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マホ先生が登場
テイクアウト
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穂高くんとの創作談義は楽しかった。ネット上で語り合えるだけでも楽しかったのに、リアルで語り合える楽しさといったら、その比ではない。何より穂高くんは聞き上手で話し上手だった。
楽しい会話、美味しい食事にお酒が進めない筈がなく。二時間後には俺はすっかり出来上がってしまっていた。
「二軒目行こうよ、渚くん」
そういわれて店を出た。支払いはいつの間にか穂高くんが済ましてくれていて、二軒目は俺が払うとごねながら飲み屋街を歩く。
どこの店に行くのだろうかと肩を組まれたまま歩いていると、小さな個人店が密集する少し懐かしい匂いがある界隈へと辿り着いた。
焼き鳥、おでん、立ち食いの店まであって、会社の近くにこんなにもたくさんの店がある事を知らなかった俺は、さっき腹いっぱい食べたばかりだというのにお腹が鳴った。
「ふふ、美味そうだよね。焼き鳥何本かテイクアウトして行こうよ」
「焼き鳥美味しそうだよね」
年季の入ったのれんをくぐり、穂高くんが店主に持ち帰りを注文していると、青く髪を染めた客と目が合った。
「渚さん?」
青髪の姿勢正しい男から名を呼ばれ、彼の顔をまじまじと見る。
「えっ……?玲央さん?」
「渚さんっ!わー!見て下さい、渚さんに染まろうと思って髪の毛青くしてみたんです」
「ど、どういう意味ですかそれ?」
「渚ってやっぱり青いイメージ無いですか?白と青二色にすれば良かったかなあ……?」
「そうじゃなくって……!」
ちなみに渚には波打ち際という意味がある。海の水が寄せては返す、そんな場所を指す漢字だ。玲央さんは多分、そういうイメージの話をしているのだろうけど、今俺が聞きたいのはそうじゃなくて。
「れおさん?どうもー渚くんの同期の間宮です」
自分の中でも言いたい言葉が纏まらない俺の前に、穂高くんが割って入って来ると、完璧な社会人仕草で名刺を差し出した。
「間宮サン?同期……へぇ、これが渚さんの勤めてる会社なんですね。個人情報ゲットしちゃいました」
にっこりとイケメンが笑うと心臓に悪い。イケメンの笑顔は場末感ある焼き鳥屋内に、爽やかな風を巻き起こした。頑固そうな店主さえ、なんとなく機嫌がよさそうである。
「……もしかして、れおさんってあの絵師のLeoさん?」
「――あ、えーっと……」
穂高くんい耳打ちされるも、勝手に言って良いものか悩んだ俺は、玲央さんに近づいていった。
丸い椅子をくるりと回転させ、俺をじっと見ている玲央さんの耳に小声で訊ねた。
「絵師のLeoさんって紹介して大丈夫ですか?」
「大丈夫ですよ。というか、自分で言います」
「えっ……?」
立ち上がった玲央さんは穂高くんに手を差し出した。握手を求めるポーズだ。
「初めまして、絵を描いているLeoです。知ってくれてますか?」
「――っもちろん、知ってます……」
手を取ると、二人はにっこりと笑いあった。長身青髪イケメンと、茶髪ハーフ顔眼鏡イケメンはとても絵になる。この二人をモデルにしたBL書きたいなぁなんて、俺は呑気に思っていた。
楽しい会話、美味しい食事にお酒が進めない筈がなく。二時間後には俺はすっかり出来上がってしまっていた。
「二軒目行こうよ、渚くん」
そういわれて店を出た。支払いはいつの間にか穂高くんが済ましてくれていて、二軒目は俺が払うとごねながら飲み屋街を歩く。
どこの店に行くのだろうかと肩を組まれたまま歩いていると、小さな個人店が密集する少し懐かしい匂いがある界隈へと辿り着いた。
焼き鳥、おでん、立ち食いの店まであって、会社の近くにこんなにもたくさんの店がある事を知らなかった俺は、さっき腹いっぱい食べたばかりだというのにお腹が鳴った。
「ふふ、美味そうだよね。焼き鳥何本かテイクアウトして行こうよ」
「焼き鳥美味しそうだよね」
年季の入ったのれんをくぐり、穂高くんが店主に持ち帰りを注文していると、青く髪を染めた客と目が合った。
「渚さん?」
青髪の姿勢正しい男から名を呼ばれ、彼の顔をまじまじと見る。
「えっ……?玲央さん?」
「渚さんっ!わー!見て下さい、渚さんに染まろうと思って髪の毛青くしてみたんです」
「ど、どういう意味ですかそれ?」
「渚ってやっぱり青いイメージ無いですか?白と青二色にすれば良かったかなあ……?」
「そうじゃなくって……!」
ちなみに渚には波打ち際という意味がある。海の水が寄せては返す、そんな場所を指す漢字だ。玲央さんは多分、そういうイメージの話をしているのだろうけど、今俺が聞きたいのはそうじゃなくて。
「れおさん?どうもー渚くんの同期の間宮です」
自分の中でも言いたい言葉が纏まらない俺の前に、穂高くんが割って入って来ると、完璧な社会人仕草で名刺を差し出した。
「間宮サン?同期……へぇ、これが渚さんの勤めてる会社なんですね。個人情報ゲットしちゃいました」
にっこりとイケメンが笑うと心臓に悪い。イケメンの笑顔は場末感ある焼き鳥屋内に、爽やかな風を巻き起こした。頑固そうな店主さえ、なんとなく機嫌がよさそうである。
「……もしかして、れおさんってあの絵師のLeoさん?」
「――あ、えーっと……」
穂高くんい耳打ちされるも、勝手に言って良いものか悩んだ俺は、玲央さんに近づいていった。
丸い椅子をくるりと回転させ、俺をじっと見ている玲央さんの耳に小声で訊ねた。
「絵師のLeoさんって紹介して大丈夫ですか?」
「大丈夫ですよ。というか、自分で言います」
「えっ……?」
立ち上がった玲央さんは穂高くんに手を差し出した。握手を求めるポーズだ。
「初めまして、絵を描いているLeoです。知ってくれてますか?」
「――っもちろん、知ってます……」
手を取ると、二人はにっこりと笑いあった。長身青髪イケメンと、茶髪ハーフ顔眼鏡イケメンはとても絵になる。この二人をモデルにしたBL書きたいなぁなんて、俺は呑気に思っていた。
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