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Proving On

chronicle.8

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 「フィ...15ー0!」

 まるで時間が停止しているような空間の中、再び時計の針を進める様に、審判が恐る恐るポイントコールを上げた。コートの上で前橋が立ち尽くす。彼の応援団も同じく立ったまま静かに震えていた。強豪校の面々も同じく動けなくなっていた。高校生レベルを大きく逸脱している影村の出鱈目な強さを目の当たりにした閏永道高校以外の観戦者達は沸き上がった。

 「やっべぇー!速ぇぇー!」
 「高校生のレベルじゃねぇ、もうトッププロクラスだろ!」
 「あれが海将!海生代の影村!」
 「なんだよ今の音!ドゴーンって!あんなの人間が出せんのかよ!」

 観戦者達の興奮冷め止まぬ中、前橋の顔が恐怖に歪む。彼は影村の方を見た。彼の影が寄った黒い笑顔が前橋に向けられた。前橋は後ずさりした。照山と酒井は影村の恐ろしい全力のファーストサーブを目の当たりにし、観戦席へと座り込んだ。

 「...ね、ねぇ酒井...私達が知ってる影村君よね?」
 「あ、あぁ...200キロなんて生易しいものじゃない...ラケットごと腕がぶっ飛ばされるぞあんなの...。」

 2人は脚の震えが止まらなかった。影村はボールを受取ると次のサービス位置へと移動する。彼はラケットでボールを突きながら前橋の方を見る。前橋の足は震え、ラケットを持つ手は汗を握る。

 「......。(な、何だ...何だ何だ何だ何だ何だ何だ―!)」

 あまりの驚きと混乱に前橋の呼吸が乱れる。影村は淡々とサーブの構えに入る。前橋は深呼吸後にラケットを構えた。影村がトスを上げる。前橋は彼のサーブのコースを読もうと彼の姿勢、体使い、トスの位置を見るも、先ほどと同じだったためセンターへと飛び出せば取れるのではないかと予測する。

 「......。(さっきと同じじゃねぇか...ほらセンー)」

 影村の打ち込んだファーストサーブは前橋のコート外側を狙った球足の速い200キロのスライスサーブだった。サーブのコースの予測を外した前橋は動き出そうにも体が動かない。影村の相手へ背中を向ける程の極端なクローズスタンスから、まるでボールが巻き込まれるようにコースを引っ張られて打たれるスライスサーブ。強豪校のコーチ陣は影村の体使い、そしてボールが作り出した美しい放物線に見とれた。

 「30-0」

 「......え?(何だ...何をしやがった!)」

 彼は足元を見る。動こうとするも動けずに震える足。スピードに思考が伴った影村のサーブ。同じトスの位置、同じ姿勢、同じ体の使い方、同じサービスを打つまでのルーティンワーク。前橋は次のサーブ位置を予測しようとする。そしてまた影村のトスが上がる。

 「......。(また同じだと!?いや待て、これはこの体の使い方はコート外側のフォアか!裏を突いてバックか!?どっちだぁぁ!なんで足が動かねぇ!動け!動け!動けぇぇ!)」

 前橋は影村のトスが上がる中、前橋は影村が今度はコート外側のフォアハンド側へとボールを打つと考え、何とかスプリットステップを踏んだ。しかし影村が打ったのはコートセンターへの220キロ台のフラットサーブだった。無論前橋が予測したとしても、220キロという普段目にすることがないであろう速度のサーブを拾えるとは到底思えない。

 「40-0」

 「あのサーブ...あいつ一体何者なんだ。」
 「お、応援しよう...行け行け前ー」

 閏永道高校の面々が応援しようとすると、影村が非情な230キロ台の速度のサーブを打ち込んだ。何かを思いっきり殴打する音に閏永道高校の応援席にいる応援の女子生徒達数人がびっくりして委縮してしまった。

