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桃の章
欲望*〜一仁視点〜
しおりを挟むまだ俺たちが白桃学園に入学する前のこと。俺は自分と唯の入学、入寮準備を理由に唯の母親、隼人さんとショッピングモールに来ていた。
「買い物はこれくらいでいいかな。ちょっと休憩しよう。」
「はい。」
隼人さんと近くのカフェに入り、お茶する。
「あの、隼人さん。高校に行ったらΩのネックガード配られるじゃないですか。唯のやつ、僕からあげてもいいですか?、実はもう作って貰ってはあるんです。勿論、まだ待てっていうなら待ちます。」
「ネックガードか。俺はつけたことないから分からないけど、好きな人から貰ったら凄く嬉しいんだろな。…唯は凄いお前のことが好きだよ、見てればわかる。だから、ネックガードは一仁からあげて。」
「…!!、ありがとうございます!」
「でもっ、噛むのはまだ駄目。まだっていうかあいつから言われるまで絶対に駄目。ヒートの時に言われたのもダメだからな、あんなの酔っ払いの言うことと同じだから。無理矢理ヒートを起こすなんて以ての外。」
「はい、勿論です。」
「……本当は、ヒートの時もあんま会って欲しくないんだ。一人でやり過ごすのは唯が辛いっていうのはわかってるけど、俺たちΩはaに手を差し伸べられたらあんま考えれないで手を取りたくなってしまうから。唯には選択肢を残しておいてあげたいんだ。」
隼人さんは冬嗣さんに中学生の時に番にされている。だから唯に番を選ばせてあげたいという気持ちがあるのは分かる。でもそのせいで俺はまだ唯を噛む許しを貰えない。こうなると冬嗣さんを恨まずには居られない。このショタコンめ。
「隼人さんの気持ちも理解しています。唯から「噛んで」と言われるまで噛むつもりはありませんし、少し辛いけどヒートの相手も頑張って抑えます。今はネックガードの許しが貰えただけで嬉しいです。ありがとうございます。」
「うん。」
その後、僕は隼人さんを丁重に家まで送り届けた。
5月に入って数日経ち、今日から四日間、唯と二人きりのお休みだ。これは唯を俺のフェロモンを馴染ませるという目的もあるけど、将来、結婚した後の二人の生活の予行練習でもある。楽しみで仕方がない。フェロモンを抑えられるわけが無いので存分に浴びせてあわよくば発情期にならないかなと思っている。
別荘につくと唯は大興奮で家中を駆け回っていた。気に入って貰えたようでよかった。唯は先ずやっぱりゲームに走る。でもその後はちゃんと勉強もさせる。俺の予定では四日目は勉強の時間を取らずにずっとまったりする予定だから、初日に課題を半分程やらせておく。料理は少し苦手みたいだ。たしかに俺の記憶の限り唯が料理をしている所を見たことがなかった。念の為に包丁を持たせなかったが、多分持たせていなかったら別荘殺人事件が起こっただろう。
そして夜ご飯の後、俺は少し欲が出て唯に一緒にお風呂に入るのを提案してしまった。唯は嬉しいことに、断らなかった。それは凄く凄く嬉しかった。でも……。
「ふぅー、あったかーい。」
「……。」
「ふふ、お背中お流ししましょーか。」
「……ううん、唯はずっと湯船つかってて。」
「えー、ノリ悪いなぁ。いつもみんなで……あ、ううん、なんでもない。」
先に唯に洗ってもらって、その魅力的な四肢を湯の中に隠す。気がいってしまうから正直ずっと黙ってて欲しい、我慢が辛い。唯が、恐らくまだ寮で大浴場を使っていると、口を滑らせたおかげで怒りが湧いて少し落ち着いた。
俺が洗い終わるまで唯は出てくれなかった。出ろ、とも言えないので離れて湯船に浸かる。お湯が透明で丸見えだ。こんなことならバラでもなんでも浮かべておけばよかった。あんなアヒル一羽じゃ何も隠れない。しかもアソコは完全に反応して出ようにも出られない。素数を頭の中で数えながら小さく蹲って唯が出るのをじっと待つ。
唯が出るまでそう長くはなかった。よく体を拭くように伝えて、俺は少し抜かせて貰った。
夜も我慢との戦いだった。唯は早くに寝てしまって、ベッドに転がるのはご馳走。項に顔を寄せればなんとも言えないいい香りがする。思わず歯をたてる。勿論ネックガードに阻まれるがお構い無しに何度も歯を立てる。
「ん、ダメ。唯、唯、ゆい、ゆい、はぁ……」
項から香る微かな甘みに俺の体も反応して、フェロモンはダダ漏れだし下もさっき抜いたのにまた勃ってくる。
「はぁ、ゆい、ゆい……んっ」
後ろから、少し布をまくって唯に触れ、思わずイってしまったがまだ熱は収まらない。僅かな理性で、このままではボロボロになりそうなネックガードにさっきまで髪を拭いていたタオルを巻き付けた。
まだ噛めない、まだ番になれない……。俺はいつまで待てばいいの? 覚めない熱をもって俺は長い夜を過ごした。
結局一睡も出来なかった。時間は朝6時半。まだ活動を始めるには早い時間だがシャワーを浴びるために起き上がった。ベッドも汚れていたので、唯を起こさないように軽く整える。その後はお風呂でずっと冷水を浴びて体を冷ます。夜もこうしておけば少しは眠れたかもしれないと今になって気づいた。シャワーから出ると唯が起きていた。いつもなら絶対に起きないような時間だ。俺がいなくなって目が覚めたのか、本当に愛おしい。
綺麗になったベッドに横になると唯が俺の匂いを嗅いでくる。まだ眠そうだから寝てもいいと言ったのにずっと匂いを嗅いでいる。こんなに惹かれあっているのにお前はどうして"噛んで"の一言を言ってくれない。
結局唯は俺の腕の中で眠りについた。本当に俺を惑わせる、でも愛おしくて仕方がない存在だ。
「……おやすみ、唯。」
俺も唯を抱いて少し眠った。
二日目から唯は凄い勢いで俺のフェロモンに慣れていった。俺から片時も離れないでずっと甘えてくれる。体が本格的なΩになろうとしているからかよく眠った。起きてもぼーっとしていてご飯も着替えもトイレも俺がする。こんなに幸せなことは無い。でも楽しい時間はあっという間ですぐに連休の最終日だ。俺は帰りの車内まで唯を可愛がった。
「唯、おかえり!……は?」
「安心してください、噛んでません。でも少しやりすぎちゃいました。」
唯の状態を見て固まる隼人さんに軽く詫びる。でも少し怒られた。唯もなかなか俺から離れないから最終的にはビンタされていた。隼人さん、それはさすがに唯が可哀想。
高校の名前書いてなかったかもと思って遡ったら多分書いてなかったです。
私立白桃学園です。理由はコレ考えてる時に私が桃食べてたからです。
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