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佐藤の顔の真横を拳の半分ほどの大きさの石がかすめて、背後の板に当たって大きな音をたてた。
「何が遊んであげる、だ。おまえ、あいつのこと好きなのか?」
けっこうな年の差なんじゃねーの、とまた足元の石を探す。
佐藤はいきなり石を投げつけられ、ひどくびくつきながら答えた。
「……好きじゃない、よ。かほりんに似てるから、確かめたくなるじゃないか。」
「何を?」
残念なことに先ほど投げた石がここら辺にある物の中では最大だったらしい。
「ど、どこまでかほりんにそっくりかな、って。公式の設定で全身の黒子の数とか、いろいろあるしさ。……君こそ、何でそんなに気にするのさ。関係ないんだったら、放っておけばいいだろ?」
それには答えず、石を探すのを諦めた倖は佐藤に向き直る。
「好きでもないのに、ほくろ数えて遊ぶのか。」
「そうだよ。僕、あの子の外見しか興味ないし。」
そうして、倖を睨みつけて言う。
「君の方こそ、あの子のこと、好きなんだろう?じゃなきゃ図書館についてったり、今日みたいに僕みたいなのに釘さすためだけに、わざわざ戻ってきたりしないよね?」
佐藤は、じり、とわずかに前に出ながら倖を挑発する。
「僕はね、君みたいな人種が一番大嫌いなんだよ。図書館で会ったときから気にいらなかったんだ。」
そうしてまた一歩前に出てくる。
「あの子はね、やっと見つけたんだ。僕の、一番のかほりん。」
そうして佐藤は、まるで恋バナでもしているかのようなうっとりとした笑いを浮かべた。
何が、僕の1番のかほりん、だ。
てことは、2番も3番もいるってことか。まぁ、どっちにしろ。
まともじゃない。
「かほりんじゃねぇつってんだろ。」
一気に佐藤に詰め寄ると、右手で佐藤にアイアンクローをかました。
「い、だだだだっ!」
「今までの、お前の話しを、要約すると、だ。これからもあいつに、ストーキングして痴漢行為を続ける、ということ、だな?」
「そ、そんな端的に言、われるとっ、い、たいって!」
顔を掴んでいる倖の指を離そうと佐藤がもがく。身長は同じくらいだが体重が違うのでそこそこ勢いと力がある。
佐藤が倖の手首を掴み、さらに倖の顔にも手を伸ばしてくる。指に入れる力を強めながら伸びてくる腕を掴み返した。
その揉みあいの最中、倖は気づいた。
佐藤の左手薬指に、キラリと光るものがはまっているのを。
「おま、まさか、結婚してんのか!?」
「わ、わる、いか……っ!」
佐藤が巨体を左右に振る。倖は堪えきれずにバランスを崩して隣に据えてあった洗濯機にぶつかった。
「何が遊んであげる、だ。おまえ、あいつのこと好きなのか?」
けっこうな年の差なんじゃねーの、とまた足元の石を探す。
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「何を?」
残念なことに先ほど投げた石がここら辺にある物の中では最大だったらしい。
「ど、どこまでかほりんにそっくりかな、って。公式の設定で全身の黒子の数とか、いろいろあるしさ。……君こそ、何でそんなに気にするのさ。関係ないんだったら、放っておけばいいだろ?」
それには答えず、石を探すのを諦めた倖は佐藤に向き直る。
「好きでもないのに、ほくろ数えて遊ぶのか。」
「そうだよ。僕、あの子の外見しか興味ないし。」
そうして、倖を睨みつけて言う。
「君の方こそ、あの子のこと、好きなんだろう?じゃなきゃ図書館についてったり、今日みたいに僕みたいなのに釘さすためだけに、わざわざ戻ってきたりしないよね?」
佐藤は、じり、とわずかに前に出ながら倖を挑発する。
「僕はね、君みたいな人種が一番大嫌いなんだよ。図書館で会ったときから気にいらなかったんだ。」
そうしてまた一歩前に出てくる。
「あの子はね、やっと見つけたんだ。僕の、一番のかほりん。」
そうして佐藤は、まるで恋バナでもしているかのようなうっとりとした笑いを浮かべた。
何が、僕の1番のかほりん、だ。
てことは、2番も3番もいるってことか。まぁ、どっちにしろ。
まともじゃない。
「かほりんじゃねぇつってんだろ。」
一気に佐藤に詰め寄ると、右手で佐藤にアイアンクローをかました。
「い、だだだだっ!」
「今までの、お前の話しを、要約すると、だ。これからもあいつに、ストーキングして痴漢行為を続ける、ということ、だな?」
「そ、そんな端的に言、われるとっ、い、たいって!」
顔を掴んでいる倖の指を離そうと佐藤がもがく。身長は同じくらいだが体重が違うのでそこそこ勢いと力がある。
佐藤が倖の手首を掴み、さらに倖の顔にも手を伸ばしてくる。指に入れる力を強めながら伸びてくる腕を掴み返した。
その揉みあいの最中、倖は気づいた。
佐藤の左手薬指に、キラリと光るものがはまっているのを。
「おま、まさか、結婚してんのか!?」
「わ、わる、いか……っ!」
佐藤が巨体を左右に振る。倖は堪えきれずにバランスを崩して隣に据えてあった洗濯機にぶつかった。
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