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推定乙女ゲームの世界に転生した、気がする

10 ☆

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いかがわしいです

ーーーーーーーーーーーーーーーー




(て、転移魔法の無駄遣いすぎる……!)

 歩いていける距離すら転移魔法を使ってしまう師匠の魔力量に恐れ慄く。


 おかしな意味でドキドキしている俺をベッドにおろすと、師匠は当たり前のようにその上に覆い被さった。

 絹糸のような綺麗な黒髪が俺の頬にかかり、くすんだ赤が俺を射抜く。


「ふっ……、んぅ」

 
 角度を変えて何度も落とされる口付けを受け、またもや頭がぽーっとする。
 下唇を軽く食んだりぺろりと舐め上げてみたりと散々俺の唇を弄んだ後、一際長くキスをされ、苦しくなって師匠の背中を何度か叩く。


「口を開けろ、テオ」

「はひ……」


 まともに思考が動かないまま、言われた通り小さく口を開ければ今度は噛み付くように唇が重なった。
 そのまま口内にぬるりとしたものが入り込み、俺の舌と絡み合う。


「ん、ふぁ、ししょ……」


(よくわかんないけど師匠、俺を婚約者にするつもりだったってことだよな? 俺は精神安定のために男の恋人が欲しくて、それが師匠なら……)


 なんか、むしろ、嬉しいかも。


 薄く目を開けて口付けをしている男の顔を見ると、目元を赤く染めた師匠が目を開けてこちらの反応を伺っていた。
 ばちっと視線が重なった瞬間、鼓動がめちゃくちゃな音を立てる。

 ぎゅっと目を瞑れば、師匠が薄く笑った気配がした。

 直ぐに彼の舌が歯茎をなぞるように動き、反射的に袖を掴む。


 散々俺の口内を貪ったあとゆっくりと師匠が離れていき、全身の力が抜ける。


「可愛いなあ、テオ。口付けだけでこんなに感じるのか?」


 嬉しそうに口元を歪ませ目を細める師匠からは壮絶な色気が漂っていて、思わず変な声を出しそうになった。
 慌てて自分の手の甲で口を隠し声を堪えたが、そんな努力も虚しく師匠がゆるく勃ち上がった俺の性器に布越しに触れた瞬間情けない声が出る。


「しっ! 師匠! そんなとこ触っ……」

「ディラン、だ。テオはこの前精通したばかりだから、まともに触ってもいないだろう。……大丈夫だ、俺に任せてくれ」

「え? なんで知……」


 人差し指で弄ぶようにそれをなぞり上げた後、俺の疑問を呑み込むように口を塞がれる。
 片手で俺の両手が頭の上に縫いつけられ、手の大きさの違いに胸がぎゅんと高鳴ってしまった。こころなしか師匠の周りにキラキラしたエフェクトが見える。
 まずい、完全に少女漫画脳になっている。


 俺がひとりでにきゅんきゅんしている間にも師匠の手が直接布の中に入り込み、優しく性器を握った。


 この、前に見た夢みたいな展開はなんだ! と思いつつも他人から実際に受ける感触というのは夢の快感どころではなく、びくりと腰が跳ねる。


 喘ぎ声が師匠の口の中に消される。
 焦らすようにカリ首をさすられ、もどかしさに足先でシーツをひっ掻いた。


「っは、かわいい、かわいいテオ……」

「ディラッ、さ、も、やだぁ! ぞわぞわ、するっ」

「うん? そうだな。もっと、誰に触って欲しい?」

「ぁっ、う、ディランさんにっ触って欲し……ッ」


 亀頭を撫でながら俺の答えを聞いていた師匠は、眼を赤く光らせ手のひらで裏筋を擦った。
 段違いの快感に性器の先から透明な汁が溢れ、ぐちゅぐちゅとなる音に羞恥心を煽られた俺は勢いよく顔を逸らす。

 それによりあらわになった俺の首筋に愛おしそうに口付けを落とす師匠を見て、やっと、「この人俺のこと好きなんだ」と実感した。



 他でもない師匠の手によって何度も陰茎を擦られた俺は、ディランさんの名前を呼びながらあっけなく射精した。
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