憧れの神絵師に迫られて、しかもイケメンだったら拒めるはずがないよね!?ね!?

花田トギ

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鬼頭先生まで……?!

こっちも大変!

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 スペースに着いた俺は、目を疑った。そこにはなんと行列が出来ていたからだ。
 眼鏡イケメンと、サングラスイケメンの効果だろうか?いや、そもそもLeo先生の表紙が目を惹くし、マホさんも実力のある書き手だ。
 その上二人共イケメンだ。やっぱりこの世界はイケメンによって回っているに違いない。
 早く紀藤さんの事を伝えたかった俺だったが、なんとなく場違いな気がして自分のスぺ―スなのに戻れないで近くをうろうろするしかなかった。すると、横からさっき挨拶してくれたうずら先生が声をかけてきてくれた。
 どうやら彼女も最初に買い物に行っていたらしい。
「大人気ですね!」
「え?!……あ、ああそうみたいですね」
「そんな他人事みたいに!なぎさ先生の本でしょ?」
「そうなんですけど……なんだか、あの二人を見ていると自分が場違いな気がして来て……」
 挨拶した時は落ち着いていたうずら先生だったが、今は少し興奮しているようだ。
「何言ってるんですか?!」
「二人共キラキラしているから……」
「あーそういう……まあ確かにマホ先生は中身陰なのに見た目すごく陽ですもんね。それが影があっていいというか……実はマホ先生のフォロワーさんって、結構マホ先生狙いなんですよ」
「え?!」
 こそっと耳打ちしてきたうずら先生は、更に言葉を続ける。
「Leo先生だって、人気者ですよね。……実は私も一緒に夜を過ごした事あるんですよ」
「ええ?!」
 初対面の人間にそんな事まで話すのかという驚きと、玲央さんの過去の話がリアリティを持った衝撃で一瞬言葉に詰まってしまう。ぽろっと言ってしまった事への恥ずかしさか、手に入れた戦利品の話へと話を変え始めたうずら先生を見ながら、玲央さんはエロい小説を書く真面目そうな人がタイプみたいな事を言っていた事を思い出した。
 確かに、うずら先生も黒髪で眼鏡で文庫本が似合う見た目をしている。
――なんだろう、このもやもや感。
「渚くん!手伝って!」
 心のざわつきを不思議に思っていると、穂高君が俺を呼んだ。
「え?!あ、はい!うずら先生、また!」
「は、はい!また後ほどー!」
 スペースに戻った俺は、すぐ忙しさの原因を知った。
 列に並ぶ人が多いのだが、穂高くんと玲央さんに連絡先を聞いたり、口説き始める人が多いのだ。
「モ、モテモテだね……」
「ちょっとオレ達も休憩したいから、売り子代わってくれる?二人だとトイレもいけないんだ」
「う、うん……!」
 そう言って、俺は玲央さんと場所を代わった。後ろに下がった玲央さんはドリンクを飲んで休憩を始めた。
 うずら先生の事、聞いてみたい気もするけどきっと事実だろう。穂高くんからも玲央さんが色んな人に手を出しているという話も聞いているし、玲央さん自身もそういう事を言っていた。でも、夜を共にした人と再会って気まずくないのだろうか?それとも陽の人ってそういう生き物なの?
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