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鬼頭先生まで……?!
イベントに来た!
しおりを挟む「わー!人がいっぱい!」
入場した俺は、手放しに叫んだ。
サークル入場が始まってからずっときょろきょろしっぱなしだ。だって、人生初めてのイベント参加、しかも夢のサークル参加なんだから仕方がない。初めての自作の本を携えての参加なんだからワクワクが止まらないのも分かって頂けるだろう。
「初めてのイベントではしゃぐ渚くんって可愛いなあ」
「渚さんはいつも可愛いですよ」
「分かってるっつーの!」
この二人のやりとりは、もはやいつも通りで慣れてきた。俺みたいな陰キャなモブが、イケメン二人といる状況に慣れていいのか分からないけれど。
「修羅場、無事抜けてよかったですね」
「はい!」
「オレのスケ管の素晴らしさも褒めてほしいなあ」
「穂高くん、本当にすごいよね!」
穂高くんが嬉しそうに鼻を擦った。
元々無理をしないスケジュールを穂高くんが立ててくれていた。しかし、それでも初めてのオフ本作りは本当に色々大変だった。予想より進まぬ執筆、急に入った仕事、更に上司の紀藤さんが急に有給を取ったり……と、本当に大変だったんだ。
それでもなんとか俺がここに立てているのは二人に励まされたからだ。そもそも本を作る事が初めて更でで、更にマホ先生との合同誌。楽しさと大変さを噛み締めまくった日々だった。
仕事や育児しながら本を出している人のスケジュール、ホントに知りたいと思った。
締め切りに間に合わせた本は、イベント会場に直接運ばれる手筈になっているからまだ完成品を誰も見ていない。
早く見たい。自費出版とはいえ、書いた文章が本の形になるなんて楽しみすぎる。しかも、マホ先生との合同誌!表紙はLeoさん担当なんて豪華すぎる!
イベントに一番慣れている穂高くんの誘導で配置に辿り着くと、そこにはダンボールが置かれていた。
「これ……?」
ダンボールの山を指さした俺に、にやにやした穂高君が近づいてきて、跪いた。
「え?何冊刷ったの?!」
指定されたスペースには、小さいダンボール箱が一つ……だと思っていたのだけれど、俺の予想を超えた数のダンボールが置かれていた。
そういえば何冊刷るのかとか、印刷代とか何も聞いてない事に今更ながら気が付いた。
「これって、いくらかかったの……?ていうか、こんなにあるの!?」
オリジナルの小説本なんて、買う人がいるのだろうか?これが売れ残ったらどうすれば良いのだろうか。貯金残高どれくらいあったっけ?
顔を青くした俺に、穂高くんがダンボールを開け、一冊取り出した。
「ほら、渚くんどうぞ」
「え……?ええー?!」
手渡された薄い本(そこそこページ数はある)の表紙の美麗さに、俺は立ち尽くした。そりゃそうだ、Leo先生の表紙なんだから……!
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