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待ち合わせ場所は池袋2
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『着きました。なぎさ先生着いてますか?こっちは黒いハット被ってます』
DMが着て、俺は周囲を見回した。でも、目的の女子は見つけられない。目の端に、さっきカフェから見かけた長身イケメンが立っているのが見えた。彼と待ち合わせる女の子はどんな可愛い子なのだろうと好奇心が沸く。
『着いてます!俺は黒いコート着てます!ブーツも黒です!』
ああ、俺を見つけて「無い」認定してそそくさと帰ってしまったらどうしよう。せっかく出来た神絵師との縁が知らぬ間に切れてしまうかと思うと胸が痛む。
――気のせいかもしれないけど、さっきのイケメンが俺に近づいてきた気がする。彼の向きが代わって、ジャケットの下に赤いパーカーが見えた。毎日全身黒の俺とは違う世界を生きるリア充に違いない。
そういえば、彼も黒い帽子を被っているなあなんて思いながら俺はLeo先生からの返信を待った。
『ちょっとw黒いコートで黒い靴の人多すぎるんですけど!何か目印無いですか?こっちは黒いバケハ、赤いフーディです!」
バケハ?フーディとは何だ?
分からないが周りに黒い服の男が多すぎるのは事実だ。
『じゃあ今からジャンプします!』
送ってから後悔した。これだけ人がいる中で、ただジャンプする暗い男って通報されかねない気がする。
でも、送ってしまったからには仕方がない。俺は恥ずかしさを堪えて無言でジャンプし続けた。
周りがぎょっとして、半歩退く。怖がらせてしまって申し訳ないが、そのお陰で俺の空間が広がった。
何度か続けているが、恥ずかしさは無くならない。俺は目を閉じて、あと十回だけジャンプしようと決めた。
1、2、3、4、5――。
「なぎさ先生ですよね?」
名を呼ばれてほっとしたのは、見つけて貰えた事にだろうか。もしくは、向こうが無いと思って会う前に帰らなかった事にかもしれない。
ゆっくりを目を開き、俺は口を開いた。
「Leo先生ありがとうご――イケメンーーーー!?」
開いた瞬間飛び込んできたのは、白に近い金髪に黒いハットを被ったあのイケメンだった。ぽかんと口を開いた俺に彼は苦笑いしながら手を差し出してきた。
「お褒め頂いて光栄です。Leoです。さっきエキナカのカフェいましたよね?一瞬みた気がします」
「んあえ?!お、男!?Leo先生男性だったんですか?」
差し出された手を条件反射で握り返すのは社会人の特製だろうか。俺よりも大きな節だった手は暖かく、力強かった。
「あれ?言ってませんでしたっけ?」
「言ってないです言ってないです!」
「んー……でも女性だとも言ってないですよね?」
「それは確かに……でもオシャレなカフェ行ったりとか!」
「カフェ飯好きなんですよね」
「美容院に良く行ってたり!」
「この髪色維持する為に頻繁に行くんですよねー」
「なるほど!」
「ご納得いただけたなら、行きましょうか」
「ど、どこへですか?!」
「良い所ですよ」
イケメンがにっこり笑って俺に微笑む。これが現実だなんて信じられない。だって、だって、俺は誰とも付き合えたことのない、陰気なゲイなのだから――。
DMが着て、俺は周囲を見回した。でも、目的の女子は見つけられない。目の端に、さっきカフェから見かけた長身イケメンが立っているのが見えた。彼と待ち合わせる女の子はどんな可愛い子なのだろうと好奇心が沸く。
『着いてます!俺は黒いコート着てます!ブーツも黒です!』
ああ、俺を見つけて「無い」認定してそそくさと帰ってしまったらどうしよう。せっかく出来た神絵師との縁が知らぬ間に切れてしまうかと思うと胸が痛む。
――気のせいかもしれないけど、さっきのイケメンが俺に近づいてきた気がする。彼の向きが代わって、ジャケットの下に赤いパーカーが見えた。毎日全身黒の俺とは違う世界を生きるリア充に違いない。
そういえば、彼も黒い帽子を被っているなあなんて思いながら俺はLeo先生からの返信を待った。
『ちょっとw黒いコートで黒い靴の人多すぎるんですけど!何か目印無いですか?こっちは黒いバケハ、赤いフーディです!」
バケハ?フーディとは何だ?
分からないが周りに黒い服の男が多すぎるのは事実だ。
『じゃあ今からジャンプします!』
送ってから後悔した。これだけ人がいる中で、ただジャンプする暗い男って通報されかねない気がする。
でも、送ってしまったからには仕方がない。俺は恥ずかしさを堪えて無言でジャンプし続けた。
周りがぎょっとして、半歩退く。怖がらせてしまって申し訳ないが、そのお陰で俺の空間が広がった。
何度か続けているが、恥ずかしさは無くならない。俺は目を閉じて、あと十回だけジャンプしようと決めた。
1、2、3、4、5――。
「なぎさ先生ですよね?」
名を呼ばれてほっとしたのは、見つけて貰えた事にだろうか。もしくは、向こうが無いと思って会う前に帰らなかった事にかもしれない。
ゆっくりを目を開き、俺は口を開いた。
「Leo先生ありがとうご――イケメンーーーー!?」
開いた瞬間飛び込んできたのは、白に近い金髪に黒いハットを被ったあのイケメンだった。ぽかんと口を開いた俺に彼は苦笑いしながら手を差し出してきた。
「お褒め頂いて光栄です。Leoです。さっきエキナカのカフェいましたよね?一瞬みた気がします」
「んあえ?!お、男!?Leo先生男性だったんですか?」
差し出された手を条件反射で握り返すのは社会人の特製だろうか。俺よりも大きな節だった手は暖かく、力強かった。
「あれ?言ってませんでしたっけ?」
「言ってないです言ってないです!」
「んー……でも女性だとも言ってないですよね?」
「それは確かに……でもオシャレなカフェ行ったりとか!」
「カフェ飯好きなんですよね」
「美容院に良く行ってたり!」
「この髪色維持する為に頻繁に行くんですよねー」
「なるほど!」
「ご納得いただけたなら、行きましょうか」
「ど、どこへですか?!」
「良い所ですよ」
イケメンがにっこり笑って俺に微笑む。これが現実だなんて信じられない。だって、だって、俺は誰とも付き合えたことのない、陰気なゲイなのだから――。
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