 「ゲーム影村...前橋 トゥ サーブ。」

 チェンジコート後の2ゲーム目、前橋のサービスゲームが始まる。影村は淡々とラケットのガットの目をそろえながら前橋の様子を窺っている。彼はベースラインの内側にいた。前橋は止まった。普通相手のファーストサーブのリターンはベースラインの外側でラケットを構える。しかし影村はそれを行わなかった。影村は上体を起こしたままラケットを回して前橋がサーブを打つのを待っていた。

 「......。(後ろに下がるまでもないと言いたげな顔だな。っち!生意気だ。)」

 「おーぉー!前橋一本!」
 「おーぉー!前橋一本!」
 「おー!閏永庭球部ー!」
 「おー!閏永庭球部ー!」
 「行け行け前橋!押せ押せ前橋!」
 「行け行け前橋!押せ押せ前橋!」

 またかと閏永道高校の応援に審判が注意しようとするも、ここでも影村の視線を感じる。最早彼の持つトラウマは、歓喜と怒りに塗りつぶされて消えて無くなっていた。竹下、高峰、山瀬やこれまで世話になった先輩達の顔を思い出す。そしてその前に最も楽しかった生活を送ったスイスでの思い出。彼は地上から一気に山の頂迄を駆けあがった。彼の目には、前橋など最早マッターホルンの頂上から見える地上の小さな点でしかない。


 「.........!(っざけやがって!1年坊主がぁ!)」

 前橋がサーブを打つ。影村は前橋の動きから彼のサーブがコートの外側を狙ったスピンサーブだと判断するとステップを踏まずに歩き出した。前橋のサーブは160キロのファーストサーブ。影村は歩きながら無造作にラケットを振った。しかし打点はしっかりと捉えられており、その打音も何かを殴打したような鈍く、ゴツく、破壊力のあるものだった。ボールは前橋がサーブを打った場所から離れたライン際へと落ちた。照山と酒井から見た影村は、まるでハエでも落とすかのように完全に、そして相手で遊んでいるようにも見えた。

 「0-15」


 「......うそぉ。」
 「先輩...こんなの...もう勝てない...」

 試合開始のたった1ゲームと少しで、閏永道高校の応援団のメンタルが崩された。前橋は全力で撃ち込んだサーブが適当にあしらわれたかの如く叩き返されたことに対し、これまでにない衝撃を受けた。影村は決して適当にボールを打ったわけではなく、無造作に見えて正確なスイング、打点、タイミングをとらえてリターンした。

 「...龍谷君に勝ったって聞いた時は驚いたけど、これじゃぁ、もう国内の試合で驚くことはないかもしれないわ。」
 「あぁ、なんかテレビの試合見てるみたいだ。」

 照山と酒井は只々影村を見守るしかなかった。前橋は戦々恐々といった面構えで2球目のサーブの構えに入る。彼はトスを上げる。そしてトスが上がりきるまでに体を捻じりながら足を引き寄せ、そして体の捻りを戻しながら全力でラケットを振り上げた。

 「......。(まぐれだ!まぐれ!俺の160キロのサーブをあんな至近距離で!全力だ!全力で打ち込め!)」

 影村のバックハンドを狙って時速160キロ程度のスライスサーブが打たれようとしていた。前橋はトスされたボールがラケットに当たる刹那の時、ほんの一瞬影村の方を見た。影村は既に彼がサーブを打とうと狙っている場所にいた。彼の何とも言えない度し難い怒りの見え隠れする穏やかだが黒い微笑に前橋は委縮する。ほんの一瞬だけ、彼が人間ではないような何かに見えた。

 「...!(構わねぇ!いっけぇ!)」 

 前橋の打ち込んだサービスが影村のコートへと向って行った。影村はサーブがバックハンド側へと打たれるも、前橋が右利きであるが故、コートの内側へと向いてくることを知っている。影村はバウンドしてからコートの内側へとボールが跳ねる事を予測した上で軽くステップを踏む。バウンドしたボールの後ろへ回り込みながら肩を回しただけのコンパクトなテイクバックで、軽くフォアハンドのスイングをボールに当てた。ボールはまた前橋のいない方へとバウンドし2発目のリターンエースを決める。

 「......え。」

 全力で打ったサーブがいとも簡単に跳ね返ってくる。ベースライン内で返されたボールは、サーブを打った前橋が体勢を立て直す前に返球されるため、彼がサーブを打った体勢からボールが返って来た位置へと移動することができない。

 「0-30」

 「......サービスライン近くでリターンエース2発目...」
 「嘘...じゃあ、あの速いボールが見えてるってこと!?」
 「あんな技...人間が使えるのか?」

 影村は静かに前橋の方を見ている。彼にボールを送ると何も言わずにそそくさと次の位置へと歩き出す。前橋はボールを受け取る。いまだかつてない衝撃。自分が持つ全ての技量が通用しない。本来サーブは相手よりも有利なポジションでゲームを進められるはずが、影村と対戦している前橋の場合は全く違った。影村から見れば、前橋のサーブは過去に自分が相手してきた旧友達とのウォーミングアップ程度のボールぐらいの球筋でしかない。

 「...あれが海将。」
 「天才が最も恐れる存在。」
 「圧倒的すぎる...。」

 「おれ、主将に報告してくる。あれヤベェやつだ。」
 「あのサーブ1発で閏永道の悪質極まりない応援を黙らせやがった。」

 強豪校の偵察係達は、一斉に携帯端末の動画を同じ学校内の部員や監督、顧問、コーチへと各々送っていた。それを見た強豪校の監督者達は皆一様に絶句したという。
 
 「ゲーム影村。 2-0 影村 トゥ サーブ。」

 「....ちくしょう...ちくしょ...ちくしょちくしょちくしょちくしょ...ちくしょー!!!!」

 前橋がラケットをグッと握って怒りに震えながら影村へと叫んだ。影村は静かに黒い笑顔を前橋へと向けた。前橋はボールを思いっきり影村へとサーブをする体勢で撃ち込んだ。審判が注意するまもなくボールは放たれた。あまりの光景に照山が手で顔を覆い、酒井がギョッとした顔で状況を見つめる。前橋の行動に会場中が固まった。閏永道高校の応援も止んだ。目の血走った前橋から影村へと打たれたフラット系のボールは真っすぐ影村の顔へと向って行った。影村は黒い笑顔のままそれを狙ったかの様に前へと出したラケットのフレームへと当てた。ボールは高く真上へと上がった。観客席、審判、そしてコートの外からフェンス越しに見ていた選手や、テニスファン達がボールを見上げる。影村は前橋を挑発するように見下した笑顔で両腕を広げる。

 「.........キィィィィィィィ!!」

 どこかヒステリックに唸っている前橋。影村は広げた両手の内、左手をズボンの左ポケットに持って行くと、そのままポケットの穴を広げながら一歩前へ前進した。そして高く上がったボールが広げたポケットへと入っていった。周囲がその芸当を見たが呆気に取られたのか何も反応がなかった。物語の世界では凡そみられない芸当。こちらの物語の外の世界で見られるマンスール・バーラミの様な観客を沸かせるパフォーマンスもこの世界の日本人には通用しなかった。

 「.........。」

 影村はノリの悪い日本の学生達を見ると、首を左右に振りながら呆れた顔でゲームへと戻って行った。審判は我に返って前橋の方を向いた。前橋に向かって胸元のマイクを顔に近づけて発言した。

