囚われの聖女〜ヒーローは女子高生〜

磯辺

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哀しみの檻3

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オレリアンのフィリップ国王には、5人の子供がいる。
上から第一王子ウィリアム、第一王女マリアベラ、第二王子リチャード、第三王子ヘンリー、第二王女リーシャ。
彼らは全て、美姫として知られたアリーシャ王妃の子供達だ。フィリップ国王はアリーシャ王妃の美しさに惚れ込み、側室を設ける事はなかった。
精悍な顔つきで容姿の整ったフィリップ国王と、アリーシャ王妃の血を引く彼らもまた美しく育っていた。

中でもオレリアンの至宝と呼ばれる第一王女マリアベラの美しさは、群を抜いていると言われている。
緩やかに波打つプラチナブロンドの髪と白磁のような肌。紅い唇にサファイアのような大きな瞳。アリーシャ王妃の美しさを受け継いだマリアベラは、フィリップ国王のお気に入りだ。

マリアベラの噂はたちまち広がり、国内外問わず縁談が舞い込んだ。しかしフィリップ国王は決して首を縦に振らなかった。加えて、マリアベラが表に出る事は多くない。そんな中、マリアベラは16歳を迎えた。
女性として花開く時期のマリアベラは、女神のような美しさだと讃えられた。
だからこそ他国の人間たちの間でマリアベラの価値が上がっていた。
強国の美しき王女、それは誰もが手に入れたがるカードである。

そんなマリアベラが、聖地の浄化を終えたグレイヒ王国に留学するという。各国はとうとうオレリアンが動いたと判断した。
まだ情勢の落ち着かぬ地に、お気に入りの娘をタダで行かせるわけはないだろう。
オレリアンとグレイヒはもともと同盟を結んでいる。

王子ではなく王女を行かせるとなれば、縁談が関わるのではと誰でも推測する。
しかし問題は相手だった。国と立場からのバランスを言えば、グレイヒ王国王位継承権第1位のマクシミリアンが順当である。
しかし彼は、国を救った聖女との婚約を発表している。

では、第二王子はと言うと、それも難しい。グレイヒ王国第二王子ジェームズはまだ10歳だ。歳が釣り合わないし、何より婚姻結んでもフィリップ国王にあまりメリットがない。
それほどまでにマリアベラは政治的カードに優れているのだ。

そうなるとやはり、マクシミリアン王子が狙いなのだろう。

救国の聖女か、至宝の美姫か。
各国は強かに静観を決めた。
そしてとうとう、マリアベラ王女がグレイヒに訪れる日が来た。
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