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桃の章
初めての一大イベント!
しおりを挟む「もうすぐ体育祭なので競技を決めますよー。今年1-Eは蒼組です。あとは委員長よろしく。」
体育祭!!入学して一ヶ月、早くもビッグイベントだ。
黒板には騎馬戦、借り物競争、障害物競走、リレー、短距離走と競技名がたくさん書かれている。
僕は借り物競争と玉入れに決定した。
「えぇ、光くんリレー出るの!?凄い、足速い人しか出れないのに。」
「光はαともいい勝負するくらい足速いからな。」
「へぇ。」
凄い。Ωってみんな運動神経が良くないんだと思ってた。僕も諦めなかったら今頃光くんみたいになってたのかなぁ。
「ふんっ、出るからには本気で勝ちにいくよ!」
「おー、がんばれー。」
「がんばれ!」
光くんの応援ももちろんだけど、僕も自分が出る競技を頑張らなくちゃ。
「璃来くんは何に出るの?」
「どうせ玉入れと綱引きでしょ。」
「そー、出来なくても目立たないやつ。」
体育祭まで体育の時間はダンスの練習だ。応援合戦の名目でΩが皆で踊って全校を応援するらしい。組み分けの関係で全学年のΩが一度に体育館に集まる。なんかみんな可愛いしいい匂いがする、気がする。
「…すっごーい、Ωってこんなにいるんだ。」
「ここに国内のΩの半分位いるんじゃないか?」
「そうだね、僕もここに来るまで滅多に会わなかったし。」
「はぁ……そんなわけないでしょ。」
直ぐに集合がかかって練習が始まる。陽向くんとは別の組らしくてここで別れた。曲は今流行りの曲らしいけど僕は聞いたことがないやつだった。みんな聞いた事のある曲だからか振り付けを覚えるのが早い。僕は早くも置いてけぼりだ。
「うぅ、右右後ろ左……」
「違う、右の次は前ね。」
「うぅ、右右後ろ右……」
「違う!、そこは左。大丈夫?唯、まだ始まったばっかりなんだけど。」
「無理ですぅ。」
「まぁまだ時間はあるし、がんばれー。」
まだ初めも初め、なのにもう心は折れかけてる。くそぅ、他人事だと思って。
「そうだよ、ここは別に問題じゃない。重要なのは衣装決めだから。」
「学校のジャージでやるんじゃないんだ。何着て踊るの?」
「それがこれから決まるんだよ。じゃんけんで勝ったとこから選んでく。どうかスカートだけにはなりませんように!」
「へぇ、可愛いんじゃない?」
「馬鹿言え、お前も着るんだぞ。それでこんなの踊ったらもう、、」
はっ、そっか、僕が踊るのか。ただでさえ下手くそなのにそれにスカートもなんて……。恥さらし以外の何でもないぞ。思わず震えてしまう。
「まぁまだスカートっていう選択肢があるかどうかも分からないからね。去年は学ランでかっこよく踊った組があるって聞いたし。いいよねー、学ラン。」
衣装が何になるかの期待と不安を抱えて練習を再開した。
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