 「閏永道高校の前橋君。次同じことをやった場合、本当にペナルティを課します。」
 「なんだ――」
 「いいですね?わかりましたか?」

 「......っち!わぁったよ!」

 前橋は悪態をついてベースラインへと戻って行った。影村のサービスゲーム。閏永道の応援団は前橋の取り乱し様に引いていた。

 「...ぜ、全国こわっ...。」
 「そ、そうだな。照山。」

 照山と酒井は震えていた。影村はサービスルーティンへと入る。コートの外から敏孝と森野が見ている。2人は不敵な笑みで前橋の方を見る。

 「フフフ...お金持ちだか、企業のお偉いさんの息子だか知った事ではないけど、その力で学校中の応援呼んだとしても影ちゃんには通用しない。影ちゃんに勝てるのは相当なバケモノじゃないといけないんだよねぇ。それこそあの4人の様なね。」
 「あぁ、今のジュニア世界ランク上位クラスじゃねぇと勝てねぇな。下手したら世界ランク30位台のプロでも食われちまうレベルだぜ。ありゃぁ。」
 「こっちは安心だね。さて、俺は可愛い可愛い弟の応援でもしに行こうかね。」
 「シングルスとダブルスの同時出場ができないってのは、同日程で大会の1回戦が行われるからなんだよな。」
 「オリンピック後に残ったシングルコート3か所、2面コート3か所+ショートコートとセンターコートで大会運営。そして決勝戦のみ2日に分けてセンターコートで行われる。フフフ、地方別に分けるべきじゃなかったのかな?」
 「その年の県ドリームチームで大会やるんだ。全面的にやった方が盛り上がるからだろうよ。いくぞ。」

 2人は影村の試合が行われているコートを後にする。3ゲーム目。影村のサーブ。彼がサーブの構えに入ろうとルーティンに入るも、気を取り直した閏永道高校の応援が彼へと襲い掛かる。しかし彼らがどう悪質な応援やヤジやブーイングを飛ばそうにも彼には全く通用しなかった。

 「いっけー!行け行け行け行け前橋!」
 「いっけー!行け行け行け行け前橋!」

 「おっせー押せ押せ押せ押せ前橋!」
 「おっせー押せ押せ押せ――――!」

 影村のラケットから咆哮のように鳴り響く打音が閏永道高校の応援を遮断した。前橋は動きたくても動けない。思考が伴った速球。ありとあらゆる戦術、戦略が込められたそれを読むのは、日本の高校生では経験が不足しすぎていた。世界最強のスパルタコーチのハリー・グラスマン。彼の指導の下で鍛え抜かれたアカデミーの卒業生。名だたる世界チャンピオンや、殿堂入りを果たしてきた選手を輩出した彼のコーチ人生引退前の最後の生徒。その中にジュニア世界ランク上位のローマンが、ジャックが、アンディが、マルコスが、そして今ここに立って試合を行っている影村がいた。

 「...怪物ね。(ハリー・グラスマン。あなたとんでもない日本人を生み出してくれたわね。)」

 コートの外から試合を見ていた八神の専属コーチである池内が影村の試合を見る。彼女も最初の影村の憎しみと怒りが見え隠れするサーブに戦慄した。

 しかし彼がハリー・グラスマンの生徒であるという事を思い出すと、すぐに冷静になった。ハリーはその選手が持つ個性、得意なものを最短時間で徹底的に鍛えて伸ばす。そして苦手なものをありとあらゆる戦術、戦略で以て補強・克服させるという緻密な教育も行っている。それ故、影村の苦手な部分であるものを見つけて対策できるのは同じグラスマンの同門か、それ以上に強い選手でしかなかった。日本のトーナメントを蹂躙するであろうすぐ直近の影村の未来。しかし、そんな影村でも同門のローマンやジャックには2・3ゲームしか取れないなど歯が立たず、アンディやマルコス達といい勝負を行うといったレベルであり、それが現在この世界における世界トップジュニアの強さの領域でもあった。


 「...ぁ...ぁぁ...ぁぁ...。(怪物...怪物だ...もうこんなんの試合じゃねぇよ!)」


 影村のコートIN率99.95%のファーストサーブが放たれ、閏永道高校の応援が消え、前橋が動けずに足を震わせながら恐怖し、ストローク戦が行われることなく最初の1球でことごとくポイントを取られる。遠い昔の記憶。コート上で残酷な目に遭い心に深手を負わされた少年は、その傷跡が目立たないほどの敗北、勝利、罵声、賞賛、仲間達との思い出を背景に、静寂な憤怒を体現しながら日本全国の学生テニス選手達に宣戦布告の狼煙を上げた。

