20 / 67
突発的短編
15分後の2人
しおりを挟む・ご説明・
フォロワー様の企画でお題【時計】で書く短編で玲央と渚を書きました。
本編はまだ執筆途中(今二章ゆっくり書いてます)ですが、有難いことにこの2人がお好きとの声を頂いてますので、せっかくなのでアップさせて頂きました。
お楽しみ頂ければ幸いです。
・説明終わり・
━━━━━━━━━━━━━━━
「す、すごい……!」
俺が今日何度言ったか分からない感嘆の声を上げると、玲央さんは苦笑いしながら振り向いた。
「渚さん今日そればっかり!」
神絵師である玲央さんに誘われて、使用感のあるノートパソコンを抱えてマンションを訪れたのは一時間程前の事。
玲央さんは絵、俺は小説を書くという作業オフ会のためだが、俺の方は書き出しを書いて以降ほぼ進んでいない。
というのも仕方がないのである。言い訳をさせてもらうと、こんなに間近で憧れの絵師が何かよくわからない機能を使って色を調整したり、エフェクトをかけたり、そもそも線画を描くのを見ている事に夢中になってしまうというわけだ。
「渚さん、ほとんど書いて無くないです?」
「だ、だって……玲央さんの描くのつい見ちゃって」
俺の方が年上だというのに、玲央さんの方がしっかりしているのが恥ずかしくて俯いていると、俺と玲央さんの間にスマートフォンが置かれた。
不思議に思い、玲央さんの綺麗な顔を見る。何度観てもやっぱりイケメンである。
「このアプリ使いましょうか」
「……アプリ?」
「十五分毎に教えてくれる時計みたいなもんです」
「へえ~そんなアプリがあるんですねぇ」
「これが鳴った時に、渚さんの作業進んでなかったらキスしますね」
「へえ~これが鳴った時に……き、キス?!なんで?!」
突然飛び出たワードに、玲央さんをガン見するが、彼は涼しい顔で言葉を続けた。
「だって、同じ部屋でしかもこんな近くに好きな人がいるのに。……自分、頑張って絵を描いてるんですよ?なのに渚さん全然進んでないですし……」
じとぉっと恨みがましい流し目が俺を射貫く。イケメンの流し目は武器である。玲央さんは分かってて自分の武器を使うタイプだ。ずるい。
「……まあ、十五分間わざと書かないなんて事したら、キスされたいんだなって思っちゃうんで、キスだけで止まれなくなりますから気を付けてくださいね」
にやりと笑みを浮かべると、アプリのスタートボタンを長い指がタップした。
俺はアプリの秒針が一つ進むごとに、キスされる俺、キスで止まらない玲央さんの姿が脳内に描き出され始めた。
――十五分後、玲央さんは「しょうがないなぁ、渚さんの期待には応えなきゃ」と言って俺をベッドに押し倒してくれたのだった。
0
お気に入りに追加
63
あなたにおすすめの小説



どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。

久々に幼なじみの家に遊びに行ったら、寝ている間に…
しゅうじつ
BL
俺の隣の家に住んでいる有沢は幼なじみだ。
高校に入ってからは、学校で話したり遊んだりするくらいの仲だったが、今日数人の友達と彼の家に遊びに行くことになった。
数年ぶりの幼なじみの家を懐かしんでいる中、いつの間にか友人たちは帰っており、幼なじみと2人きりに。
そこで俺は彼の部屋であるものを見つけてしまい、部屋に来た有沢に咄嗟に寝たフリをするが…


ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる