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推定乙女ゲームの世界に転生した、気がする
5 ☆
しおりを挟むいかがわし回です
ーーーーーーーーーーーーーーーーー
「テオ、こっちを向いて」
ふと師匠が俺を呼ぶ声が聞こえた。
声がした方を向くと思ったよりもかなり近い距離に師匠がいて、変な声が出てしまった。
「しっ! 師匠?」
「テオ、テオドール、お前は本当に可愛い」
師匠の手が俺の頬を滑り、首筋まで到達する。いつも通りの優しい手つきなはずなのに、いつもと違う気がして身を捩る。
師匠は目を細めて俺を見ると突然距離を詰め俺の首筋に口付けた。
「っ、う、ししょ……?」
ちゅっちゅと啄むようにキスを落とした後、ぬるりとそこを舐め上げる。
驚いて身体を離しそうになる俺を逃さないとでもいいたげに背中に腕をまわし、その手で背筋を下から上になぞりあげられた。
「あっ!? ししょ、何っ……ぅ、ん」
ひどく官能的な動きに吐息になりきれない声が洩れて、慌てて唇を噛み締める。ぞわりと肌が粟立って、下腹部が疼いた。
あれ、というか、なんでこんなことになっているんだ? え? 俺、いつ服脱いだ?
「師匠っ、なんっ、なんですか? どうしっ……あ、ゃっ」
「可愛い可愛い俺のテオ、何も考えなくていい。気持ちいいだろう?」
「そゆもんっだいじゃなっ…んぅ、ひっ!?」
混乱した頭で師匠を止めようとした時、師匠の手が俺のに触れた。
いつの間にか頭を上げていたそれに、師匠の長い指がかかる。
亀頭を掌の腹で撫でられ、腰が跳ねた。
「しっ……!? それはっ、あ、洒落にならな、あっ、あぅ……っ……!」
堪え性もなくだらだらと先走りが溢れる。直接他人の手から施される快感に抗う術がなく、なんで、どうしてと訴えたいのに口からは喘ぎ声しか出てこない。
俺の眼をじっと見つめる師匠の瞳の奥に熱を見つけて、頭に電流が走ったような感覚に陥る。
整った顔の男に己の痴態を見られているという事実に羞恥心が湧き上がるのに、師匠に俺から目を逸らして欲しくなくてじわりと視界が滲んだ。
耳元に師匠の息がかかり、「テオ」といつものように優しく呼ばれそのまま涙が頬を滑り落ちる。
陰茎を上下に擦り上げられ、びくびくと脚が揺れる。先走り以外のものが出る気配を感じ、自分の口から一層甘い声が漏れ出た。
「ししょ、でちゃ、出ちゃうっ、……あっ、ふぁ、師匠、」
「テオ」
師匠の目が三日月のように細まる。その目に射抜かれた俺はぼろぼろと涙を流しながら白濁を吐き出した。
「………………………………」
ぱちり、と目を開けると見慣れた天井が視界に入る。
いつも通り、師匠の家の俺の部屋だ。
「………………………………………………」
そっと身体を起こし布団の中を覗き込む。
「…………嘘だろ……………………」
あまりにも非情な現実を受け入れたくは無いが、受け止めなければならない。
俺は師匠とのえっちな夢を見て精通したらしい。誰か早く俺を殺してくれ。
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