 「ゲームセット! マッチ ウォン バイ 千葉県代表 影村! 6-0・6-0! 」


 「おぉぉぉぉぉ―――――!!」


 自分を呪っていた過去との決別。そして圧倒的な実力でそれを破壊した喜び。影村は左手で小さくガッツポーズを作りながらドスの利いた野獣のような勝利の咆哮を上げると、また冷静になりコートの真ん中へと歩いてきた。

 「お前、名前は!」
 「......。」
 「答える気はねみたいだな!てめぇ!」
 「答える気はねぇ。次はいつ会うかわからねぇからな。」
 「...っち。じゃあな。せいぜい天才とやらにボコられて来い。」
 「.......。」

 前橋はふてくされた表情で影村と握手をすると。そそくさと不機嫌そうに荷物を仕舞ってコートを後にした。影村も同じく荷物を仕舞ってコートを出た。

 「影村―!」
 「影村君ー!」

 「......先輩。」

 影村は照山と酒井の声に気が付く。そして2人の下へと歩いてきた。酒井も照山も興奮した面持ちで彼に迫って来た。

 「すっげぇよ!お前マジすっげぇよ!」
 「そう!影村君!すっごいよ!もうすごいってしか考えられない!」
 「この調子で次もな!」
 「応援してる!天才なんて粉砕しちゃいなさい!」

 「お、おう...。」

 “Magnifique! C'est merveilleux! Votre jeu est numéro un en ce moment !素晴らしい!素晴らしいぞ!君のプレーはナンバーワンだ!

 興奮する2人を前に、影村の脳裏で、一昔前にとある一人の初老の紳士が観客席から自分へと叫んだ言葉を思い出す。影村は口角を上げた。

 「先輩達。ありがとうよ。このジャージをちょっくら天辺まで置いてくるぜ。」

 影村はラケットバッグを担いでテントの方へと向って行った。ゆっくりと歩いていく影村の背中を見送る照山と酒井。

 「ね、ねぇ...影村君、なんか威圧感減ったよね。髪型変えたからかな?」
 「...わからない。俺達もテントへ行こう。みんな驚くかもよ?」
 「そうね!」
 「で、お前返事したのか?」
 「え?あー、まだ...かな?」
 「早くしないと、他の女子にとられちまうぞ。あの横田兄弟の片割れだし...イデデデデ...」 
 「あんたって人は!」
 「ち、千切れる...照山...耳ぃ...」

 照山に耳を引っ張られる酒井は涙を浮かべながら、千葉県代表のテントへと向って行ったのだった。影村がテントに戻る頃、別のコートでもう一人の試合が行われようとしていた。

 竹下は佐藤と岡部が応援する中、第1回戦を迎えようとしていた。彼の相手は前年度インターハイベスト8の大阪府代表長谷部鴻東寺はせべこうとうじ高等学校の3年生主将の坂東洸太ばんどうこうただった。

 「フフ...。(影村...多分君はもっと上へ行くんだろうね。俺も真面目に全力で行くよ。)」
 「なんや、ええ面構えしとる。プロみたいやな。」
 「よろしくおねがいします。」
 「天才だから言うて、手ぇ抜いたらあかんで?」
 「フフ、負けられない男がいるんです。だからこの大会、1回戦から全力で勝ちに行かせてもらいます。」
 「青春やねぇ。ほな行きまっせ。」

 竹下の脳裏に影村がちらつく。佐藤は応援席で緊張しながら手をグッと握る。岡部の顔も真剣そのものだった。各々がトーナメントの第1回戦を迎える。ここで一人の敗退者が出た。横田兄弟の横田輝が1回戦で愛知県代表私立八星やぼし高校、5人の天才の一人である水谷修永に1-6・1-6でストレート負けという大敗を喫した。
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