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桃の章
愛人探し? 〜一仁視点〜
しおりを挟むゴールデンウィーク明け、光くんと話してから俺は気が気でなかった。
「……ねぇ、長谷川。学園でΩ同士のカップルっている?」
休み時間、教室で長谷川と、あとβクラスから来た吉川もいたけど、最近ずっと悩んでいたことをついに抑えきれずに聞いてしまった。
「さあ?、でもここには結構なΩがいるからいないこともないかもなぁ。」
「……やっぱり無くないんだ。」
あの日、光くんから言われた一言に俺はずっと気を取られている。冗談で言われたことは理解している、でも大事な番(まだ)のこととなると些細なことも放って置けないのがαというものなのだ。
「一仁はΩ同士がイチャイチャしてるのが好きなの?」
横から吉川が聞いてきた。馬鹿なことを言うな、たとえΩだろうと唯と仲良くしているのを見るのはいい気はしない。
「そうじゃない、襲われないか心配なんだ。」
「そっか、一仁ともなれば逆レイプとかもあるよね。よし、桃が偵察に行ってくる!、なんか性欲の滾ってそうな危ないΩ探しておいてあげる。だから、安心して待ってて!」
そっか、自分で探しに行けばいいのか。あとは適当に自分で相手して、それで唯から興味をそらせば……。
「待って、俺も行く。」
「ひぁっ、へっ、うん…」
今にも教室を出ていきそうだった吉川の腕を咄嗟に掴んだから少し強めになってしまったのは悪かったけど、これくらいで照れるな。
結局、ゆっくり偵察するために昼休みに出直すことにした。
「やっぱり上級生から襲われる確率の方が高いと思うんだ。」
そんな吉川の一言から三年から回ることになった。長谷川もついてきて三人で。Ωクラスの前をαが、しかも一年が彷徨くのは珍しいのかギャラリーが多い。俺は入学式で登壇したからか名前も知られていて、声をかけられては先輩から飴やらチョコやらいろいろ貰った。でもむこうから来てくれるなら都合がいい。俺の探してるのはαなんかは見向きもしない、そして何となくトップっぽい様な……、
「ねぇ、あの人、あの窓際の席の……」
俺はDクラスを覗いて、こっちを見向きもしないで外を眺めているΩに目をつけた。髪は長めだが整えられていてしっかり見えた、ちゃんと首輪付き。
「あ、草壁先輩?、あの人は大丈夫だよ。Ωのトップで寮長してるし、αには興味ないって感じで誘いも全部断ってるらしいから。」
要注意人物じゃないか。こんなに早く見つけられるなんて運が良かった。俺はすぐさま教室に入り、笑顔で話しかけた。
「こんにちは、先輩。ちょっとお話いいですか?」
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