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鬼頭先生まで……?!

好きって言われてはいるけれど

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「あの……」
 目隠しを外された俺の目の前で、玲央さんが微笑んだ。何を考えているのかが分からない人だ。
「ん?なんですか渚さん」
 イケメンの笑顔を間近で浴びて、俺の心臓はバクバクと音が聞こえる程早く動き出す。  
 コンクリートの壁に囲まれた、薄暗い場所。さほど遠くない所から、イベントの喧騒が聞こえてくる。
 さっきまでの人の多さとは比べものにならない場所だ。
「あ、えっと……ど、どうして俺をここに?」
「分からないですか?」
 分からないから聞いているのだけれど、玲央さんは俺の質問に不機嫌そうに眉を寄せた。
「――鈍感なのも可愛いんですけど、そろそろ自覚もして欲しいかもしれないですね」
「鈍感って何の事ですか?」
「本気で言ってます?」
「もちろんです」
 見当もつかない俺はまっすぐ玲央さんを見た。二人の視線がぶつかる。出会ったころは目が合っただけで恥ずかしくて逃げてしまいたい気持ちだったのだけれど、これも慣れてきた。イケメンも慣れると言う事か。
 玲央さんは繋いだままの手を壁に押し付けてきた。空いている方の手で壁ドンされ、俺の逃げ道は無い。
「渚さん、可愛いんですよ。もう少し自覚してください」
「――はい?」
 目が点になるとはこのことか。
「いつも言ってるでしょ?自分も間宮さんも。渚さんが可愛いって」
「あ――……」
 言われている。言われているのだけれど、どこか他人事というか半分以上冗談のようなものだと捉えていた。というか言われ過ぎて慣れた。人間って意外と適応能力が高いらしい。
「分かってるでしょ?間宮さんが渚さんに本気だって。――自分だって、渚さんの事本当に好きなんですよ」
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