さんなんですか?」
「ふふ、そうだよ」
音だけでは意味のわからない質問を、紀藤さんはしっかり意味を理解して答えてくれたようだ。
「ごめんね、実は楢本くんと間宮くんに謝らなきゃならない事があって。その為に今日は久しぶりに会場に来たんだけど……やっぱりびっくりした?」
「すごくしました……!って穂高くんにも教えなきゃ」
「うん、間宮くんの所に連れて行ってくれる?実は会場の地図よく読めなくて」
照れくさそうに笑った紀藤さんを見て、玲央さんが耳打ちしてきた。
「鬼頭さんとお知り合いなんですか?」
「俺も信じられないんだけど、会社の上司なんだ」
「え?!」
玲央さんが驚く顔を見るのは初めてじゃないだろうか。憧れの作家を引き連れて、俺たちは間宮くんの待つ自スペースへと向かった。
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