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桃の章

限界 〜桃視点〜

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 その後も着々と競技は進んで行った。一仁は落ち込んでる割には淡々とやってちゃっかりいい結果を残してる。僕も騎馬戦は健闘できた。可愛いとみんな優しくしてくれるんだ。
 お昼の時間になった。朝から、ここだけは一仁を死守しないと、って意気込んでたけど今のこの調子なら大丈夫そう。

「え、一仁、ここにいるのか。桃、なんか言った?」

「なんか言ったって何!、桃何もしてないもん。一仁は一仁の意思でここにいるの!」

 涼、今の一仁危ないんだから余計なこと言わないで!、僕にも失礼だし。

「違う、こんな状態で会えない。怖がらせる。」

「あぁ、そっか、それは、」

 二人が意味わかんない会話してる。
 そんなことより、

「桃、お弁当作ってきた。お料理得意って言ったでしょ?、食べてくれたら嬉しい。」

「あ、美味そー。頂きまーす」

「あぁ!」

 こいつ、一仁に作ったお弁当全部食べた!
 一気に口に入れたから喉につまらせてるし、なんか悶えてるし、本当に何がしたいのこの人。

「ふっ、ほんと必死で、かわいいね」

「っっ!……」

 びっくりした、急にそんなこと言うなんて。可愛いって、僕のことだよね。初めてそんな事言われた。やっと僕に気持ち向いた?

「うん、桃はずっと必死だよ、また作るね。絶対、一仁に食べて欲しいから!」

 やっぱり今日はいい日だ。この調子でもっと一仁とおしゃべりしたい。そう思った矢先、一仁が立ち上がった。

「え、どこ行くの、」

「ちょっと顔洗ってくる。」

 あ、またあいつのとこ行くのかと思った。もう一仁は僕のになったのに。いや、最初から僕のだったし、うん。




 一仁がちゃんと帰ってきて、お昼の時間も終わって次はΩ達の応援合戦だった。僕は得に興味無いし、光相変わらずダンス上手ーとか、璃来は動き固すぎで草ーとか、陽向は可愛いなーとか思って、ぼーっと見てたんだけど、隣の一仁はすごいしっかり見てた。なんならスマホで動画撮ってるし。でもこれはしょうがないよね、一仁もαだもん、Ωがケツ振ってたら見ちゃうよね。周りの人達もみんな同じ感じだし。僕が踊ってても同じようにしてくれる、だって僕の運命だし。
 さっきそんな感じだったのに次の障害物競走は着ぐるみを着ながらもしっかり1位取っちゃうの本当に僕のαはかっこいい。




 次の種目は借り物競争、僕の出番だ。一仁は出ないから、僕はここで"好きな人"とか"恋人"とかそんな感じのを引いて一仁と一緒にゴールする。さっきまでの感じなら一仁を呼んでも大丈夫そう。頑張るぞー、、って意気込んでたら、前の方にあいつの姿を見つけた。僕の前のグループで走るみたい。今のあいつはちゃんと自分の立場を理解したから何の心配も要らない。僕は自分であのカードを引くことだけを考えよう。そんなふうに呑気に考えてたら目の前であいつが一仁の方に走って行くのが見えた。そしてやっぱり一仁を呼んで二人でゴールに向かって走っていく。一仁もさっきまで僕と一緒にいたのに、今はあいつと手繋いで楽しそうに、、
 え、やめて、やめてよ。それは僕の、運命のα、なの。お前のじゃ、ない、、

「僕と一仁は幼なじみで昔からずっと一緒にいた親友です! これからもずっと!」
「変わらないです!、僕達はこれからもずっと永遠に友だちです!!」

 僕の中で何かが壊れた。
 僕の運命なのに僕を見れない一仁と、僕の運命に手を出し続けるΩ。何度繋ぎ止めようとしても離れてく。僕、ずっと待ってたのに。やっと会えたって思ったのに。あいつが、あいつが……



 その後は何をしてたかよく分からない。とにかく今は早くあいつを、どうにかしなきゃ。
















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