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突発的短編

15分後の2人

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・ご説明・

 フォロワー様の企画でお題【時計】で書く短編で玲央と渚を書きました。
 本編はまだ執筆途中(今二章ゆっくり書いてます)ですが、有難いことにこの2人がお好きとの声を頂いてますので、せっかくなのでアップさせて頂きました。
 お楽しみ頂ければ幸いです。


・説明終わり・


━━━━━━━━━━━━━━━



「す、すごい……!」
 俺が今日何度言ったか分からない感嘆の声を上げると、玲央さんは苦笑いしながら振り向いた。
「渚さん今日そればっかり!」
 神絵師である玲央さんに誘われて、使用感のあるノートパソコンを抱えてマンションを訪れたのは一時間程前の事。
 玲央さんは絵、俺は小説を書くという作業オフ会のためだが、俺の方は書き出しを書いて以降ほぼ進んでいない。
 というのも仕方がないのである。言い訳をさせてもらうと、こんなに間近で憧れの絵師が何かよくわからない機能を使って色を調整したり、エフェクトをかけたり、そもそも線画を描くのを見ている事に夢中になってしまうというわけだ。
「渚さん、ほとんど書いて無くないです?」
「だ、だって……玲央さんの描くのつい見ちゃって」
 俺の方が年上だというのに、玲央さんの方がしっかりしているのが恥ずかしくて俯いていると、俺と玲央さんの間にスマートフォンが置かれた。
 不思議に思い、玲央さんの綺麗な顔を見る。何度観てもやっぱりイケメンである。
「このアプリ使いましょうか」
「……アプリ?」
「十五分毎に教えてくれる時計みたいなもんです」
「へえ~そんなアプリがあるんですねぇ」
「これが鳴った時に、渚さんの作業進んでなかったらキスしますね」
「へえ~これが鳴った時に……き、キス?!なんで?!」
 突然飛び出たワードに、玲央さんをガン見するが、彼は涼しい顔で言葉を続けた。
「だって、同じ部屋でしかもこんな近くに好きな人がいるのに。……自分、頑張って絵を描いてるんですよ?なのに渚さん全然進んでないですし……」
 じとぉっと恨みがましい流し目が俺を射貫く。イケメンの流し目は武器である。玲央さんは分かってて自分の武器を使うタイプだ。ずるい。
「……まあ、十五分間わざと書かないなんて事したら、キスされたいんだなって思っちゃうんで、キスだけで止まれなくなりますから気を付けてくださいね」
 にやりと笑みを浮かべると、アプリのスタートボタンを長い指がタップした。
 俺はアプリの秒針が一つ進むごとに、キスされる俺、キスで止まらない玲央さんの姿が脳内に描き出され始めた。


――十五分後、玲央さんは「しょうがないなぁ、渚さんの期待には応えなきゃ」と言って俺をベッドに押し倒してくれたのだった。
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