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after the night

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「泣いてるとこ、久しぶりに見ました」
「えー?誰か泣いてたっけ?」
 営業を終えた無料案内所のシャッターを下ろし終えると、鉄は肩を回した。あとは事務作業を終えて、女の子達を帰宅させれば今日の仕事は終わりだ。
「理一郎さん、怖かったすか?」
「だーかーら、泣いてないって!」
 パソコンを立ち上げ、売り上げやらを入力する理一郎の手には、佐々木からの差し入れのエナジードリンクがあった。
 忙しい時間帯に鉄を一人で働かせたお礼にと、箱で佐々木が買ってきたうち一本だ。ちなみに冷やしていないので常温である。
「泣いてたじゃないすか。俺見ましたから」
「あーあーしりませーん」
 両手で耳を押さえるふりしながら、舌を出した
「佐々木さんも見てますよ。理一郎さんの涙なんてレアなのにズルいっす」
「ズルいってなんだよ」
「なんで泣いて弱ってるとこに俺の近くにいないんすか」
 ノートパソコンの画面が鉄によって閉じられる。パソコンの画面越しだった顔が、間近にあった。
「ちょっ!もうちょいで終わるとこだってのに……。あのなぁ、弱ってる子を落とすなんてそれこそズルいぞ鉄。男らしくない」
「泣いてるって認めないのも男らしくないっす」
「ぐ……」
 言い淀んだ理一郎に、鉄は畳みかける。
「あ、だから佐々木サンと付き合わないんですか?気が弱ってる時に付き合うのは良くないって思ってます?」
「か、関係ないだろ……」
「いや、めちゃくちゃありますよ」
「そうなのか?」
「そうです」
「そう……か?」
 普段茶化してくる鉄の、この真面目な顔は卑怯である。食い気味の鉄に押されるように、理一郎は口を割った。
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