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一章

お迎え……こないな〜(ちらっ)

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 そこから二年経った。十二歳になった。何の音沙汰もないので俺は頭の心配をし始めている。まあ引き取る時期も覚えてないし仮に本当に引き取られた場合のその後のことについてなんとなく考えておくことにした。


 シャノンの自我が俺になっている時点で、孤児院時代に試し行動しまくっていたみたいな事実は無い。漫画のことを思い出すまで俺はずっと静かな美少年で通っていたのだ。

 思い出してからはどこか吹っ切れたような気分になった。精神年齢が同世代より上の自覚があったが、多少身体の年齢に引っ張られるようになった。年相応に走り回って泥だらけになったりもしたけれど、これは少年として普通だろう。



 真っ当な、真っ当な少年! 顔が可愛くて魔力が多いだけであとは普通だ。強制力とかも感じない。強制力が仮にあるなら俺は今頃魔力暴走とか起こして事件でも起こしてるんじゃないだろうか。それくらいしないと帳尻が合わない。



 ……もう初っ端も初っ端から、原作のお話から脱線してるっぽいし? よくあるアレ、狙ってもいいんじゃないだろうか。




 『悪役に転生したけど悪事を働かないように動いてハッピーエンドを迎える』的なやつを……!!!!!




 だから決めた。俺はちょっと媚びながら真っ当に生きようと。
 正式に測っていないので具体的にどれくらいあるかはわからないが、この魔力さえあれば家の後ろ盾を使いつつ魔法関係の仕事にも就けるだろう。


 親は二人とも原作では長男に見限られていたが、俺がまともに成長できていれば普通の親だったはずだ。この孤児院を支援してくれているらしいし、元々の善良パラメーターはそこまで低くないと信じたい。
 厳しく接していたというし、初めから長男と父母の間にはちょっと溝があるのだろうが、そこは俺が頑張ったら良い感じになるかもしれない。なるか?



 まあ、そう、とにかく俺は! 清く! 正しく! あとちょっと媚びて! 彼らの仲を壊滅させないように! 生きていくと決めた!

 猫も百匹くらい背負って行こう!!!!

 新生シャノンがここに誕生するのだ!!!!!

 そしたら多分家も安泰だし俺もきっと就職先を斡旋してもらえる! 
 そもそも家の安泰とかの前に俺は断罪なんてされたくない!!! 当たり前である!!!




 そうと決まればお迎えが来るまでにちょっと魔法の自主練でもしておこう。唸れ! 俺の異世界あるあるパワー。

 そしたらお迎えが来なくてもきっとどうにかなる。計画通り神殿で祈りながら魔法も使って生きていこう。
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感想 53

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