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第4章:アルブ戦争
25, 開戦
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「アルブの民としてはギロディス侯爵に勝ってほしいよなぁ。」
数日後、パブで他人事の台詞を聞いていた私はワインの入ったグラスを握り閉めた。最近落ち着かない。不安で仕方ない。
隣の席で知り合いの男たちが噂話をしている。
「知らねぇのか?イルルの奴らがアルブに入ってきたらしいぞ。押されてるって事じゃねぇか?」
「え、そうなのか?!こっちの領土で戦が始まったのか?それ……。」
そこまで聞いて、いてもたってもいられなくなった。
「それ!」
思わず身を乗り出していた。
「何処?アルブの何処に入ってきたんだ?!」
「スザンナ、なんだよ突然。」
「何処だ!」
剣幕に押されて彼らはたじろいだ。
「さ、さぁ?やっぱり一番イルルに近い辺りじゃねぇの?」
「……ありがとう。」
ガタンと音を立て立ち上がった。そしてお金を払い、急いでパブを出た。
今から走れば、明日の昼には着く。サリーナ・マハリンに。
走り出した。
私だけではなく、その時すべてが走り出した。
背中の剣が重い。走るたびに背中を打つ。
私は走りながら、フェレスの名を何度も呟いた。
数日後、パブで他人事の台詞を聞いていた私はワインの入ったグラスを握り閉めた。最近落ち着かない。不安で仕方ない。
隣の席で知り合いの男たちが噂話をしている。
「知らねぇのか?イルルの奴らがアルブに入ってきたらしいぞ。押されてるって事じゃねぇか?」
「え、そうなのか?!こっちの領土で戦が始まったのか?それ……。」
そこまで聞いて、いてもたってもいられなくなった。
「それ!」
思わず身を乗り出していた。
「何処?アルブの何処に入ってきたんだ?!」
「スザンナ、なんだよ突然。」
「何処だ!」
剣幕に押されて彼らはたじろいだ。
「さ、さぁ?やっぱり一番イルルに近い辺りじゃねぇの?」
「……ありがとう。」
ガタンと音を立て立ち上がった。そしてお金を払い、急いでパブを出た。
今から走れば、明日の昼には着く。サリーナ・マハリンに。
走り出した。
私だけではなく、その時すべてが走り出した。
背中の剣が重い。走るたびに背中を打つ。
私は走りながら、フェレスの名を何度も呟いた。
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